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新たな町へ
535話 イリヤ 6 改稿
しおりを挟むがたごとと揺れる馬車の中は、しんと静まり誰も口を開かないから凄く気まずい雰囲気です。
でも、子連れのおばさんが(失礼過ぎる)いてその子供が時々騒ぐけど…この度に申し訳無さそうに回りに謝ってるよ……。
あたしも将来子供が出来たら、ああなるのかな?でも、なんか嫌だな……。そもそもあたしって子供が嫌いなんだよね。
でも、次の町に行ったら仕事探して…それからフフフ好きな人とか出来るかな?
そうだと良いなぁ……。
飛び出して来たお屋敷の旦那様は、それはそれは凄い美人さんだったけど…あの人は規格外かな。
過ごす過ぎるもん。
そんなことを考え、馬車に乗り込揺れで眠く為ってうとうとしてると馬車が急に止まった。
「え?なに?」
「お客さん達、少し待ててくれや!この先に魔物が出てる。決してここから出ないでくれや」
「ま、魔物…ひぇ~!」
「魔物…ママ怖いよぉ~」
「大丈夫よ、ママがいるでしょ?ねっ」
「う、うん……」
なんか……あの親子嫌だな……煩いし、静かにしてくれ無いかな。魔物が出てるんだよ!静かにしててよ!
そしたら今度は、冒険者風のお兄さん達が騒ぎ出した。
「お、やっと俺らの出番だ!御者のおっちゃん!俺らが魔物なんかちょいちょいと狩って来るぜ!」
「だな!」
「そ、そんなお客さん座って待っててくれよ。別に護衛は雇ってるだよ!こっちは無駄金なんか出せないからな!」
「ちっ!けち癖ぇなぁ~」
「たがよ、金を貰わないなら、狩って来て良いのか?素材欲しいんだよ」
「それは外の護衛と話しを付けてくれよ。俺は知らん」
「そうか……まっ今回は引くか…」
「仕方ねぇ後で護衛の奴らと話すか…」
ひぇ~魔物狩りなんて……こ、怖すぎるよ!
あたしは黙って大人しくしてようっと…。
それから暫く大人しくしてると、また馬車が動き出した。
「ほっ…」
これで王都からまた離れられたよ……。
でもあの旦那さんって、あたしなんかを追ってなんて来ないだろうなぁ~。
優しいけど…冷たい人だったもんね。
暁彦の優しさをまったく分かって居ないイリヤ。
ちゃんと仕事をこなせてれば、なにも問題はなかったのだが、まったくその事に理解出来て居ないのだから…哀れではある。
イリヤ以外の使用人達はちゃんと暁彦の優しさを理解しているからあの屋敷で働くと云うのに…。
馬車が動き出して夕方に為る頃、一旦馬車は止まり今日はここで野営すると、御者のおじさんに言われてみんなで外に出てるんだけど…。
馬車に乗ってたみんなは其々食事してる。
でも…あたしは食べ物持ってないし……。
仕方ない……馬車で大人しく寝てようかな。
人と話すのも苦手だし。
馬車の外では、みんなでなんか話しながら食事してるなぁ……いいなぁ~。
あたしも混ざりたい…。
お屋敷居た頃は、マイナちゃんとゲイル君がよく話し掛けてくれてたなぁ~。
あたしって…お屋敷出て失敗だったのかな?
ここでは、お水も飲めないし…ご飯も今は無いし。
お屋敷にいたら、水もご飯も食べ放題だったよね?それに何故か昼3つに出るおやつもあった…あたし……恵まれてたのかな?
…屋敷を出てから半日程経って、やっと自分の置かれていた状況が分かったイリヤだが…今更遅い。
朝の寝坊も自分が悪いし、罰金は…それは痛かったけどでも気にして起こしてくれるケイトが居たのに、それも邪険にしてしまった……。
屋敷で仕事をしてても、自分のドジでよく物を壊してそれをうっかりドジしたからしょうがないと言い訳をしてたし……。
けど…自分がちゃんと注意してドジをしない様な努力はしなかった。だって物凄く面倒だったし、物を壊しても「謝ったら許してくれるよね?」と甘い考えがあったからだ。
アハハ今更ながら甘かったと実感するよぉ……。
どうしょう、お屋敷に返りたくなっちゃったよぉ。
お腹空いたし…喉元渇いたよぉ~。
馬車の隅っこで膝を抱えて半泣きしながら誰にも声も掛けられる事もなく一人ポッンと居るイリヤ。
「なんか思い出して来ちゃったよ……」
これって…貴族から売られて奴隷商人の処の檻に入れられた時と同じだよね。
あぁ、あたしって馬鹿だなぁ~。
と、空腹を抱えて眠るイリヤだった。
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