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新たな町へ

646話 信用

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「よし!眠らせたぞぉ~。ハイハイお二人さん経験値上げて下さい」

 要は止めを刺してくれって事ね。

「ハハッ……旦那は相変わらす」

「はぁ~無茶苦茶な事で」

「何、二人とも文句でも?」

「いやぁ~相変わらずデタラメだと思って」

「まあ怪我をしなくて済むのですが。なんと言って良いやら」

「ハイハイ!文句は後から溢せ!手を動かせ!」

 俺は二人がボアに止めを刺すのを傍観してる。んだけど、二人が溢す文句もついでに訊かされてる。

「そうは言いますかね!偶には俺達も最初から遣りたい」

 遣りたいとは殺りたいの方かい?

「ほほう、為らば次に見付けたら二人で遣ってくれたまへよ。二人には良い魔物を見付けてしんぜよう」ニコリ。

「…………すんません。ナマ言いました」

「………程程にして下さい」

 おっ、二人とも嫌とは言わないんだね。
 だったらマップ開いて探敵してまみませう。

 魔物ちゃん魔物ちゃんと…………

 魔物を探して居ると二人から声が掛かる。

「旦那様、処理出来ましたよ」

「早く仕舞って下さい」

「ん、血抜きしないの?」

「出来ませんよ」

「一匹ならともかく、この数をなんて無理です」

 あ~そうね。ボア十匹は無理ね。

「了解。なら収納っと」

 ボアの死体にに手を翳して収納する。
 で、俺のインベントリの中で血抜きを完了させておく。

「<ついでに、解体しますか?>」



『あ、ああ宜しく』

 久々訊いたねあの、謎の問い掛けだ。
 これナビさんじゃ無いんだよね。
 深くは詮索しない方が得策。
《何言ってるんですか、あれはシステムの方の問い掛けですよ》
『謎ので良いしゃん。ファンタジーだろ?』
《ファンタジー……ってなんですか?》

 この世界の事だよとは言えないので誤魔化そう。

『ま、そう言う事さ』

《誤魔化されてます?》

『追及しなくても良いこともあるぜ?』

《なんですかそれ?》

「お~い二人とも、クリーン掛けとけよ。血の匂いなんて撒き散らすなよ」

「「了解」」

 そんな話をしてるとマップに何か引っ掛かった。

 赤点だから魔物だね。
 それも一つの大きな点。

 これは…経験からすると熊さんだぁ!

「二人とも喜べ!」

「な、なんですか? いきなり」

「君達にも、倒せる魔物を見つけたぞ」

「…………」

「なんか、すっごく怖いんですけど?」

「そう? そんなの、行ってみないと分からないから早速行こう。方角はあっちだ!」

 今いる場所より更に奥の方角を指差した。その指先を二人が見ると二人が愚痴を溢す。

「………ここから更に奥とか」

「そんなの倒せる気がしない!」

「ダイジョウブ、ダイジョウブ、二人なら殺れる!」

 俺は二人から目を逸らして励ます。

「な、なんで言葉が片言なんですか!それ大丈夫じゃ無いでしょ!」

「アハハ本当に大丈夫だよ。カシューまだ何が出るか分からないじゃん♡」

「じゃん、の後の笑みが怖い!」

「なんだよ、カナル達が俺に言ったんだろ。最初から遣らせろって」

「それはそうですけど、森の奥にいる魔物を俺らが簡単に倒せる訳がねぇ!!!って話をしてるんだ」

 アハハ、カナルため口炸裂。
 よっぽど怖いのかね?
 たかが熊さんだぜ?  
 あんなの首をチョンとすれば一発さっ!

「まあまあ、兎に角なにが居るか確かめに行こうぜ? それに、俺が渡したその剣があれば絶対に大丈夫だし、なんなら手を貸すから」

「し、信用ならねぇ~」

「アハハ、ナカル。言葉」

「あっ、すんません」

「本当に、信用して良いんですよね?」

「なに、カシュー俺を疑ってるのかな?」

「い、いえ。そう言う訳ではありませんが。旦那様って、偶に俺らを信用させといて、ほったらかすでしょ? ランク上げてぇ~ねぇ~!とか言って」

「そ、そうだったけっ?」

 ああ、そんな事が……あったね。

「アハハ、まあまあ過去の事は忘れなさい。無理そうなら手助けはするから」

 しないけど。




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