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新たな町へ

460話 グレドの家族 5…説得!

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 それから2日目の昼。
 ラルフから下の子供達も、具合が良くなり普通の食事が取れる様になった。
 家族全員での、食事が終わるとグレドが妻ローザに気持ちは決まったかと聞くのだった。

「ローザ、気持ちは決まったか?」

 隣の宿屋の主人から、嫌がらせを受けて居るとラルフから聞き。
 隣の主人と話すために、隣の宿屋に顔を出したが知らぬ存ぜぬの一点張りで話しに為らなかった。
 それならと、町の警備騎士に嫌がらせを受けていると訴えて、被害届けを出したがなんの効果もない。

 これでは、到底この宿に残っても暮らしては行けないのは分かってる筈なのだが…。
 ローザは未だ決断が出来ていないのか、今日までギリギリ待ったが返事をしてこない。
 明日一日でどうするのかを、決めないと為らなかった。

 焦るグレドは、痺れを切らしてローザに話を切り出したのだった。

「ローザ、ここに居ても商売に為らないぞ?どうするんだ?水も飲めなければ宿も開けない。それに隣のじじいの所為で客も来ないぞ?」

「………貴方……でもここは」

「ふう……なら、ラルフお前はどうする?」

「僕?」

「ああ、お前はどうしたい?この宿屋にいて、商売できるか?」

「………出来ないよ、僕は未だ子供だし。ルネルだって、ルメドだって小さいもん。やっと病気が治ったのに……」

「なら、どうしたい?」

「僕は父さんと行く!ねぇ母さん、ここは暮らせないよ?母さんだけ残るの?そしたらルネル達は?ルメドだって小さいんだ」

「そうは言っても……、ラルフ。また旅なんて、母さんは出来ないわ」

「なら、お前は残るか?ラルフ達は俺が連れて行くぞ?俺は、家より子供の方が大事だからな。お前が行けないと言うのなら仕方がない」

「そ、そんなラルフ達は私の子供よ!貴方に任せられないわ」

「ここの水を飲んで、死にかけたのに!未だそんなことを言うのかお前は!」

「だってここは、私の家なのよ!父と母の思い出が、詰まった!」

「その思い出の家を一度、お前は離れて俺と一緒になって、あの町でこことは違う町で暮らせてたろ?何で今更そんなことを言うんだ?言っちゃ悪いが、お前の両親はもうこの世には居ないだろ?」

「そうだけど……もう旅は嫌なのよ!」

「なら仕方ない、お前はここに残れ。俺はもう知らない。明日の朝、俺はここを出る」

 水も金も無いのに暮らせる訳がない。

「父さん……」

「ルネル……お前はどうしたい?母さんと居るか?」

「父さんはここに居ないの?」

「父さんは、帰るところがあるんだよ。だからなそこに行くんだ」

「嫌だよ!父さんといる…………」

「父ちゃん……」

「ルメド……なんだ?」

「父ちゃんは、どこかに行っちゃうの?」

「ごめんな?お前は母ちゃんと居たいか?」

「うん!でも父ちゃんともいたいよ?」

「父ちゃんも、お前達とお前の母ちゃんといたいぞ!なあ?ラルフ」

「うん……ねぇ、母さんここは、諦めようよ?この馬車だったら、旅は大変じゃないかもよ?ね!父さん」

「ああ、この馬車なら皆で旅しても宿屋に泊まる必要もないし。野宿だって怖くないぞ?」

「そうなの?本当に」

「ああ、絶対だ!俺の主人が作った、この馬車なら怖くも辛くもないぞ?昨日馬車の中を案内したろ?」

「ええ、それは見せて貰ったわ。だけど……」

「ああもう!ごちゃごちゃいうな!ここは、売る!今からギルドに行って、話しをしてくる!それでいいな!」

「ま、待って頂戴そんな急に!貴方に何が分かるの!ここは、思い出の場所!父も未だ亡くしたばかりなのに!」

「そうか、なら。もう知らない。無理だな俺は宿にはいられないし、水も危ないこんな場所はごめんだ。お前が子供の為を思うなら、ここに居られないのは分かるだろ?」

「……わ、分かったわ。そこまでいうなら、私だけここに残るわ」

「母さん!なに言ってるんだよ、皆で父さんの暮らす町に行こうよ!宿屋が出来なくても良いじゃないか!母さんは僕達を捨てるの?」

「子供にこんなこと言わせるのか?お前は……」

 駄目だこいつは……言い出したら動かない。

「分かった。明日の朝、子供達を連れて出てくぞ。ラルフ、ルネル、ルメド、なにか持って行きたい物があれば、荷造りしておけ。俺はここに居るから」

「……分かったよ」



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