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新たな町へ

422話 お前んとこの風呂…って言われても…。

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 ノルンに連れられて来たのは解体倉庫だ。
 そこで言われた「売れたぞ!」と言うお言葉。
 ん~ん…そんな事で、ここに来たのはなんで?

「売れたなら、カウンターでも話しても良いと思うけど?ノルンさん」

「…そうは、行かないんだよ!額がすげぇんだよ!」

「ほう…いくらになったのさ?」

「そ、それは……白金貨……がどっさりだよ!」

「てか、どっさりとかなに? それに、ギルマスはそんなこと一言も言ってなかったが?」

「そうなのか? なんだあいつ……」

「で、俺にはいつ貰えるのかな?そのどっさりは?」

「あぁ、そうだった、明日!明日来いよ。てか、俺達が行くか?」

「はぁ、なに? なんで?」

「だって、聞いたぞ?」

「何をさ?」

「お前んとこの屋敷の風呂、すげぇんだろ?」

「はぁ?」

「ギルマスが言っててよ、俺もお前んとの風呂入りてぇ!ギルマスだけ入れるなんて狡りぃだろう?なっ!アキヒコ」

「へ?ず、狡い?えっ…なにが?」

「そうだなぁ……夜の8つにお前の屋敷に行くぞ!ギルマスと行くからな!」

 はぁ?馬鹿なの?この人……無理に決まってんジャンかよ!

「ノ、ノルンさん?それは流石に無理!絶対に無理」

「ん?なんで」

「なんでとか、言って惚けるなよ。しかも夜の8って、そんな時間に来られたらあんた方は、泊まるとか言い出すだろ?」

「んな図々しい事……あるな!ハハハ」

 ハハハじゃないから!

「だから来るなら夕3時に。それが無理なら俺がギルド、ここに来るから!勘弁してよ」

「……まぁそうなるか…」

「そうだよ、俺が一人の時に来るならまだしも。屋敷にはもう、使用人が居るんだ遠慮してよ。それに泊まるとか、次の日の仕事はどうすんだよ」

「むむ、そうだった、なら今日は諦める。仕方ねえな!なら明日の夜8つに来いよ」

 ん?今日はって言ったか?

「分かった、夜の8つね?じゃ明日来るよ」

「おう、明日な!アキヒコ」

「……明日」

 項垂れて解体倉庫から出てると直ぐに、暁彦は自分にクリーンを掛け、カシューとメルの側に行きカシューに話し掛ける。
 ついでにメルに礼を言って、ギルドを出ると馬車を停めてある場所まで行く。
 馬車の前に立つとカシューが扉を開けてくれた。
 …気が利いてるね、ありがとうカシュー君。
 すると馬車の中からニングスが声を掛けて来た。

「旦那様、お疲れ様で御座いました。さっ、馬車の中へ。カシュー御者をお願いしても?」

「了解。なら、直ぐに出しますからね。用意ができたら教えて下さい」

「ええ、そうしますよ」

 馬車の中に入って馬車中を見渡せば、その中の空間が広い。これは今朝、馬車の中の空間を広げたからだ。
 新しく雇い入れた者達は、馬車の中でソファーに座り固まったまま動かない。

「やぁ、皆此から頼むね? さっ、屋敷に帰るけど、着いたらみんなに紹介するからな?」

「「「「「「……は、はい」」」」」」

 新人全員の返事を聞くと、俺はぐったりとソファーに沈み込むと、ニングスに飲み物が欲しいと言うが……却下されてしまった。

「ニングス、疲れた。喉乾いた…!なんかある?」

「旦那様そうは、仰いますが…もうすぐ屋敷ですよ?」

「そう?でも冷たいの出してよ?なんなら皆の分も出してよ」

「畏まりました。……でも、用意してる間にだに着きますよ?」

「…分かった。我慢する」

「フフフ。そうして下さると助かります」

 むぅ…笑われた。

《子供の我が儘ですか?》

『……違うぞ!』

 そうして、カシューに合図をすると馬車が屋敷へと動き出した。

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