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第7章 冒険者ルーク3
第58話 後処理 9
しおりを挟むさてさて、ハンスに恥ずかしいジェスチャーをさせた後だが……。
「僕?ええと…君の名前は?俺はルークと言うんだ宜しくね」
「ぼ、ボクはアルス」
「そう、アルスくんか。君が居るテントに大怪我をした子は居るのかな?」
「うん……ボクの所は彼処だよ」
アルスが指で教えてくれたのは、三基のテントが建つ中の左手だった。
「そう、なら、そこに行っても大丈夫かな?大人が行くと怖がる子居るかい?」
「分からないけど……、ルークお兄さんなら平気かも……。分かんない」
「そうなら、少し顔を出して怖がったらすぐに出ていくよ。テントの中には何人居るのかな?」
「ええと……1…2………こ、これだけいるよ?」
と、手のひらを出して見せる。
……用は5人だね。
「そうこれだけだね?ありがとう。あ、そうだ!アルスくんはいくつなの?」
「ええと8才だって、お父さんが言ってた」
「そうか、偉いね?みんなを守ってたのかな?」
「ううぅん違うよ、デイド兄ちゃんが…あいつらから……」
「そうか、そのデイド兄ちゃんにも会えるかな?」
「うん、ボクと同じテントに居るけど……」
「なら、いこうか?」
「うん」
そして、子供に手を引かれてアルスが入っていたテントの中に入る。
「だ、誰だ!お前」
テント中へ顔を入れると、すぐに警戒した子供に大声を出されてしまった。
まぁ、当たり前か。
テントの中に居るのは、アルスを入れて6人……数が数えられない子供には……正確さを求めても仕方ない。
と言うか詰め込み過ぎだ。
「俺はここの責任者だよ。君たちは怪我が酷いと聞いたけど?」
「………大人は出ていけ!」
「出ていけと言われても……なぁ~。君たちは明日の夕方には、ここから出ていくぞ?」
「そ、そんな…また何処かに連れて行かれる」
「君たちは親は、どうしたんだい?」
「父ちゃんと母ちゃんは……違う場所に、連れて行かれたから分からないよ!」
「そう、所でデイド君と言う子はここに居るかい?」
「俺がデイドだ!あんたは?」
ああ最初に俺に怒鳴った子供だったか。
「そう、君がデイド君だね?今アルス君に君の事を聞いたんだよ」
「あ、あのね?デイド兄ちゃん!この人偉い人なんだって!すごいんだよ?」
「デイドこっちにこい!あんた偉い人って……」
「俺はここの、領主の息子だ。君達を保護してあの、悪い騎士達と大人を捕まえたんだよ。分かるかな?」
「わ、わか……わかる。なら父ちゃん達は?皆には親が居たんだ!」
「それは……済まない。俺が保護した人達の中に君の親が居るのかは分からない」
「唯大人は少なかったから……どうなったのかは、捕まえた男達に聞いてみるよ?それまで待って貰えるかな?」
多分……生きてはないと思うが……。
死んでるとは……今は言わない方が良いのか…。
「そうか…なら、父ちゃん達はもう……。皆殺されてるのかな……?俺もこんな怪我したから……もう……」
と言って掛けた毛布を剥いで、俺に怪我を見せて来た。
「酷いよなぁ……あいつら。逃げようとしたらこれだぜ?其からは……良い様に体を……くそ!」
「ここにいる子は皆そうなの?かな?」
「そう、ってなんだよ?」
「す、すまん。怪我してる子は、ここに寝てる子達だけかな?」
「そうみたいだぜ?騎士の姉ちゃん達が俺たちを集めてここに入れたから」
あいつ!マーキュリーか…嫌、パラミアだろうな雑すぎる。
「そうなら、少し目を瞑ってくれるか?」
チャッチャッと、怪我を治したら方が早い気がする。騒ぐだろうが構うもんか!
「何すんだよ!あんた俺達に何すんだ!」
煩いな~まぁ、仕方ないけどな。
なら……「エリア・エクストラヒール!」
テントの中が、光り怪我をしている子供達の怪我が治って行くのを、子供達本人がまじまじと見て騒ぎに為る。
だから目を瞑ってと言ったのだが……。
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