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第6章 冒険者ルーク2
第48話 拾ったのは……
しおりを挟むルークが叫ぶとイールが目を覚ます。
『あ!ご主人だ!おはようでいいの?』
「イール…………」
『なに?』
コテンと首を傾げる。
「これは……お前か?」
山積みの獣の死骸に向けてルークが指をさす。
『そうだよ!ボクが誉めて貰うの』
「誰に?」
『え、ご主人にだよ』
「これを俺に見せる?誉める………。イーーール!」
『ピィ!』
「いいか!イール。こんな物を持ってこられても、俺は誉めない!お前、次こんなことをしてみろ!お前との契約は解除するからな!」
『ピィィィーーィ。なんで……喜ばない?せっかく食べないで、我慢して持ってきたのに……』
イールがルークに怒られてしょんぼりとする。
要るかよこんなもん。と言いたいが……。
「良いか、これを直ぐに片付けろ!取ってきた場所に戻せ捨ててこい!いいな?」
「ル!ルーク様それは、不味いです」
おっと、そうだな……捨てたら魔物が集まる可能性が大だ。
それはそれで、厄介なことになる。
「あ!そうか……ったく、仕方ねぇ」
ぶつぶつと文句を言って、獣の死骸をイベントリィに一度仕舞ったが……。
処理はどうする?
メニューを開くと……まぁまぁな素材が有るな。仕方ないここで怒ってもこいつは響かないんだろうなぁ。
『ピィ……なくなった……お腹減った』
あ~駄目な子を拾っちゃったかな?これは……。
と、反省しつつベランダの血溜まりをクリーンで綺麗にして。汚れが取れた所を浄化して窓を閉めた。
「さて、着替えて飯か……。はぁ食欲……萎えた」
「ルーク様……イールは?」
「あ!仕方がない、俺が連れて来てるからな。イール飯食うぞ」
『ピィーー。ご主人、ご飯食べる!』
「ハイハイ。少し待てよ、着替えるから」
手早く着替えてセバスとイールを連れて、食堂に向かうと既に食事をしていたオルタ達に何故を、騒がしくしていた?と聞かれる。
「来たかルークよ、朝からお前は元気だな?」
「そうだぞ?随分と騒がしかったが?害はなさそうだったので、お前の部屋には出向かなかったが。どうした?」
「朝から、イールがやらかしたからな!それで騒ぎになった。すまなかったな?」
「ククク。嫌構わんよ?楽しくて良いなぁお前は!」
オルタが、そう言って笑う。
……むぅ……。
「ま、そう不貞腐れるなよ?飯を食え!ワハハハ!」
「それはどうも……。オルタ、ウオル。イールがもう少し大人しいと、良いのだけどね?」
『ピィーボクいいこ~』
「コラ、煩いよ!静かにしろよ?」
『ピィ~』
「そう怒るな、主……。そやつは未だ子供……言ってもあまり聞かぬ。ゆっくりだ」
「はい、はい。それは分かってるんだけど……なぁ~」
なにをやらかすかのか、想像が出来ない。
「ほら、飯食え。今日はどうするのだ、またお前がなにかするのか?」
オルタに食事をしろと、進められて席について運ばれてきた料理に手を合わせ食べ始める。
そして、オルタの質問に答える。
「ん……今日はこの後、西の空き地を開拓予定だな」
「またか?なんでそんなにお前が働くのだ。また、魔力を使うのか」
「……そうだけど……なに」
「………そうか。なら、我らも行こう」
「へっ、どうした。ここで、ゆっくりしててもいいぞ?」
そんなに心配される事でもないだろ?
なんかこのドラゴンさん達は俺に過保護なんだが……?
何で、こんなに懐かれたのやら?
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