上 下
691 / 761
新たな町へ

626話 なんか……

しおりを挟む


 ギルマスに土下座の勢いで詫びられ、仕方なくソファーに座り直す暁彦。

「い、今呼んで来るので待ってて」

 慌てて部屋から出て行くギルマスを見送るが……

「これって素直に待ってて良いのか? しかし茶が出んな?」とぼやく。

 暫く大人しく部屋で座ってギルマスの登場を待つ暁彦。
 すると、部屋のドアがノックされて人が入って来た。

【トントン】

「失礼します。ギルマスお茶をお持ち……」

 入って来たのはここの職員さんでした。
 むぅ…ギルマスではなかった。
 
 職員さんが、わざわざお茶を持って来てくれたんだ。けれど、この人ギルマスが居なくて戸惑ってるみたいで部屋の中でキョロキョロしてるし、なんか頼りない感じ。

「…ああ、ギルマスならサブマスターを呼びに出て行かれてて、俺一人なんですが……その」

「そ、そうでしたか。それでは…あのーーお茶、飲まれます?」

 それ聞くのか?

「……えっと…飲んで良いなら?」

「それなら、どうぞ」

「どうも……」

 なんだ?この会話は!と突っ込みたいが、わざわざ茶を持って来てくれたのだから黙る。

 茶を来た職員さん、二人分の茶をテーブルに置いたら、そのまま部屋を出て行くのかな?と思ったけどなんかまだ部屋に居るよ。 
 …なんで?

 だけど、初めてギルドでちゃんと茶が出たな?多分。
 ある意味感動…だけどなぁ~これ飲んでも良良いのかな? 
 失礼だとは思うけど、一応鑑定……

 よしよし、毒判定はなし。
 それに、おかしな異物も入ってないみたいでまともな茶だ。
 よし!それなら茶に手を出して…飲んで見ても良いのかと思い、カップに手を出して一口飲むのだけれど……おかしいよね?
 未だに部屋から出ていかないのかな。
 目線が気になるから、職員さんに声を掛けても良いよな?
 しかも顔をじぃ~っと見られてるし。
 ほんとなに?俺の顔に何か付いてるのか?
 まじまじと顔をみられて茶を飲む程肝は座ってないぞ。

「あの…なにか?」

「あっ!すみません。失礼しました。ギルマス……よ、呼んで来ますね?」

「……?」

 返事を返す間もなく部屋を出て行ったけど、それなら早めに出て行って欲しかった。

「まあ良いけど。ギルマスを早く呼んでくれるならね」ボソッとぼやいた。
 
 暁彦は折角出して貰った茶を一口飲むと、顔をしかめて手にしたカップをそっとテーブルに戻す。
 はぁ~折角出して貰った茶に手を出したけど。
 茶、これは茶なんだが……すんません。
 一口で結構でした。
 ……さっきの職員さんごめんなさい。
 可愛めの女性だったんだけどねぇ…残念。

 にしても、ギルマス遅くない?一体何してるのかな人を待たせてさぁ~。

 なんか、イライラしてきたが…ここで怒っても仕方ない。
 俺は大人だしな。

《おや主? いつもでしたら、怒ってギルドを出て行くパターンなのに、一体どうしたのです? フフフ、明日は雨でしょうか?》

『…失礼だな君は、俺をなんだと思ってるのだね?』

《えっ? 瞬間湯沸し器では?》

 ナビさんそんな言葉を何処で覚えたの?

 あっ、俺の記憶からですか。
 そうでしたか……なんか頭の中探られてる感じがしてるけど!
 記憶を共有とかか?

 怖いんですけどーー。






しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。-俺は何度でも救うとそう決めた-

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
 【HOTランキング第1位獲得作品】 ---    『才能』が無ければ魔法が使えない世界で類まれなる回復魔法の『才能』を持って生まれた少年アスフィ。 喜んだのも束の間、彼は″回復魔法以外が全く使えない″。 冒険者を目指し、両親からも応援されていたアスフィ。 何事も無く平和な日々が続くかと思われていたが事態は一変する。母親であるアリアが生涯眠り続けるという『呪い』にかかってしまう。アスフィは『呪い』を解呪する為、剣術に自信のある幼馴染みの少女レイラと共に旅に出る。 そして、彼は世界の真実を知る――  --------- 最後まで読んで頂けたら嬉しいです。   ♥や感想、応援頂けると大変励みになります。 完結しておりますが、続編の声があれば執筆するかもしれません……。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

処理中です...