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新たな町へ

650話 ギルドへ

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 屋上から空に飛び上がり、マップを広げ三ヶ所ある町を見て確認。
 町の下見に行く事にしたのだが……悩む。
 先ず何処に向かうか悩む。

 一つの町はここから少し離れてる。
 っか、どの町もここからは離れてるんだよ!

 ま、悩んでても仕方ない。
 行くか。

 彰彦は自分の住む屋敷を中心にして、東西南北を決め。
 まずは南に有る町に向かう事にした。


 訪れる町の上空に飛んで来ると彰彦は目立たない場所に降り立つ。

「っしょと、まずはここから歩いて町の門まで向かいますか。でも結構歩く場所で降りたな。面倒だ」

 そう呟くと彰彦は町に向かって歩き出した。



☆…☆…☆…☆


 てくてく歩くこと約三十分、町の門までたどり着く。

「はぁ~やっとか、三十分以上歩いたけど人が居なくない? 少し心配だけど、何か有ったら有っただな」

 そう呟やくと、彰彦は顔を引き締め門番の側に近づくと気さくに声を掛けられた。

「お、こんな町に何の用だい?」

「冒険者ギルドに用が有るんだ。なぁ、この町はギルドある?」

「そうか、良く来たな。ギルドならあるぞ、ギルドカードを見せてくれ」

 お、なんかスムーズだ。
 そんなことを思いつつ、門番にギルドカードを渡して見せてその後通行料を払って町の門をくぐった。

 えっと、門番の話だとギルドはこの辺に……あっ、あった。

 なんか、ギルドってどこも代わり映えしないな。
 なんて事を考えながらギルドの中へ入り、建物の中を見渡せばいつものお決まりのあの視線にご対面だ。

 おお、この視線も久しいねぇ~。

 っとそんなことはどうでも良いし、慣れたし。受付に行かないとな。

 受付カウンターは全部で三ヶ所。
 受付お嬢さんも自分の席に座りのんびりしている。
 ま、今の時間は空いてる時間だしな。
因みに今の時間は昼の二時を過ぎた辺り。

 右端に座る女性も、中央に座る女性も、左端に座る女性も、客が疎らで自分達の仕事は済んでいるのか、三人で雑談中だったが。

 暇なんだな。

 俺が受付に近づくのに気がついた様で、三人で雑談する声のトーンを抑えたようだ。
 俺は空いているカウンターを何処にするか決めかねてて、思わず受付嬢さんに向かって鑑定魔法を使ってしまう。

 なるべくトラブルを避けたいので、少しでも性格の良さそうな女性に向かって鑑定を試みた。

 鑑定
 名前はと年齢は鑑定しない。
 性格重視だ。

 ーーーー鑑定中ーーーー

 結果は出た。
 
 で、カウンターの側に行く間に女性陣達の鑑定をチャッチャット鑑定。
 で、いい結果でもないけど、まあまあまともな結界を叩き出したのは、中央に座る童顔で華奢な女性だ。
 その性格は、温厚だがしっかりとしてるらしい。でも、ホワンとした雰囲気が人気だそう。

 決めた彼女で良いや。

 俺は中央に座る女性に声を掛ける。
 どうか、トラブルになりません様にと祈りながらね。アルシャ頼む!

「《おまかせください!》」

「ん?」

『ナビ、今なんか言った?』

《いえ? なにも》

『そう』

 まあ、いい。それよりは此方の用事を済ませよう。

「あの」

「等ギルドへようこそ、何かご用でしようか?」

 ニコリと微笑んで営業スマイルを見せてくれたよ。
 ああ、この笑顔に騙されるのかな。

「買取して貰いたい物が有るのだが」

「はい、買取ですか」

「ああ」

「どの様な物を?」

「主に魔物の素材だな」

「はぁ、魔物ですか」

「ああ」

「でしたら、此方のカウンターにお出し下さい(どうせたいした事もない物を売りに来たのね。全く子供はこれだから。)」

「え、良いの?多分乗らないと思うが」

「またまた、お客様ご冗談を。さっ、ここへお出し下さい(子供が何行ってるのかしら?)」

「本当にいいんだよね?」

「はい、どうぞ(だから早く出しなさいよ。面倒な子ね。)」

「それなら出すけど、騒がないでね?」

「はぁ~?」

 なんかキョトンとしてるけど、良いのかな?俺、若干この人にバカにされてる気はするけど、ここで腹を立てても仕方ないし。
 まぁ~ここへは様子見で来てるだけだから、適当に出せば良いかな?
 そう考えた俺は、ボアを十体と前に狩って死蔵にしていたオークを五体を出そうと考え、ボアをドサドサっとカウンターの上に積み上げたんだけど……はぁ~またか。

「ひっ!」

「え?」

「あ、あのお客様!此方ではこの様なっ!ち、ちょっと待っててください!(何出してんのよ!)」

 受付のお嬢さん、慌てた様子で待てと言って奥に引っ込んで行った。
 すると、左右に座っていた女性から文句を言われてしまう。

「ち、ちょっとお客様、何ですかこれ!早く引っ込めてよ(餓鬼が何してんの)」

「そうよ、嫌がらせにでも来たの? あの娘奥に引っ込んでしまったじゃ無いですか」

「え?俺はちゃんと、確認したよ? で、あの人が早く出せっていうから出したし。まだ売りたい魔物のがあるし、時間取さられるの迷惑なんだけどな」

「「はぁ~」」

 受付のお姉さん二人が顔を合わせてあたふたしだした。

 それにしても、早く戻って来てくれないかな?







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