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新たな町へ

566話 お貴族様の強奪作戦! 改稿

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 なんだか良い様に、二人の貴族に丸め込まれてる気がするのは気のせいじゃないよな…。

「……い、いえ、大した物は置いてませんよ?国では商人をしておりまして、この部屋に飾る物は全て私の国に有るものですよ?それに飾る物は、飾って置かないと価値がないですから」

 別に見せびらかしてる訳ではない!

「そ、そう言えば君は商売をしたいと言っていたね?」

「ええ、まぁ」

「店を出す、目処は立ってるのかい?」

「いえ、未だですが。ですが…商売は諦めてます」

 そう、諦めも肝心だと思ってるんだよね。
 店を持って、人を雇いたかったんだけど…。
 使用人の募集でのトラブルとか…色々有りすぎだよ。
 それに神殿の子どもにも、仕事を覚えて貰って?なんて甘いことを考えてたら…余り歓迎されなかったしね。
 まっ、土台がちゃんと出来てないから信頼されなかったのだろうし。
 全部俺の甘い考えで失敗したしね。

《その辺はちゃんと、反省してるのですか?》

『…反省…してるよ!むりくり話しを持って行った俺が悪いからね』

「おや?そうのかい?君なら商売も上手く出来るのでは?」

「いえ?私にはそんな才能は無い様です。ですので、ああして飾って見てるだけで満足してるのですよ。それに冒険者の方が、私には向いてるのかもしれません」

 そのお陰でこうして贅沢も出来てるんだし。
 欲張るのも良くないよな。

「それは、実に惜しいと思うがね?」

「まっ、人間諦めも肝心なのですよ」

「お話し中に、失礼致します。旦那様」

「なに?ケイルス?」 

「部屋でお話していても、時間が勿体ないですよ?お二人に、お屋敷を御案内しては?」

「あっ、あぁそうだね……。ならば、ケイルス付いて来てよ」

「承知致しました」

 まぁ、案内しても良いのかな?でも一階だけだよ?

「では、領主様に騎士団隊長殿。屋敷を御案内しますが、本当につまらないですからね?」

「まぁまぁ、私たちは気にしないよ?見たいと言ったのは我々だからね」

「本当にそうだと良いのですが?それと…出来れば一階のみの御案内にしたいのですが?」

「それはどうしてだい?」

「二階から上の部屋は、使用人達の部屋と私の部屋ですのでお見せ出来ません」

「そ、そうなのかい?では一階部分と、庭でも見せて貰うよ(まるで、貴族のそれ!だねぇ……。面白い子どもだ。一緒に話してると、大人と話をしてるのでは?と錯角しそうだ)」

「では、御案内致します」

 ほんと、見せる場所なんてないんだよ!帰ってくれないかなぁ~。
 何が悲しくて、貴族に自分の家を見せるなんて事しなきゃならないんだよ!

「では、何処からにしましょうか?」

「それは決まってる!先ずはこの部屋だよ!暁彦君!」

「そうだね、そのガラス棚と暖炉の上にある置物を是非見せてくれないか?」

「か、構いませんが…家の案内は?」

「いいから、いいから、先ずここを見るだけだよ?ハハハ」

 やっぱり金目の物から目が離せなかったんだね?所詮は貴族なんだな。
好い人だと思ったのに…残念。
困ったら頼れるかなぁ~なんて思ってたんだけど…どうやら無理っぽい。残念。

 にしても、部屋の置物に興味を御持ちなんですねぇ~。
 どうしょうか、この人ら…。

「そ、そうですか?で、どれをお見せしますか?」

 先ずは暖炉に乗るフォトフレームに、興味を示しそして置時計に目が向く。
 それから水晶で作った薔薇の置物にも、釘付けの二人だ。

 それから移動して、硝子の棚へ。
 これは扉も硝子で作ってあるので興味をさらに示し、当然中に飾って有る物にもだ!

 その中に飾ってある食器の数々。
 バカラのグラスに切子細工のグラス。
 それからティーカップのセットに、絵皿にクリスタルのウサギの置物やその他色々。
 ってか全部に興味津々のご様子だ。

 けして派手ではない筈の置物の数々が、何故この人らの目に止まったのか。
 宝石なんて飾ってないぞ?
 あっでもバラの置物あれは、宝石使ってた。

 だがしかし!手持ちの宝石は全てアイテムボックスの中にはあるがな!

《それは要らぬ情報!無駄に自慢しない方がよいと考えますが?》

『……心の中で自慢したって、良いじゃんか!誰にも迷惑掛けてねぇ!』

《正論……失礼》

 一通りリビングに飾ってある物の説明をして、ぐったりとソファーに座る俺だ。
 お貴族様お二人は、元気一杯でなにやら話し込んでる。

 一体屋敷の案内は何時出来るのか…。

 あっ風呂は?

「暁彦君!是非、私にあのグラスとあの時計を譲ってくれないか?」

「あっ!俺も時計を狙ってたんだが?それと、その隣にある硝子の花の置物だ。あれは妹にピッタリな贈り物だ!そうは、思わんか?」

 来ました貴族の強奪作戦!

 これが目的だったのだろうなぁ~風呂は口実か。
 前回隊長が来た時にはもう、目星を付けてた!
そんな感じだろうなぁ~。
 それなら吹っ掛けて売るか!

 ってか風呂はどうした!
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