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新たな町へ

555話 思いがけない話し。 改稿

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 おやつで子供の気を引いてると、店の店主メンバルンが部屋に入ってくるが……俺と奴隷の子供の距離が近いのに驚いて声を上げる。

「な、なにをされてるんですか!」

「ひっ!」

 おっ!声が出たよ、良き良きですぞ!でも店主よ!子供を驚かすなよ。
 まあこの店は店主の物だから…文句は言えないけど。

「えっ? この子の緊張を解こうかな?と思ってな、菓子でも食べてコミュ取ろうと思って?」

「…はぁ? アキヒコ様は変わった方ですねぇ~?ところでコミュとは?」

 あっ!また遣っちゃったよアハハ。

「ハハハ、気にしないで下さい。それと良く言われるので此方も気にせずに。それで、この子とさっきの…えっと…アンクさん?引き取りますので、手続き宜しく頼みます」

「はぁ…此方としては買って頂ければ有難いですが…。本当に宜しいのですか?もっと、こう…お役に立てる奴隷も居りますが?」

「役に? …例えば?」

「そうですねぇ…アキヒコ様の容姿でしたら、姓奴隷とかでしょうかね?フフフ」

 せ、姓奴隷……………そんなもんごめん被るぞ!
 屋敷のほんわかな空気が乱れるじゃないか!

《随分とお利口な……言い訳ですねぇ…興味が有る癖に》

『う、五月蝿いやい!興味が無かったら恐いだろうがよ!俺はそれを表に出さない主義なんだ!』

《あ~むっつり!なんですね?》

 そんな言葉を何処で覚えた!ナビ!

「俺は客ですが?ここの店は、客に対してそんな暴言を吐くのか?」

 ムッとしてメンバルンを睨んで威圧を掛ける。

「こ、これは失礼致しました……。いえ、アキヒコ様なら男女共に引く手あまたかと思いまして……。華街では、大層おモテに為るのでは?」

 引く手あまた…ってなんだ?
 俺がモテるなら……まぁ良いや相手にしてたら日が暮れる。

「……」

 俺はなにも答えず、むっとしてメンバルンをギロリとひと睨みする。
 それに気づいたメンバルンは慌てて契約の手続きを始めると口に出す。

「こ、これは誠に失礼しました……。で、では早速なのですが…契約の手続きをしますのでお待ち下さい。(私としたことが失態でしたねぇ…。お客の機嫌を損ねてしまいました)」

「それなら早くしてくださいよ」

「そ、それでは金額なのですが…勉強させて頂いて、二人分の金額で大金貨5枚で如何でしょうか?」

「……なら、これで…」

 二人で50万ね…高いよなぁ~。
 でもまぁこれが普通なのかな?

「は、はい丁度頂きます。では、支度をして参りますのでお待ち下さい。その間に先ほどお伝えしたお話しをさせて下さい」

 メンバルンは一度立ち上がって、自分の手下に俺が買った二人の支度を済ませる様にと伝えると再び俺に話し掛けてきたが…。

「……一体なんですか?面倒事ならごめんですが?」

「いえ、大した事ではないのですが…。前回アキヒコ様が買った奴隷の中で、アキヒコ様の所から逃げ出した奴隷を覚えてますか?」

「逃げた……」

『ナビ、どっちの話だと思う?』

《そうですねぇ~多分男の方だと思いますが…》

「アキヒコ様のお屋敷から、物を取ってそう逃げ出したニグスと言う男の事なのですが」

「それがなにか?」

「その…逃げた奴隷の、手配書を出されていなかった様ですが。それは何故ですか?」

「…奴を買って金がかかり、更に逃げられてるのに、未だ無駄金を掛けろと?」

「そっ、その考えには行き着かなかったですねぇ。ハハハ、アキヒコ様は堅実な方のようですね」

 堅実?懐が硬いんだよ俺は!

《それを遠回しに言ったと考えましょうよ!》

『ふん!どうせケチですよぉ~!』

《ケチ………で、済ませるんですね…》

「それで、そいつがどうかしましたか?何処方で、野垂れ死にでもしてたのですかね?」

「そ、そうではなくて、隣町でどうやら捕まったらしく。彼方の兵士から連絡が入り、また私の店に戻って参りました。ですが、彼方では奴が盗みを働いたと判断された様でして、彼方で犯罪奴隷として落とせとの事でした。従って、私が奴を鉱山に送ったのですよ」

それはそれは、報告ありがとう?
なのかな?別に逃げた男の末路なんて聞きたくもなかったんだけど。

《相変わらずですね?》

『なにか?』

《…いえ》


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