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新たな町へ

296話 冷たくないですか?

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「え?何ですか?これ、え?」

「ええと………紋消えたよ?ほら」

 鞄から鏡を出してカシューに渡す。

「え?あ、どうも………。あ!き、消えてる?旦那様!消えてます!消えてる……………」

 何度か「消えてる」と同じ言葉を繰り返したと思ったら、急に黙って項垂れたカシューだが……どうした?

「カシュー?お~い。カシューさん~!おい!」

「え!あ、はい!旦那様!」

「ほっ!良かった……大丈夫かい、身体痛い場所とかないか?」

「プッ!ククク。ハハハ!」

 な、なに突然……壊れたか?

「ど、どうした?カシュー」

「いえ、旦那様は……お人好しだな?と思いましてね……?例えば俺が、裏切ったらどうするのです?」

「え?なにそれ。あ!裏切るならどうぞ?直ぐにこの町から消えてくれれば。俺は痛くないからな、どこでも行けば良いよ?」

 しれっと、冷たい事を言い放つアキヒコだ……。

《主……あっさりとそんな……》

『なに言ってんのさ!ナビだって最初はあっさりと、冷たかったよ?それに主は冷たいのさ!信頼を裏切るなら知らんよ?何処でても行って野垂れ死ねよ?だ!ハハハ』

「………そ、そんな?にあっさりと、捨てるのですか?」

「はぁ~?出ていった人間を、どうして探さないとなんないの。拐われたとか、事故なら探すよ?俺は。……だが、自分の意思で俺から離れるならさっ、……探して戻って来てもまた、隙を見て出ていくだろうから。そんな人はねぇ……。嫌々戻ってもらって、仕事をして貰ってもお互い気分が悪いだろ?」

 何度も繰り返されても迷惑だしな?俺的には。

『頼られたり、世話になった人達は無視しないよ俺はね?言葉は荒いかも……直すか?』

《ご、ごもっともでしたね……直す必要はありません……》

「あぁそう言う事ですか?」

「で?それを聞いてどうするの?カシューは?」

「バカにしないで下さいよ?俺は貴方に恩がある。その恩を返すまで、嫌!返したって一緒に居ますよ!俺は!」

「そ、そう?なら、改めて、使用人として宜しく。何なら、他に部屋借りて通いでも良いぞ?」

「いえ!俺達は多分……出ないですよ?あの御屋敷からね?」

「なんだそれ?」

「考えても見てくださいよ?あんなに厚待遇の仕事、どこにもないですよ?」

「そ、そうなの?」

「はい!前の冒険者仲間達はそりゃあ、憎いですがね?旦那様とあそこで会えて、いまここに立ってる!あの檻の中にいた頃は思いもよらなかった」

「はぁ~まあそれならいいけどね?さて、カシュー冒険者登録しょうか?薬草取りに行きたいからさ?」

「はい!喜んで!」

 そして、ギルドの受け付けカウンターに座り暇そうにしているメルの前に行く。
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