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新たな町へ
440話 不安だ……。
しおりを挟む出来上がった料理を、マイナとボルエがワゴンを押して食堂に入っていくが……。
マイナ達が、わたわたしてるね…後で考えよう。
そんな事をぼんやりと見てると、カシューが俺に声を掛けてくる。
「旦那様…いつ、食堂を広くしたんです?」
「ん?さっきだけど……」
「……さっきですか…」
「なに?カシュー」
「い、いえ何も……」
「ってか、その子どうしたんです?」
カナルが俺の頭の上に寝る、ブルーを指さして聞いてくる。
「え?これかぁ~、聞くなよ…聞くと後悔するぞ?カナル」
「……後悔…ですか?」
「だよ。さあ飯だ食うぞ。みんな、食事は行き渡ってるの?」
「はい!大丈夫です!」
「なら、頂きます!」
「「「「頂きます!」」」」
皆で食事が始まると、頭で寝てたブルーが目を覚ました。
[ん?なんだ良い匂いが…するぞ…クンクン]
「お、起きたの?飯だぞ」
[おっ飯か!食う………]
パタパタと俺の頭から飛び上がると、部屋の回りを一回りするが……一体何がしたい?
部屋に居る皆も食事の手を止めて、飛ぶブルーを見てるし。(笑)
皆食えよ?料理が冷めるぞ?
[主、我の飯は?]
「そこにあるだろ、好きなの食ってくれ」
[む、これは。主達の食い物と同じ物か?]
「そうだけど…なに?食べれないの」
[嫌、頂こう]
手掴みで、ベーコンを掴むとパクリと口にする。
[んむ……ング…ムグムグ……ゴックン。これは旨い!後は果物が有れば我は満足!]
良かった…馬鹿食いされても困るしね。後は果物ね?
「わかった、後で出すからまってろよ」
[うむ!早く出せよ]
偉そうにほざくと、またベーコンを頬張るブルーだ。
騒がれるのも面倒なので、ブルー目の前にリンゴと葡萄を皿に乗せて出してやる。
[おお、主それは?旨そうだ!]
「ハイハイ、大人しく食えよ」
それから……バタバタしながらも食事は終わり、皆は仕事をするといって、食堂を後にするのだった。
さて、俺も厨房でタウルス達にパンの作り方や、麺の作り方に出汁の取り方を丁寧に、時間を掛けて教えないとな。だけど……。
頭の上に乗るブルーがウザイ。
それはまぁ~、おいておくけど…。
だが、先に料理人達が優先だよね。
大変だ…、何せ一からだよ?面倒この上ない。
「だ、旦那様?これは骨ですよね?」
ほら、始まったぞ!
「そう、骨だよ?」
はぁ~、この説明も三回目だな。ハハハ!
「そう、骨を洗って綺麗にしたらね。水を入れた鍋に入れて煮込む。香草や生姜を入れて臭みを取りながら、煮立て無いようにゆっくり煮込む」
「煮込んでどうすんだ?」
「スープの出汁にするんだよ。一回目は骨以外は捨てて、二回目にも同じ香草類入れて今度は長時間煮込む」
「はあ……?」
「まあ、やってみてよ?その間に、パンの酵母を作ろう」
「………?こう、酵母?なんですか?」
「酵母は、パンを柔らかくする物だな。ここに、リンゴと瓶が有るだろ?」
「「は、はい」」
「このリンゴを切って芯だけ取って瓶に入れて蓋をして4日このまま放置で終わり。常温で暗い所に置いて、たまに瓶を振るくらいかな?」
「……なんですか?それ」
「まあ、後のお楽しみです。さて、下ごしらえは終わったな」
取り敢えず……だけど覚える器は有るのかな?
不安だな……。
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