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新たな町へ
686話 忙しい朝
しおりを挟むアルシャからお告げを訊かされた次の日。
俺は朝から忙しかった。
「皆、おはよう。朝の点呼だぞ~」
「「ふぁ~~い」」
「「「「「「「「「「「おはようございます!」」」」」」」」」」」
「はい、おはよ。皆……居るね」
「おはようございます。今朝はどうされたのですか?」
「今日は忙しいんだよ」
「ああ、夕べの……」
「そうそう、だから皆宜しくな。それから、モルマン、ゲイル」
「「はい」」
「朝の門当番は休んでくれ。午後からは宜しくな」
「「良いのか?」はい」
「いいよ、話もあるから朝はゆっくりしててくれ」
「了解」
「分かった」
さて、あとは……。
「それから、朝食が終わってからだけど、グレド」
「おう」
「裏手に回って、倉庫造るからそのつもりでな」
「おう、了解した。あっ、旦那」
「なんだ」
「食糧を出してくれよ」
「分かってるよ。倉庫が出来しだい出すから宜しくな」
「こっちこそ、頼むよ」
「それから、旅の支度をカナルとカシューはしてくれな。何時でも出れる様にしててくれ」
「「了解です」しましたぁ~」
カナル、相変わらずですな。
後でしばく!
「はい。後は、ニングスとケイルスくんも話があるから宜しくね」
「「承知しました」」
「あ、それと、タウルスとベントンは朝食後、指示するから厨房に居てくれ」
「「分かりました」」
「ラルク君も厨房にいてな」
「はい!」
あとは…そうそう、問題のお二人だ。
「ケイトとベントンは、荷造り出来てるのか?」
「ま、まだだよ。少し畑の仕事が残ってるんだよ」
「俺も、馬たちの世話があるから未だです」
「そう、ならいつ頃出発するんだ?」
「そうですね…。あの、出来れば、明後日には出たいです」
「分かった」
なら、馬車も点検できるな。
「はい、点呼と申し送りおわり! 朝飯だ!」
朝の点呼が終わり、食堂へゾロゾロと中に入って行く。
席に座って、しばらく待つと朝食が運ばれて来る。
それにしても手際が良くなったよねぇ~。
アイテム鞄渡したから、無駄な待ち時間が無くなったし。
マイナとラルク君、それからレクス君も最近は屋敷に慣れた様で頑張ってくれてるし。
善き善き。
「さて、皆さん食事は行き渡ったかな?」
「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」
「では皆さん、いただきます!」
そうして、賑やかな朝食が終わると、今度は子どもたちの食事の時間だ。
眠そうに目を擦りながら、子どもたちが食堂に入って来ると、四人揃って朝食を食べ始める。
その間に俺は厨房の裏手に回り、倉庫を造る。
「ふむ、このたありで良いかな? あっ、地下もあった方がいいか」
俺は地面に手を当てると、魔力を流し頑丈な部屋を地下に造って行く。
部屋の広さは大体十五畳くらいの広さにした。
そんなにバカみたいな広さにはしない。裏庭はそんなに広くないから造れないのが現状だ。
是非、次の屋敷を造った時に広目の倉庫を造ろう。
下が出来れば、今度は上の建物を造る。
上の建物の大きさも、地下に合わせた広さだ。当たり前だけど。
地上の建物にも、地下にも棚と大型冷凍冷蔵庫を設置。
これで食品庫は完璧!
これを後で壊すのは忍びないがな。
それから、倉庫と厨房を簡単に行き来出来る様に浦戸を設置。
そして俺は、浦戸から厨房の中に入り、グレドたちに声を掛けた。
「おぉ~い、グレド!出来たぞ」
「うお、なんだ旦那かよ。いきなり声がしたから焦ったぜ」
「びっくりしました」
「ハハ済まん。裏手の倉庫出来たから、確認してくれ」
「もう出来たのか?」
「早いですね」
「おう、だから料理人の皆は、倉庫を確認してくれよ」
「「「「「はい」」」おうよ」
俺は四人を手招きして、倉庫に入って貰った。
「こ、こりゃ~また、良くできてるなぁ~」
肉を解体する作業台に、肉を吊るすフック。肉を吊るす滑車とレールにと、色んな物を用意して設置したし、水も出る様に作業台に設置した。
あっ、ちゃんと肉切り包丁も色々種類を出した。
どれを使うのか分からなかったから、ネットで調べてちゃん揃えた。
「でしょ、あとは地下にも食糧が仕舞えるからね」
「地下も造ったのか?」
「うん、ここには色々と入るけど、あんまり物を突っ込むなよ? 忘れるから」
「ハハ、分かってるよ」
「タウルスも、食糧完備はしててな」
「はい。でも旦那様?」
「なに」
「もう、ここも長くは滞在しないのでしょ?」
「まあ、そうだけど、でも出て行くまでは使うからね」
「そうですね」
「なに、町に馴染んだから寂しいのか?」
「そうですね、結構この町も楽しかったですよ」
「ごめんな、俺の所為で、こんなことになって。皆もごめん」
と、四人に向かって頭を下げた。
「そ、それは旦那様が悪い訳じゃ無いですから、謝るのは惜しいですよ」
「そうかな?」
「そうだぜ旦那、旦那が謝るんじゃねぇよ」
「そうか。なら肉とその他の食糧を出して行くから宜しく。肉の解体も宜しくな! 皆も手伝ってな!」
「おう、じゃんじゃん出してくれ」
「グレド、じゃんじゃん出したら凄い事になるからな!」
俺はちゃんと自重はするぞ!
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