上 下
623 / 761
新たな町へ

566話 お貴族様の強奪作戦! 改稿

しおりを挟む


 なんだか良い様に、二人の貴族に丸め込まれてる気がするのは気のせいじゃないよな…。

「……い、いえ、大した物は置いてませんよ?国では商人をしておりまして、この部屋に飾る物は全て私の国に有るものですよ?それに飾る物は、飾って置かないと価値がないですから」

 別に見せびらかしてる訳ではない!

「そ、そう言えば君は商売をしたいと言っていたね?」

「ええ、まぁ」

「店を出す、目処は立ってるのかい?」

「いえ、未だですが。ですが…商売は諦めてます」

 そう、諦めも肝心だと思ってるんだよね。
 店を持って、人を雇いたかったんだけど…。
 使用人の募集でのトラブルとか…色々有りすぎだよ。
 それに神殿の子どもにも、仕事を覚えて貰って?なんて甘いことを考えてたら…余り歓迎されなかったしね。
 まっ、土台がちゃんと出来てないから信頼されなかったのだろうし。
 全部俺の甘い考えで失敗したしね。

《その辺はちゃんと、反省してるのですか?》

『…反省…してるよ!むりくり話しを持って行った俺が悪いからね』

「おや?そうのかい?君なら商売も上手く出来るのでは?」

「いえ?私にはそんな才能は無い様です。ですので、ああして飾って見てるだけで満足してるのですよ。それに冒険者の方が、私には向いてるのかもしれません」

 そのお陰でこうして贅沢も出来てるんだし。
 欲張るのも良くないよな。

「それは、実に惜しいと思うがね?」

「まっ、人間諦めも肝心なのですよ」

「お話し中に、失礼致します。旦那様」

「なに?ケイルス?」 

「部屋でお話していても、時間が勿体ないですよ?お二人に、お屋敷を御案内しては?」

「あっ、あぁそうだね……。ならば、ケイルス付いて来てよ」

「承知致しました」

 まぁ、案内しても良いのかな?でも一階だけだよ?

「では、領主様に騎士団隊長殿。屋敷を御案内しますが、本当につまらないですからね?」

「まぁまぁ、私たちは気にしないよ?見たいと言ったのは我々だからね」

「本当にそうだと良いのですが?それと…出来れば一階のみの御案内にしたいのですが?」

「それはどうしてだい?」

「二階から上の部屋は、使用人達の部屋と私の部屋ですのでお見せ出来ません」

「そ、そうなのかい?では一階部分と、庭でも見せて貰うよ(まるで、貴族のそれ!だねぇ……。面白い子どもだ。一緒に話してると、大人と話をしてるのでは?と錯角しそうだ)」

「では、御案内致します」

 ほんと、見せる場所なんてないんだよ!帰ってくれないかなぁ~。
 何が悲しくて、貴族に自分の家を見せるなんて事しなきゃならないんだよ!

「では、何処からにしましょうか?」

「それは決まってる!先ずはこの部屋だよ!暁彦君!」

「そうだね、そのガラス棚と暖炉の上にある置物を是非見せてくれないか?」

「か、構いませんが…家の案内は?」

「いいから、いいから、先ずここを見るだけだよ?ハハハ」

 やっぱり金目の物から目が離せなかったんだね?所詮は貴族なんだな。
好い人だと思ったのに…残念。
困ったら頼れるかなぁ~なんて思ってたんだけど…どうやら無理っぽい。残念。

 にしても、部屋の置物に興味を御持ちなんですねぇ~。
 どうしょうか、この人ら…。

「そ、そうですか?で、どれをお見せしますか?」

 先ずは暖炉に乗るフォトフレームに、興味を示しそして置時計に目が向く。
 それから水晶で作った薔薇の置物にも、釘付けの二人だ。

 それから移動して、硝子の棚へ。
 これは扉も硝子で作ってあるので興味をさらに示し、当然中に飾って有る物にもだ!

 その中に飾ってある食器の数々。
 バカラのグラスに切子細工のグラス。
 それからティーカップのセットに、絵皿にクリスタルのウサギの置物やその他色々。
 ってか全部に興味津々のご様子だ。

 けして派手ではない筈の置物の数々が、何故この人らの目に止まったのか。
 宝石なんて飾ってないぞ?
 あっでもバラの置物あれは、宝石使ってた。

 だがしかし!手持ちの宝石は全てアイテムボックスの中にはあるがな!

《それは要らぬ情報!無駄に自慢しない方がよいと考えますが?》

『……心の中で自慢したって、良いじゃんか!誰にも迷惑掛けてねぇ!』

《正論……失礼》

 一通りリビングに飾ってある物の説明をして、ぐったりとソファーに座る俺だ。
 お貴族様お二人は、元気一杯でなにやら話し込んでる。

 一体屋敷の案内は何時出来るのか…。

 あっ風呂は?

「暁彦君!是非、私にあのグラスとあの時計を譲ってくれないか?」

「あっ!俺も時計を狙ってたんだが?それと、その隣にある硝子の花の置物だ。あれは妹にピッタリな贈り物だ!そうは、思わんか?」

 来ました貴族の強奪作戦!

 これが目的だったのだろうなぁ~風呂は口実か。
 前回隊長が来た時にはもう、目星を付けてた!
そんな感じだろうなぁ~。
 それなら吹っ掛けて売るか!

 ってか風呂はどうした!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

処理中です...