上 下
638 / 761
新たな町へ

573話 初めて見るオークション。

しおりを挟む
 

 そうして始まったオークション……。
 指定席に案内して貰い座って会場を見渡す。

「旦那様……凄い場所ですね?」

「俺も初めて来た!すげえ」

「まあ、気持ちはわかるが、大人しくしててくれよ?」

「了解です」

「うっす!」

 そして、他の出品物を見ながら目を白黒させてると遂にマジョルドバイパーが壇上に上げられた。流石にでかくて乗りきらないのでは?と思ったら、既に解体した状態で運ばれて来た。
 そうしてバイヤーからの掛け声でパーツ毎の競売が始まった。

 どれも最初のスタート額が…まさかの金貨100枚からだった…。
 そんなに欲しいか?あの不気味な生き物のパーツを?
 目玉に内臓、矢鱈たと長い髭に皮に魔石……と、どれも高額で落札されて行くのを眺めた。

 マジョルのパーツを競り落としたのは、商人や貴族の方々で…良くもまあ、あんな物に金が出せるものだ。

 出された物が高額で取引されるのを呆気にとられ眺める。
 すべてのマジョルのパーツが売れ、次の品が出品されるタイミングで、オークション会場を抜け出してノルンさんが居る裏手に回りノルンさんを探す。

「あ!あそこに居ましたよ!」

「本当だ!ノルンさん!お疲れさまでした」

「おう!お疲れさん、見事に売れたな?前回より額が多いぞ!ほれ!」

 と袋に入った金を渡される。

「えっと全部ていくらになった?」

「白金貨400枚と、大金貨200枚に金貨が500枚だな。さて帰るぞ!」

 うっ!そんなにか。
 なら、ノルンさんには……金貨400枚かな?口利き手数料やら、解体作業代やらで。
 馬車に乗り込みノルンさんに声を掛ける。

「ノルンさん、少ないですけど今日の分け前です」

 ノルンさんに巾着を手渡す。

「お、おい!これは貰い過ぎだ!」

「良いから良いから、貰って下さい!そしてまた、なにかあったら宜しくお願いします」

「ったくよ!分かった、それなら報酬として貰っおくぜ。まっく、アキを怒らせるなんてギルマスもバカだよな?さて、帰ろうぜ?アキ」

「はい!馬車に乗りますか?」

「おう、途中までのせてくれよ」

 そうして4人で屋敷に帰る途中ノルンを馬車から降ろし、三人で屋敷に戻った。

 御者はカシューで、馬車の中にはカナルと二人で屋敷に戻った。

「旦那様、また金持ちに為りましたね?」

「ん? そうか?」

「そうですよ、そんなに稼いでどうするですか?」

「……まあ、色々とね?それにカナルたちが居るんだから、稼がないとな!」

「俺らのせいですか?」

「所為とかじゃないぞ!俺の責任だ!」

「ふぅ~ん。そりゃ~頼もしい。では期待してます」

「突っかかるね、なに? カナル文句でも?」

「いえ? 別に、敵わないと思いましてね」

「……? それは…」

「すみません。俺はなんの役にも立ってなくて」

「え?役にって……。俺はカナルが屋敷に居てくれないと困るんだけど。カナル達が居てくれないと、俺が好きに動けないだろ? 頼りにしてるよ俺はさっ、明日からまた俺は出かけるから」

「はあ? 出かけるって……また何処に?」

「気儘に一人であちこち?」

「何で疑問系なんですか!それにブルーはどうすんですか? あいつ旦那様にしか懐いてないですよ?」

「あっ!忘れてた。てへ♡」

「てへ!とかじゃなくて……」

「まぁまぁ、そう怒るなよ。あとで、ブルーと話すし」

「まあ、それなら……」

 と話をしていると馬車が止まり、門が開いて屋敷の中に入った様だ。

「カナル、俺の旅の事はさ、後でみんなの前で話すからそれまで黙っててな?」

「…了解です!」

 馬車が止まり扉が開くと、先にカナルが先に降りて次に俺が降りた。屋敷からベントンが慌てて近付いて来ると、挨拶もそこそこにして馬達を厩舎に連れて行った。

 ベントン、馬が可愛いのはわかるが…俺が主だぞ?その辺分かってるかな?

 まぁ……良いけどな。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...