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新たな町へ

631話 物件下見 3

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 ま、この家の感想を述べるのなら『修繕又は建物ぶっ壊して建て直さないと、とてもじゃ無いが住めない』だ。
 俺からすればこの家の作りは『変わってる家だ』し。
 一階の間取りが特に変わってると思うんだよな。それに、階段の踏み板は腐ってて二階に登れないし。
 ベランダも床板が腐って踏み抜き放題な気がするし。
 家中の廊下や部屋の床板は腐って傷んでてぼこぼこするし。
 しかも事故物件ときて……あっ買った屋敷も事故物件だった……
 なんか、中古の家は全部事故物件なんだろうか?どうせ買うんなら、普通の空家がいいなぁ~と思うぞ。
 俺としてはさぁ~。
 まあ良いけど。

「さて、これでこの家を全部観て頂……ああ庭がまだでしたが。ですが、この建物の中はどうです?」

「………つか、ここを薦めた意図を知りたい。ここ事故物件でしょ?」

「ハハ、これは手厳しい。でも立地は悪くないですし、建物もそれ程傷んでは無いでしょう?」

 マジか!

「……ここの?君にはこの家は傷んだ箇所がないと見えるんだ?」

「ええ……特に問題があるような目立つ傷みも御座いませんでしたが」

 と、言いきってるし。
 が、職員!俺から目を逸らすなよ。

 目を見て話せ巫山戯んなよこの名無し野郎!

 むぅ……

《主、怒を押さえて下さい》

『わ、分かってるしっ!』

 腹が立ってるのを押さえてると、更に男がニマニマと薄笑いを浮かべてペラペラと話し出した。

「ええ、私はこの家は悪く無い物件だと思いますよ。まあ、若干手を入れないと為らない場所もありますが。住めばどこも同じ、傷んだ箇所など気にもなりませんよ。……た、たぶんですが……」

 なにが、若干なんだ?たぶんって?
 さっき傷んだ箇所はないと言ってたよね?貴方。

 はぁ~何言ってんのかな…この男は。
 俺と一緒に傷んだ箇所を見てる筈だろ?
 平気でコロコロと自分の言葉を変えて矛盾してるだろ!

「若干? なら、はっきり聞こう。ここは事故物件だし、修繕しないと住めない家だろ?」

「ええ、まぁ……」

 おや?直ぐにゲロった。

「ふぅ~ん。因みに両隣の家って家族構成は? 子どもとか居るの?」

「さあ……そこまでは」

「分かった。ならここの両隣の家族構成調べてよ。で、結果が良ければ即決で買うし」

 借りるのはアウトだな。
 改築しないと住めないし商売出来ない。

「……隣人の家族構成ですか? 失礼ですが、ギルドではそこまでの事は致しかねます」

 お、さっきまでへらへらしてたのにまた無表情に戻った。ってか、むっとしてるし。

「あっ、そう。じゃギルマスと話すわ」

「そ、そうですか」

「じゃ、後日改めて顔を出すわ」

 それだけ言うと、見せて貰った家を出て自分の家の方向へ歩き出した。

 歩きながら考える。
 さてさて、あそこどうするかね……ニングスが帰って来たら皆で相談するかな。

 うん……それが良いよね?
 もう少しすればニングスも戻って来るだろうしな。





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