上 下
646 / 761
新たな町へ

581話 久しぶりの……カモメ亭って…

しおりを挟む


 アルムさんとギルドを出て次に向かうのは……ちょっと待て?

「あの……アルムさん?」

「なんだ?」

「ええっと、次も付いてくるの?」

 アルムさん、もう詰め所に戻って良いよ?

「ん?」

 と頭を傾げて当たり前だろ!と言って、俺の背中を【バン】とまた叩かれた。

「い、痛い……」

 と言ったら、すまんすまんと言ってまた叩かれた。叩きながら謝るな!
 痛いってば、アルムさん俺の背中を叩くな!

「ハハ、次はあれだろ?カモメ亭に行くんだろ?」

「まぁ、そうだけど…」

「なら、早く行こうぜ?」

 アルムさんに急かされてカモメ亭に向かう。

 その間アルムさんに、旅の話やらなんやら聞かれてとっても困った…。何せまともに馬車にも乗らず、歩きもせずにチート満載の旅をしてるから…どうにも説明ができない。

 作り話もあんまり出来ない…なので受け答えがしどろもどろで…なんとも困った。

 だがそれでも、なんとか話を濁しなからも会話を続けカモメ亭の側まで着いた……。

「なんだよ、アキ!結構お前苦労してんのな?」

「ハハ何ですかそれ?まあ苦労っと言うか…トラブルには遭ってますけど」

「無自覚って怖えぇ……。お前、隣の国にってあれだろ?? ドイア国だろ?」

「無自覚って……それより、ドイア国がなにか?」

「あの国は、あんまり言い噂を聞かねぇぜ?うちの国とも……国王同士対立してるって聞くしな。それに…あっちの貴族もあんまなぁ…その」

 あれ?この会話って……何処かで…。

《ドイアで、聞いてますね。今お住みの町のギルドで、話をされてます》

『あぁ、ギルマスと話したっけ?騎士隊長とも話したかな? ん? 領主とだったかな?』

 お互いにいがみ合いしてるとこんな感じなのかな?

《まあ、お互い言い分がありますよ。国を同士等で》


「ハハそうですね、欲深い人が多いですかね? でも…貴族なんて、どの国でもそんなもんでしょ?」

「ハハハ、耳が痛てぇなぁ…。俺も弱小貴族の出だしなぁ~」

 と頭をカリカリと掻いておどけるアルムさん。

 …ま、まずい…ぞ!これは不敬な発現だったよ。 しまった!そうだよなぁ…門番って国に使える騎士だったよ。
 多かれ少なかれ貴族出身が居るわな…。
 平民と貴族の混在なんだろうけど。

「す、すみません。あ、あのアルムさん達がどうのと言う訳では…。そ、その気分を害されたなら謝罪を…………」

「ばっか!アキ、そんなもん別に気にしないで良いぞ? だが、俺の前だけにしとけよ?」

「は、はい!すんません」

「ハハ、お前面白いなぁ…強いんだか、弱いんだか良く分かんねぇし」

「ま、まあ強くは無いですよ。多分」

「…ふぅ~ん。強くないね?」

 そう言って、アルムさんが上から俺をじっと見てる気がする。
 何分、タッパの差があって見下ろされてるから良く分からん。

「あっ!ほらカモメ亭に着いたぜ?どうすんだ入るか?っと言っても、あれに並ばないと入れそうもないがな」

 カモメ亭の前に来ると、店に入る為に並ぶ人達……。相変わらずと、いうか……並んでる人が前より多くないか?

「な、なんか、多いですね?こんなに繁盛してるなら心配無いかな?」

 なんか、立ち寄るのも迷惑に為りそうだ。
 結界もちゃんと機能してるみたいだし、顔を出したら迷惑に為りそうだし寄らなくても良いかな?この分じゃ逆に迷惑に為りそうだよね。

「アルムさん、付いて来てもらって悪いけど…戻りますよ。何処か良さげな宿屋を紹介して貰えますか?」

「なんだよ、店主に会わねぇの?」

「ええ、この混み様なら下手に顔出したら迷惑に為りそうだし」

「そうか?だがよぉ…ここまで来たんだから遭おうぜ?なっ!ほら並ぶぞ。…俺なにげに楽しみなんだよ」

 そう言われて、最後尾に並ぶが……どれくらい待つんだこれ?
 話題の店に並ぶなんて事したの、日本でもしたことないから初めての経験だぞ?俺が店屋に並ぶ……ねぇ…。
 なんだか気恥ずかしい。
 それに、人と一緒に並ぶなんて事をするなんて思って無かったよ…ハハ本当笑える。

しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~

白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。 目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。 今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる! なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!? 非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。 大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして…… 十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。 エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます! エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

どこかで見たような異世界物語

PIAS
ファンタジー
現代日本で暮らす特に共通点を持たない者達が、突如として異世界「ティルリンティ」へと飛ばされてしまう。 飛ばされた先はダンジョン内と思しき部屋の一室。 互いの思惑も分からぬまま協力体制を取ることになった彼らは、一先ずダンジョンからの脱出を目指す。 これは、右も左も分からない異世界に飛ばされ「異邦人」となってしまった彼らの織り成す物語。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

神によって転移すると思ったら異世界人に召喚されたので好きに生きます。

SaToo
ファンタジー
仕事帰りの満員電車に揺られていたサト。気がつくと一面が真っ白な空間に。そこで神に異世界に行く話を聞く。異世界に行く準備をしている最中突然体が光だした。そしてサトは異世界へと召喚された。神ではなく、異世界人によって。しかも召喚されたのは2人。面食いの国王はとっととサトを城から追い出した。いや、自ら望んで出て行った。そうして神から授かったチート能力を存分に発揮し、異世界では自分の好きなように暮らしていく。 サトの一言「異世界のイケメン比率高っ。」

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが…… なろう、カクヨムでも投稿しています。

処理中です...