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新たな町へ

410話 神殿のシスターとクレイの訪問

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 そして、約束の時間に神殿のシスター(男)が昨日の子供を…えっと何だっけ?
 あっ、クレイ君だったね。
 その子を連れて屋敷にやって来た。

「旦那様、お客様がおみえです。此方にお通ししました。さぁ、どうぞ部屋の中へ」

「は、はい。失礼します」

 緊張した面持ちで、シスター達がニングスに進められたソファーに座る。

「やぁ、クレイ君それにシスター。そこに座ってくれ」

「ご、機嫌麗しく存じます……。」

 棒立ちになって、貴族にするであろう挨拶をしてくるシスターだが…なに?

「な、なに?その挨拶は、私は貴族ではないよ。前にも言ったと思うけど? シスター、取り敢えず座ってくれないですかね?」

「そ、そうでしたか。でも、こんなに立派な御屋敷………」

「屋敷を誉めてくれてありがとう。良いから座って」

「は、はあそれでは失礼致します。クレイもお座り」

「は、はい」

 二人を座らせると直ぐに話をしだす。
 別に捲し立てる訳ではないけど…時間は取りたくない。

「さて、早速だけど、昨日のうちの使用人から手紙を預かった筈だけど読んだ?」

「ええ、それのお返事をしに来ましたが……」

「が? なんですか」

「ここの御屋敷に伺って、考え直しました」

「ほぅ…………考えね。それは?」

「その…先日の施設の改装には、感謝してます。が、流石に子供がこの御屋敷の仕事となると……」

「……本当に過保護なのですね?」

「な、なにを? それは当たり前ですよ!子供が仕事なんて」

「ですが、クレイ君は違う様ですよ? ねっクレイ君」

 クレイの考える事をちゃんとここで、言わせるためにクレイに話を振る。

「う、うん。僕働きたい!」

「だ、だけど君何も出来ないでしょ? こんな立派な御屋敷で働いて、なにか壊しでもしたら……」

 奴隷に落とされる、とか考えてるのか馬鹿にするなよ俺を……。

「まあ世間では、度重なる失態には何かしら罰は有るかもだけどね? でもそう簡単に、私は奴隷に落とすなんて事をしないですよ。そもそも、ここで働く使用人達は元は奴隷ですからね」

「え?」

「なんですか、そんなに驚く事ですか?」

「ええ、皆様そんな感じではないですし…。それに紋様が………」

 と首辺りを手で押さえる仕草をするシスター。

「あれは、別に要らないでしょ? あっても不便なだけですよ。働くなら皆平等です。ですが、この屋敷にも決まり事は有りますがね」

「はぁ……そうですか」

「そう。ですが、断るなら関係の無い事ですね? ではお帰りを。ああ、出したお茶を飲まれて帰っても良いですよ?」

 私しはこれでと席を立とうとする。
 するとクレイ君から止められる。

「ま、待って下さい」

「なに?クレイ君」

「ぼ、僕は、私設から出て。ここで働きたいです」

「……それは今シスターが駄目だと言ってたよ?」

「それでも働きたい。僕はここで算術と字を教えて貰たしいし、仕事も覚えたい……です」

「フフフそう? だ、そうですがどうしますかシスター」

 するとシスターは隣に座るクレイに諭す様に話し始める。
 思うんだけどさぁ~ここで遣らなくても良くない?その話。

「それでも、駄目だよクレイ。勉強なら施設でもできます」

「でも……それじゃ僕はいつ迄施設に居られるの?」

「そ、それは……16迄は」

「その後は? 僕は何処に行けば良いの?」

「その時は、私が君の仕事場を探してそこに……」

 そんなバカな話があるんだなぁ~。
 ってか、本人の意思は無いのかよ!
 でも…シスターの心ののままにしてください。
 僕は知りません!
 

「あの…少し良いですか? 出過ぎたことを聞きますが? そんなに簡単に、この子達の仕事が決まるのですか?」

「い、いえ……施設の出身だと、冒険者か何処かの御屋敷で、下働きか商人の丁稚奉公でしょうか。それも上手く話があればですが…。それでもなければ…その…」

 ふ、ふう~ん世知辛いねぇ~。
 まっ、どの世界でも仕事が決まらないのは一緒なんだねぇ。
 特にこの世界…就職率低そう……。

「施設に残って、無駄飯食らうくらいか。自力で仕事を探すか、スラム直行ですか?」

「…………ええ」

 み、未来が見えないだろうがそれじゃ。

「それから、働き先で職場に馴染めず合わない。若しくは苛めでスラムか……ですかね?」

 なんとも……、子供の前でする話では無いなとは思うが……。仕方ないのか?

「………ええ」

「そんな未来をこの子に歩ませるの?神に支える貴方達が?」

 でもこれは……嫌俺が口を挟む事でも無いな。
 俺の勘違いだっんだろうからな。

《なにをですか?》

『え、ひとつ返事で、子供を宜しくと言われると……思ってたのがだよ』

《バカですね……》

『はい、ごもっともです!』

 さて、早々に暇して貰うかな。
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