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新たな町へ

629話 物件下見 1

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 今俺は、ギルドの職員の案内で空家に向かってるん…だが。。

 俺と、ギルドの職員と二人で内見する物件までテクテクと歩いているのだが…何故か会話もなく歩いておりますよ。

 まあ、人見知りの俺としてはペラペラと一方的に話されるのは遠慮したいので、助かってはいるのだが…なんかこいつ無愛想過ぎね?

 にこりともせんのは何故?

 この人…自分の名前を言う積もりが無いようでしてね?俺が聞いても答えてくれなかったのだよ。
 因みに俺は名乗ったぞ。
 で、この人に貴方のお名前は?と、聞いたんだ俺は。
 だがこの人…チラッと俺と見てスルーしやがったのだよ。
 ふん。

 だからなのか、空家までの道のりがなんとも…二人だけで歩くのが辛い。
 会話がないのさ!
 別にフレンドリーにして欲しい訳ではない。
 そんなことされても暑苦しいだけだしな。
 だけどさぁ、だけれどな?
 失礼過ぎないか?
 仮にも俺は客だぜ?名を名乗れよ!少なくともお宅は俺を空家物件に案内するんだろがよあんた!

 それに、あのギルマスとサブマスの二人もおかしくねぇか?
 なんで、飯屋は駄目で雑貨屋はOKとか顔には出さないけどやっぱり変だよな。
 だったら、案内される物件は気に入んなかったら断わる方向に決定!

 そんなことを悶々と心の中で愚痴っていたら、気が付けば空家に着いてたよ。
 ふん。

 で、案内された建物の外観を眺めて一言「…ここが、その空き家?」と声が漏れてしまった。
 えっと…外観は古くはない様だけど。

 案内された建物を良く見る。
二階建で「小さな家だな」と言うのが最初の感想だ。
 外の壁は元は白かったようだけど、でも今は見るからに汚れて茶色だ。
 それに、壁には何処にヒビが入ってる。
 これは…外壁の掃除と補修が必要な様だね。つか、補修費用って俺持ち?
 こっちは確認が必要だな。

「ええ、小さい家ですよ。元は一般の人が住んでました」
 やっべ!小さい…が聞こえてたんだな。
若干嫌味を言われてしまった。
 しかし、この人お仕事モードに入ったの?
 初めて長文を聞いた気がする。
 なんか複雑だよ。

「(まあいいや、このまま物件見ちゃお。気にしても無駄だし)へぇ~中を見てもいい?」

「ええ、どうぞ」

 職員が建物の玄関の鍵を開けると、そのまま家の中に案内され二人で中に入る。

 玄関から続く廊下はそれほど長くはない。
 小さな家だしな。
 玄関入ってすぐ左側に二階に上がる階段があり、その反対側の廊下を挟んだ右側には扉があり、扉を開けるとそこは居間で居間の先にも扉がここは引戸だ。
 その扉を開けるればそこは台所だね。
 が…これは土間だよなこれ。
 ここの台所、竈と作業台しかないぞ、そもそも肝心の流しがない。   
 えっとぉ~洗い場ってどこだろうか、何処で下拵えしてたのかな?
 煮炊きは竈だろうけど、材料を洗ったり切ったりは?はっ!まさか井戸で下拵えとか?
 ハハハ…まさかね。

「あの…職員さん?」

「はい、なんです?」

「ここって、洗い場と作業台が有りませんね? どうやっ下拵えしてたのか聞いてます?」

「…さぁ私は詳しい事はなにも。でも外に井戸がありますから、そこででは?」

 やっぱりかぁ~!
 無理!不衛生過ぎるし。
 綺麗好きの日本人なめんなよ!

「アハハ……外の井戸でですか?それはこの国では当たり前のでしょうか? 流石に外で食事の下拵えは……(買った屋敷でも下拵えする作業場は流しの隣にあったぞ)」

《それは、貴族か金持ちの屋敷でしたからね》

『ん?マジ?』

《多分ですがね》

 多分って、お前も知らんのかい!
 
 まあ良い。
 に、しても、想像すると辛くねぇかこれ、前の住人ってどんな暮らししてたんだろうか。

 土間を出ると今度は反対側の扉を開ける。
 反対側は階段の下に扉が三つ並ぶ。
 その扉を一つ一つ開けて行くと、一つ目が納戸で2畳あるか無いかの狭い場所。
 その納戸の二つ目の扉はトイレのようだ、狭い個室でそう高くない小上がりの上には壺が置いてあった。
 ………うん無理!

 で風呂場もなし、しゅん。

 気持ちを切り替えて三つ目扉を開く!ここは八畳位の部屋だ。

 なにこの家の作りは?!
 トイレの隣が部屋だと!
 これは普通なのかな。
 せめてトイレの場所と納戸の配置は換えないか?
 これは……色々と気になるだろ?
 …ならないのかな。
 まあキッチンと隣合わせのトイレとかも何気に嫌だが。

 なんかこの家作りが変じゃね?

 
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