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新たな町へ

613話 ただいま…

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 妖精たちの世話?をしてから、妖精奴らたちには取り敢えず場所の移動は後日改めてと伝えて結界の外に出て屋敷に戻る。
 玄関から屋敷に入り、リビングに向かうその途中でケイルスとアンクにばったり。
 ………なんか気まずい。

「これは旦那様、いま、お戻りですか?」

「お帰りなさいませ旦那様」

 アンクはペコリと頭を下げて挨拶してくる。よゐこやぁ~。
 だけど…ケイルスくんは若干ご立腹のようだね。アンクとの温度差が…こわっ!
 まぁ気持ちは分かるぞ!ごめんよ。

「ただいま、二人とも。他の皆は仕事中だろ、二人はこれからまだ仕事かな?」

「僕は、これからマイナさんと洗濯物の取り込みとかです」

「ほぅ…アンクは頑張ってるんだね」

「はい!じゃあ僕はここで失礼します」

「はい、頑張ってな!」

 アンクを見送りその場に残ったのはケイルスくん。き、気まずい……おかしいここは俺の家だよな?

「ケイルスくんただいま。俺の留守中なにかあったかい?」

「はぁ~お帰りなさいませ旦那様。旦那様の留守中に、冒険ギルドのマスターが数回訪れてました。それと商人ギルドのマスターからも手紙が届いて居ります」

「冒険者ギルドのマスターか、…あの人懲りないねぇ~。商人ギルドからは……なんだろうね?」

 思い付かないけど。

《多分主が卸した品物の問い合わせでは?》

『……思い出した。あったねぇ~そんな事が』

 在庫が無いよ色々と。
 追加で作らんと無いな……材料は薬草畑にあるかな?後でガインに確認だな。

「旦那様?」

「おっと悪い。で、あとは何も問題はない?」

「ええ、他は特には。でも……そうですねぇ…旦那様が何時帰って来るのかと、使用人の皆様からは良く聞かれますが?」

「それは…あはは……(ケイルスくん、本当にごめんよ)」

 廊下で立ち話もなんだからと、リビング迄ケイルスくんと歩きながら話してるが…ケイルスくん怖いから!会話の節々に刺があるし!本当にごめんて。
 で、二人でリビングに入り俺はそのままソファに座り、ケイルスくんにも座る様に指示を出して…お話開始。

「留守番、ありがとうな。ケイルスくんには迷惑を掛けたようで済まない」

「…い、いえ。私は別に迷惑とかではなく。(くっ!素直に謝るから怒るに怒れない…)それで、今回はどちらへ?(仕方ありません、何処行ってたくらいは聞きましょうかね)」

 おっと話を逸らしたか。
 ケイルスくんが怒って無いなら別に良いのか。

「えっと…今回はキリンジ王国にね、行ってた」

「はっ? キリンジ……王国ですか(聞き間違えではなく? えっ?)」

「ん? 知らない?」

「いえ、知らない訳ではありませんが…あそこはここからだとかなり遠い国の筈だと」

 ああ…この国からだと結構遠いんだったねぇ~。
 馬車だとどれぐらいなのか?

《おおよそですが…馬車で半年、船の移動も入れるともう少し掛かるかと》

『遠いねぇ~それ片道の日数か?』

《いえ、往復です》

『……そう』

「そ、そうだね遠いね。俺はほら移動する手段は色々とあるから。アハハ……」
笑って誤魔化すしかねぇが。

「はぁ~旦那様ですからね。ところでそのキリンジ王国とやらには何をしに?」

 ん?俺だからってなに?

「特段変わったことはしてこないぞ。強いて言うならば、魔物をギルドに売ったのと薬を売って資金稼ぎを、しにね」

「……そ、そうでしたか。ですが…旦那様からお預かりしている金額だけで、暫くは屋敷の者たちだけで楽をして暮らせますが…」

「そうなの? でも無いより有った方が楽だし、贅沢出来るよ?」

「それはそうかも知れませんが、我々使用人は今現在、十分楽して贅沢してますが?」

「ええ~そうなの? でもでも~俺が稼がないと減るよ?」

 ………だよね?
 と言ってケイルスに首をかしげて訊ねた。

「………それは…旦那様……(この方、外観が子どもの様な幼い容姿で迷わされますが、もう十六才で成人してましたね。全く、こう言う時にだけ子どもの仕草をするなんて…あざと過ぎませんかね? まあこの家の主のご自覚は有るようですが……いまいち行動が)」

「ケイルスくん? どうした急に黙って。おーいケイルスくん?」

「あっ、はい。何でも有りません。それで、今後のご予定を伺いたいのですが」

「あ~予定……予定ねぇ……何か有ったかな?特にはないから屋敷でゆっくりかな?(妖精たちの事が有るけど、あんなのすぐに終わるだろうしな)」

「ふぅ……そうですか。でしたら執務室で仕事してください」

「仕事?」

「ええ、決済やらなんやら旦那様からの許可が無いと色々私の仕事が捗らないんです」

「ええ~そうなの?」

「そうです」

 ん~そんな仕事あったかな?
 ………書類にサインするだけなのかな。

「そうなの?書類みるだけ?」

「ええ、そうですね。帳簿やらに目を通して貰えると仕事が捗ります」

「了解した。それならいまから仕事するよ。ケイルスくんも三階に有る俺の執務室行こう」

「そ、それでしたら、資料をお持ちしますので」

「それなら一緒に取りに行くよ。その方が効率が良いよ」

「そうですね。そうして頂けますと」

「了解、チャッチャッと終わらせよう」

 早く終わらせて、アクセサリーとか回復薬を作らねば……その前に畑だ!
 なんだ、俺遣ること色々あるじゃんか。
 
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