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新たな町へ
547話 本採用。 改稿
しおりを挟むグレドが、ここに居る全員分のデザートを出し終えるのを確認してから俺はケイルスに改めて声えを掛ける。
「すまん、ケイルス君待たせたね」
「いえ、構いませんよ?子供達が飽きると、お思いに為られた結果でしょうから。大人の話しなんて聞いてても、子供は眠くなるだけですから」
良くお分かりですねぇ~ご理解早くて助かります。
「そうなんだよ。やたら緊張させても、子供たちが可哀想だからね。で、ここから本題」
「はい、なんでございますか?」
「コホン。屋敷の切り盛りは、ニングスから引き継げたかな?」
「ええ、大方。ニングス殿が、出掛けられてる間の分からないことは、旦那様からと聞くようにと、ニングス殿からの、指示が出ております」
「そう、それで……どう?屋敷での仕事は」
「そうですねぇ……ハッキリ申しても?」
「構わないよ?別に俺は生活を変える気はないし、ここが合わないと感じてるなら、出ていってくれればそれで。面倒事に為る前に出て行ってな?そりゃぁ~、ここに残ってくれるなら嬉しいけどね?」
若干不思議な屋敷だし、使用人は元奴隷だし。
あっこれ言ってないね……どうしょうかな?
「そう……ですか、それなら安心してください。私をここで正式に雇って下さい」
「えっ?! 良いの?」
「なんで驚くんですか?」
「いや、さっきの口振りだからねぇ…?てっきり……」
『出て行くんだと……』
《フフフ、良かったですねぇ~。記憶の操作しなくてすんで》
『だね…ぇ』
まぁ、ナビの言う通りなので…否定はしませんよ。それに助かるし。
「一週間こちらでお世話に為り、色々見てきましたが…。こちらのお屋敷は、実に仕事のしがいが有りそうです!使用人の方々も好い人ばかり、それにこちらでの食事!あれには負けました」
負けたってなに? 誰が勝ったのかな?
……ああ、俺にか!ハハハ!そうだろ!
《自惚れてませんか?》
『五月蝿い!』
「そ、そうなんだ。ケイルス君が良いなら居てくれ。こちらも優秀な人が来てくれると助かる」
「それは…誉め過ぎですよ。でも、ありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します」
「宜しく。それから、ガインさん!」
「お、おう。俺か?」
「ええ、一週間、屋敷で働いてどうですか?」
「どうと、言われてもなぁ~。特に何もねえよ?俺は独り身だし、ここは居心地が良いし。旦那は変な奴だが楽しい。俺もここに居させてくれると助かる」
今更部屋と仕事を探すのも面倒だしな!と言われてしまった。フフフ…そ、そうか?なら二人採用ね。
でも変な奴って……?
「了解です。では、お二方本採用です。今後とも宜しく」
「ええ、宜しくお願い致します」
「んだよ、改まってよ!こっちこそ宜しく頼む」
よし!これでこの二人はクリアです。
後は……マイナか。
****
新しく招いた使用人たち…一人減って二人になりましたが…。
祝本採用です。屋敷にまた新しい仲間が出来て暁彦君は嬉しそうですね?
さてこちらは気まずい雰囲気に押し潰されそうな神様が一人。
これからなにかが、アルシャに巻き起こりそうな神域では?
「あっ!パルミラさん? 私も急用を思い出しましてね?ここら辺で暇を…」
と逃げようとした矢先に、パルミラとサンズにしっかり、ガッツリ両腕をホールドされて動けないアルシャ。(に、逃げられない)
「逃がさないわよ!アルシャ!リンデルは逃がしたけど!さぁ吐け!いったい暁彦に何をして貰ったのかしら?」
「そう!吐け!」
「……あっああ、それですか?忘れてました。後で皆さんにもお裾分けをしようと思っていたのですがね?先程私宛に、暁彦くんから美味しいお茶請けを預かりましてね?皆さんでどうぞ♡だそうですよ?本当に彼気の利く良い子だと思いませんか?ねっ、パルミラ?サンズ」
(こ、これで誤魔化せるか?)
「………あ、あらやだぁ~!そうなの?なに暁彦から差し入れなの?」
「ふふふ。暁やるではないか!これは私の左手に封印され……」
と、いきなり自分のバックに暗闇を背負い訳のわからん事を言い出したサンズである。
それをみかねたパルミラが、何とも言えない顔をしてサンズに突っ込んだ。しかも後頭部を頭を叩くという突っ込みで。
「サンズ!止めなさい!」
パンと軽い音をさせてパルミラがサンズの頭を軽く叩いた。
「いっ!いたいパルミラ!あたし一度これやりたかったのにぃ~。これって暁の世界の有名な言葉だよ!」
と厨二のような発言をかますサンズ。わけわからん。
アルシャとパルミラがサンズを痛い子を見つめるような…何とも言えない眼差しで見つめる。
「ふ、二人とも失礼だよ!そんな目をしなくても良いでしょ!それより!暁からのお菓子?なに貰ったのさっ!」
それは…ですね…フフフ。
………つづく
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