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新たな町へ

519話 騒ぐ双子の冒険者。

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「アキヒコ、流石に奴隷は……」

 なんだ?ギルマスは反対なのか…だが今回は許さん!

「嫌、俺は許さんぞ!あれだけ頼んできて、屋敷に入ったら態度を変えたからな!それだけでも許せないのに、なにが半日しか仕事はしないだ!他の使用人達にも悪影響だ!こんな奴ら奴隷で十分だ!兄弟別々に別れて、別の奴隷商に引き取らせる事を希望する」

「なっ!そ、そんな奴隷なんてひでぇ!」

「だよ!お前こそ化物の癖に!町で暮らしてやがって!」

「煩せぇ!黙れよお前ら…。これ以上、旦那様に失礼な事を言うなら……その喉潰すぞ!」

 カナルが切れて、双子の兄の首を掴み力を入れて絞め付け絞められた兄が苦しがる。

「うぐ……くは……」

「お前!兄貴を離せ!このやろー」

 後ろ手に縛られ、カシューに押さえられてる双子の弟が兄ちゃんになにをするんだ!と暴れるが、カシューにしっかり腕を取られ上半身はしっかり押さえられて、自分の足をドタバタするだけで全くカシューの腕をほどけない。実に残念だな?冒険者だったら、暴れて拘束を振りほどいて兄貴助ける位はしてみれば良いのに。

《底辺の冒険者には出来ませんよ。カシューはあれでも、Cランクに為って力がついてますからね。力では負けますよ》

『そうだったね、それならあの光景は当然か…』

 ナビと話してるとカシューが双子の弟に怒鳴る。

「煩いぞ!お前もああなりたいか?ん?」

「カナル、カシューやめろ!お前らがしなくていいよ。大丈夫だ。ギルマス、こいつら俺に対する不敬罪だ!俺はこいつらの雇い主だからな、好きにさせて貰うぞ?」

「………り、了解した。こいつら他に作った借金も、どうせ踏み倒してるんだろうしな……。こっちでちゃんと調べるとするよ。待ってろ、今護衛を呼んでくるから。それとメルに頼んで、奴隷商の手配もしてくるから、少しこいつら見張っててくれや」

「……了解。なるべく早くな?」

 見張ってるのも苦労すんだからな!早くしてくれ!

 部屋からギルマスが出ていくと、また双子が騒ぎ出す始末だ。こいつら本当に煩い!
 何でこんなのが冒険者で居られるんだろうか?

 この双子は、ランクも低いし依頼も失敗が多いって鑑定で出たし。
 俺からしたら碌な者じゃねぇ!

 こいつらが泣いて頼んで来たから、今回は条件もちゃんと伝えて誓約書にも拇印させたのに。
 なのにこいつら、草の根も乾かない内に仕事はしたくない等と抜かしやがった!
 そんな飛んでもねぇ屑には恩情すら掛けたくない!それにしても良く騒ぐな!

「五月蝿い、お前ら少し寝てろ【スリープ】」

 二人に魔法を掛ければ、ガックリと項垂れカシュー達に寄り掛かった。
 カナルとカシューは、押さえていた双子から力が抜けた双子に寄り掛かられ来たのが、ウザかったのか?双子から直ぐに手を離して、一歩後ろに下がると双子は同時に顔から倒れた。

「「バタン!」」

 倒れた音が……実に痛々しいが…構う事はない。

 顔から倒れて行ったな……。
 多分鼻の骨が折れたか顔面強打で顔の何処かを骨折してるな……。

 まあ…あれは痛そうだ。

「カナル、カシュー……?そいつら支えて遣らんの?」

「な、訳ありませんよ!こんな奴ら支えて遣る気も無いですよ!」

「しかし寝かせたのは、良かったですよ!煩かったですからね?」

「だろ?さてギルマスとメルさんが来る迄茶でも飲んで待ってようぜ?」

「それ!良いですね」

「是非!俺、喉乾きました!」

 乗りの良い二人……、俺はあそこで寝ている双子に化物と言われたが。そんなことを気にする素振りも見せずに、俺と一緒に茶を飲んでる。
 おまけに、茶請けの菓子まで食ってる…。
 なんとも頼りに為る二人だと、カナルとカシューを見ながら茶を啜る俺だ。

 暁彦は考える。
 出来れば、今回採用した三人は屋敷に定着してくれれば良いなぁ~とボンヤリ考え悩むのだった。

 後…足りないのは門番だけど……。
 補充するなら奴隷商人から買うかな……。
 でも……もう人は要らないか?

 あぁ!商売……どうするかな~。

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