上 下
454 / 761
新たな町へ

397話 食糧補充

しおりを挟む


「旦那様、少し宜しいですか?」

「いいよ、なに?」

「旦那、人を雇う時に俺は居なくて平気か?俺そろそろ、ここを出たいんだがな?」

「そんなん良いよ、気にしなくても。早く行かないと季節が変わるだろ?こっちに冬ってあるのか分からないけど……。この辺って寒くなるのかな?」

「さぁ、私もこの国の出身ではないので……。でも、確か寒くなる筈です。あそこに居た頃は、寒い思いをしましたから」

「そう……なら急いで行った方が、良いんじゃないのかな?」

「そ、そうか?なら明日の朝早く出たいが良いか?」

「いいよ?なら、今夜はご馳走にするか?」

「え、毎晩ご馳走食べてますから、普通でいいですって!」

「そう?なら普通にか……。それよりクレド、ちゃんと食糧持ったの。金は……足りるの?」

「金は旦那から貰った給金でなんとか……。食糧は、少し心許ないな」

「なら、厨房に行こうか?俺の手持ちを渡すからさっ!それに俺も補充しょうかな」

「補充ですか?手伝いは……」

「いいよ!俺が一人でやった方が早いし。ほら、行くよ!ニングスも来なよ」

「畏まりました」

 そして、三人で厨房に入り手持ちの料理を次々出して渡していく。それとネットから食パンと、ロールパンを出して渡す。

「だ、旦那こんなにですかい」

「こんなにだよ、行きは一人でしょ?帰りは?食べ盛りの子供居るんでしょ?」

「い、居るが……こんなに……」

「ま、あって困るもんでもないでしょ?まぁ、安全に気を付けて早く帰って来てよ」

「こっちで住む部屋も探すんでしょ?」

「そ、それはそうだがな」

「さて、俺はチャチャっと料理をしちゃうけど、どうするの?グレドは、最後の夕食作りだよね」

「作りますよ!今夜が最後ですからね!それに明日の朝飯も作って置きますから。でもそれは、もう少し後にします」

「そう?なら宜しく」

 なら、俺は先に補充の料理を作るかな?

 大方飯は渡したから……揚げ物から作って行くかな?

 案外定番の物を作っていく……。
 煮込みに、炒め物に、焼き物に……スープ類と各種それからサンドウィッチに、おにぎり。
 これくらいかな?

「ふぅ~出来上がりだな」

「旦那様……お見事です。どれも美味しそうでしたね?」

「そう?ここで食べてるのと変わらないだろ?」

「そうですが……グレドの作った物と旦那様の作った物とでは少し、違いますから」

「そう……か、同じだろ?」

 出来上がった料理を仕舞って行きながら話しをニングスとする。

「それよりさ、もしかしたら子供がここに通いで働きに来るかも」

「ああ、先程すれ違った子供ですか?」

「そう、13才なんだってさ。神殿の孤児院の子供で……ここで仕事したいんだってさ」

「雇うのですか?」

「ん~分からないな。子供を面倒みてるシスター次第だね」

「それは?」

「承諾書を持たせたからね。それにシスターの、サインがあれば雇うかな……。仕事はいくらでもあるからね」

「まぁ、そうですね……。畑に、屋敷の清掃にですかね?」

「まぁ、後は算学を教えても良いかな?」

「それは?」

「だって、これから働くなら字も読めれば、越したことはないだろ?時間は掛かるだろうけどさ。なんならゲイルと年が近いから、一緒に学ばせても良いだろ?」 

「ですが……誰が教えるのですか?」

「…………」

 にっこり笑ってニングスを見る。

「え?私ですか」

「そうそう、頼むね?」

「………はぁ、まっ時間も有りますからね……」

「そうそう宜しく。俺も偶に見るからさ?後ゲイルは………希望しないなら、無理に教えなくて良いから」

「…………なんでですか?」

「だって本人が希望しなければ、教えても覚えないし、逃げるぞ?」

「そういう物ですか?」

「そういう物だよ。だからね子供だけでも頼むね。簡単な足し算と引き算に、字が書ければ困る事はないでしょ?ま、それもあのシスターからの許可を貰ってからだけどね?」

しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

第3次パワフル転生野球大戦ACE

青空顎門
ファンタジー
宇宙の崩壊と共に、別宇宙の神々によって魂の選別(ドラフト)が行われた。 野球ゲームの育成モードで遊ぶことしか趣味がなかった底辺労働者の男は、野球によって世界の覇権が決定される宇宙へと記憶を保ったまま転生させられる。 その宇宙の神は、自分の趣味を優先して伝説的大リーガーの魂をかき集めた後で、国家間のバランスが完全崩壊する未来しかないことに気づいて焦っていた。野球狂いのその神は、世界の均衡を保つため、ステータスのマニュアル操作などの特典を主人公に与えて送り出したのだが……。 果たして運動不足の野球ゲーマーは、マニュアル育成の力で世界最強のベースボールチームに打ち勝つことができるのか!? ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

処理中です...