377 / 428
第7章 冒険者ルーク3
第37話 報告する前に
しおりを挟む王都の屋敷を破壊して領地に戻って来たルーク達は……。
「兄上、お疲れさまでした」
「ルー、それは俺がお前に掛ける言葉だな。ご苦労だった、ルーク。お前が居てくれると、時間も金も掛からないから私達は楽が出来るが、心苦しいよ」
「別に……気にしないで下さいよ。兄上、俺は好きにさせて貰ってますからね。それより父上に御報告ですかね?」
「それが…あったか。カイズ、ゼルマンお前達もご苦労。今日は下がってゆっくりすると良いぞ」
「は!ですが私達は何もしてませんでしたから…特には。ですので、訓練に戻ります!」
「……まぁ、偶にはのんびりしてくれ」
「そうですか?」
「ああ、許す」
「でしたら少し、城下に出ても宜しいでしょうか?」
「どうした?ゼルマン」
「いえ、城下に家族が居りまして、その……」
「……まぁ、良いだろう。夕方には、戻れよ」
「はっ!ありがとうございます。エルク様」
「カイズは?」
「私は…部屋でゆっくりしたいと…」
「そうか、成らば各々で時間を有意義にな?ここで解散だ」
「「はっ!失礼します」ルーク様、失礼を」
「お、おう。ご苦労」
そして兄上の影達は部屋を出ていく。
残ったのは、俺の影達だが……。
まぁ、こいつらにも休みをやるかな?
「メンサス、トレバン。お前らも今日は休んでいいぞ。明日は訓練に戻ってもらうが」
「ルーク様、宜しいのですか?」
「本当に?」
「構わないぞ?また、明日から頑張ってくれれば」
「は!承知しました」
「では、ルーク様。本日はお言葉に甘えさせて頂きます」
「ああ、ゆっくりな?」
「「は!」」
兄上の影同様、俺の影二人も部屋を出ていった。
すると入れ替わりにセバスがワゴンを、押したサリーと二人リビングに入って来る。
「お戻りと聞きましたので、お茶をお持ちしましたが、如何いたしますか?エルク様、ルーク様?」
「お茶か…兄上どうしますか?」
「そうだな、折角セバスが用意したお茶だ。飲んでから父上の部屋に出向いても遅くはないか」
「そうですか。なら、セバ頼むよ」
「畏まりました。ではご用意致します」
セバスの入れたお茶を飲みながら兄と久々にゆっくりと話す、
父の執務室に行くのを忘れる程に話も弾む。
「で、ですね?兄上」
「なんだい?未だあるのかい」
「ええ、それは飛びきりの情報ですよ?」
「なんだい勿体ぶって?」
「それがですね……」
「お前達!」
「えっ…?あっ!これは父上」
「どうされましたか?突然現れて」
「どうされた……じゃないだろう?」
「……あっ!兄上、父上に御報告するのでした」
「そうだったな?少しのつもりが、大分時間が経っていた様だ」
「すみません。父上、伺おうとは思っていたのですが、ルーの話が面白くて」
「兄上面白いとは、失礼では?私は…」
「お前達…仲が良いのは分かったから、報告だけしてくれ。全くお前達は…」
アハハ、確かに夢中で話してたか…。
まっ、でも報告だから…無駄話はしてない筈だ…うん。
「そうでしたね、今ここで報告しても?セバスにお茶を入れさせますが」
「……まぁ、良いだろう。セバスの入れた茶も旨いからな」
「フフフありがとうございます。旦那様、今日のお茶は、ルーク様の菜園から採取したお茶でございます。緑茶と、言うものだそうです」
セバスがどうぞと言い木で作った茶托に、取っ手のない茶碗が乗った茶と、茶請けの菓子を一緒に父上の前に出した。
「ほう……これはまた見事な緑だ。それにこの菓子は?」
「ええ、少し苦味が強いのですが旨いですよ。それと、茶請けの菓子ですね。茶の苦味と甘いものを一緒に食すと、愛称が良いのです。父上どうぞ」
「ほ、ほぅ……そうか?なら……………ん!苦い茶だな。それでこれを食べるのか?……むぅ………甘味がいいな?そしてまた茶を飲むのか?…なんともこれは!」
「填まりますよね、父上……。私もルーに進められて、食しましたが…なんとも」
「フフフ。でしょ、お二人とも?」
「ルーク、これは何処で買うのだ?」
「買う…ですか?」
俺が困った顔をするとセバスがフォローしてくれた………助かるよ。
「旦那様、こちらはルーク様の手作りです」
「はぁ?…またかルー」
「ハハハ。兄上またですよ」
「まったく、ルークには、本当に驚かせられるな?」
そんなつもりは、全くないぞ。
俺は好きなようにしてるだけだしな?
1
お気に入りに追加
1,116
あなたにおすすめの小説
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

王女の夢見た世界への旅路
ライ
ファンタジー
侍女を助けるために幼い王女は、己が全てをかけて回復魔術を使用した。
無茶な魔術の使用による代償で魔力の成長が阻害されるが、代わりに前世の記憶を思い出す。
王族でありながら貴族の中でも少ない魔力しか持てず、王族の中で孤立した王女は、理想と夢をかなえるために行動を起こしていく。
これは、彼女が夢と理想を求めて自由に生きる旅路の物語。
※小説家になろう様にも投稿しています。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

Retry 異世界生活記
ダース
ファンタジー
突然異世界に転生してしまった男の物語。
とある鉄工所で働いていた佐藤宗則。
しかし、弱小企業であった会社は年々業績が悪化。
ある日宗則が出社したら、会社をたたむと社長が宣言。
途方に暮れた宗則は手持ちのお金でビールと少しのつまみを買い家に帰るが、何者かに殺されてしまう。
・・・その後目覚めるとなんと異世界!?
新たな生を受けたその先にはどんなことが!?
ほのぼの異世界ファンタジーを目指します。
ぬるぬる進めます。
だんだんと成長するような感じです。
モフモフお付き合いおねがいします。
主人公は普通からスタートするのでゆっくり進行です。
大きな内容修正や投稿ペースの変動などがある場合は近況ボードに投稿しています。
よろしくお願いします。

転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる