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新たな町へ
666話 誰? つか、前にもあったな
しおりを挟むサンドイッチ的な物を注文して、料理が運ばれて来るのを待つ俺。
イマココ!!←使い方が変!
「お待たせしました、トロトロ肉のパンサンドとお水です」
と、言って出されたのはロールパンの様な茶色のパンに、トロトロという肉と気持ちばかりの野菜が挟まれたパンだった。
それが皿の上にちょこんと一つ乗っていた。
「………ありがとう(サイズ小せぇ~)」
出された品の見た目に絶句したが、内心小さいって思ったけどな。でもさ、このお姉さんにはお礼を言っておく。
お姉さんは悪くないし。
作ってるのは厨房の主だしな。
それに値段は許せる範囲に収まってるから、文句も言いづらいし。
なんと、これで五百円とかだし。
パン一個に五百円はまぁまぁ許せる範囲、美味しければの話だがな。
でも、水の方が割高。
水は六百円だぜ。
だけど良いよ、面倒だし。
揉めたくはないし。
ってことで、諦めてロールパンを手に持って、一口パクリ………モグモグ……ごくり。
うん!まっずい。
予想通り。
肉がしょっぱいし、おまけに脂っぽいし、肉の臭みが仄かに口の中で香るから、後味最悪。
これ……どう調理したらこうなるのかな?
マッ…ジ!信じられない。
こんなことしないで、普通に肉を焼けば良いのに。
味も塩味だけだし、挟んである野菜の味はどこに行った!
おまけに、パンはパサパサで口の中の水分全部持って行かれたよ。
水を頼んでおいて正解。
クオリティ低いなぁ~残念!
この中身の肉。
ボアの肉を茹でてるんだろうな。
茹で豚のサンドイッチって有るのか?
でもなぁ~バラ肉を茹でて、ゴマだれに敢えてから水気を取ってからサンドイッチにするなら、まだ許せる範囲。
だがこれは許せん!塩味だけだぞ!
それもきつめの。
しょっぱいっての。
肉と一緒に挟んである野菜、多分これはレタスと、キュウリがなんだろうけど、気持ち程度にしか挟まってないし。
野菜の味も塩味で相殺されててなんとも言えない。
脂と塩味しかせん。
辛子マヨネーズとか作れない?
パンに塗る筈のバターの味もしないから使って無いんだろうなぁ。
期待してたのになぁ~やっぱりこうだった。
アルシャ神様よぉ~、もう少しこの世界の食文化を考えて発展させておけよぉ~。
自分で料理しないと、旨い飯にありつけないとかあり得んだろうがよ。
日本人の食の探求心をなめんなよ。
文句言ってやる今度な!
で、時間を潰せずそそくさと店を出た俺。
まだ昼には間が有るぞ!これはどうする?
もう少し町をフラリとしようかな?
そう考えて、ブラブラと飲食街を歩く。
売ってるのは確かに調理された物が多い。
けど買う気にはなれん。
激まずなのに匂いがいいとかあり得ん!
飲食街を抜けるとその先は何と飲み屋街だったよ。
通りの看板にでかでかと飲み屋横丁と書いてあった。
ハハ、飲み屋横丁って日本じゃないんだから。
まあ、分かりやすいけどな。
でも、そこには入って行く勇気がないので、Uターンして飲食街に戻り市場にまた戻った。
なんか掘り出し物とか無いんか!
取り敢えず市場をフラリ、ブラブラとしたけどなにもない。
仕方なくギルドに行くことにした。
その途中に広場があって、そこに座れるベンチを見つけた。
広場を見れば、ベンチがちらほら接地してあったので、空いてるベンチに腰を下ろした。
「はあ~歩いた足痛ってぇぇ~。けど、あれだけ歩いて収穫ゼロ。ハハ笑うなぁ~、ここ何にもないじゃんか。有るのは市場に飲食街に飲み屋街。飲み屋なんか在っても、気分じゃないから行きたくない。酒なんか飲みたくないしな。この体なら、酒は飲めるんだろうけど飲みたくないんだよな。屋敷に居れば、アイツらと飲むかも知れないけど。そういえばアイツらと飲んだこと無いな」
今度飲んで見るか?
でもなぁ~アイツら遠慮して飲みそうも無いな。
なら、ボーナスで旨い酒飲ませて遣るかな?日頃の感謝を込めて。
そんな事を考えニマニマしてしまう。
でも、こんなところでニマニマしてたら、変質者だキモい。
そんな考えを誤魔化すよう別の事を考え……はたと思う。
「あれ、今何時だ?」
懐から時計を出し、時間を見ると未だ十時だった。
「あの店で時間潰す気満々だったのに。クソ不味の食い物なんか食うんじゃなかったよ。どれ、座った序でに口直しっと」
鞄からジュースが入ったペットと、サンドイッチをごそごそと出す。
出したサンドイッチはエビフライサンドだ。
フフ、無限収納って便利だ。
時間停止してるから、作りたてのままだしな。
ちゃんと皿に乗った物を出してな。
コンビニサンドを出すわけにも行かないからな。
ベンチに座って遅め朝食を食べる。
「はぁ~初めっからこっちにすれば良かった。変に挑戦するのは今後止めよう」
エビフライサンドをモグモグ食べなからそんな事を考える。
けれど、ここって結構人目が気になるな。
が、気にしたら負けだ!
気にしないのが一番。
多分このペットボトルが気になるんだろうな。
それともこのサンドイッチかな?
まあ、どちらでも良いや。
モグモグ、ごくり。
エビフライサンドをモグモグと食べてると、人が近づいて来てるのが分かったが、無視を決め込む。
けどその人、俺に声を掛けて来やがった。面倒だなもう!
「食事中にすまんが、隣良いだろうか?」
と、声を掛けられた。若干若目の声だ。
「…モグモグっ………へっ?」
口にサンドイッチが入ってたので、それを慌てて飲み込み、返事をして顔を上げて声を掛けて来た人物にを見た。
おや、若い兄ちゃんじゃんか。
何かご用でも?
「すまん、食べてるところに。取り敢えず隣座っても?」
「は、はあ……まあどうぞ」
「悪いね」
「いえ」
そう答えて俺は気にせず、ペットのジュースを一口飲み、またサンドイッチを食べ始めた。
うん、旨し!
つか、前にもこんなことがあったな。
これデジャブか?
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