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新たな町へ

232話 ジャングルジム

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 ライルさんが、子供達を連れて建物の前まで戻って来た。

「あ!ライルさん、戻られましたか?」

「ええ、一体なにをしてたのです………か?」

 ライルが、建物の外装が変わって居るのに気が付く。

「あ~!あれ、なぁに?」

 と女の子が、庭にできた遊具を指差して聞いてくる。

「ん?あ、あれね。知らないかな?あそこで遊べるよ?あっちがブランコ、そこにジャングルジム、そしてあっちが鉄棒に滑り台に砂場だね」

 説明をしたが……子供達が首を傾げて黙ってしまった。
 まぁ…………知らんわな?

「じゃぁ~、あそこで少し遊ぼうか?ライルさんいいですか?」

「ええ、かまいませんよ?」

「お兄ちゃん……遊ぶの?」

 ジャケットの裾をまた、腕を引っ張られる。

「分かったよ……遊ぼうか?」

 手を繋いで、ジャングルジムの側に行く。

「ほら、ここに足を掛けて登ってごらん?」

「ここに登るの?恐いよ?」

「そうかぁ?なら抱っこしてあげるからここに座るかい?」

「………抱っこ?」  

「うん!する抱っこ」

 といって、腕を広げる。

「なら、よいしょっと!」

 子供を抱き上げ、ジャングルジムの比較的低い位置と安定性した場所に座らせる。

「どう?恐いかな?」

 女の子は、恐いのか目蓋を閉じたままで目を開けない……。困ったね!

 すると、別の場所から子供の声がする。

「あ!狡いアネモネだけ遊んで貰ってる!」

「ずるい、ずるい!」

「ちょっと待ってね?」

 ヤバい、結構な数の子供が集まって来ちゃったよ!
 どうするかね………?あ!押さえてるこは?

「えっと……恐いんだよね?下りるかい?」

「う、うぅうん。大丈夫!これは登ったり座ったりできるの?お兄ちゃん?」

「そうだね?でも……危ないから気をつけて遊んでね?下りるかい?」

「うん!」

 アネモネという子供を、抱き抱えてゆっくりと地面に下ろす。

「お兄ちゃん有り難う。また、遊んでね?」

「そうだね、またね?」

「アネモネだけずるい!ぼくも」

「「「「あたしも」ぼくも」ぼくも」ぼくが先」

 と……子どもに囲まれてしまったよ!これは困ったライルさん助けて!

「ライルさん!」

「な、何でしょう」

「助けて下さい」

「フフフ、ほら、みんな、アキヒコさんが困ってます、また後で遊びましょう?」

「ええ~」

「ほ、ほら、みんなシスターと建物の中を、見ておいで?ライルさん子供達も一緒で、構いませんので建物の中を見て来て下さい。どこかに不備が無いか調べて下さい?」

「ふ、不備ですか?」

「ええ、建物を修復しましたので?その……確認して下さい。後から私も建物を確認していいですか?」

 そんな話をしていたら、子供がもう勝手に建物を見回ってる様だ。

「すげぇ~!家が綺麗になってるぞ~!」

 そんな子供の声が施設からしてくる。

「こ、こら。貴女達静かに!施設の中は走らない!」

 そう言って、ライルが走って建物の中に入っていってしまった。
 さて、俺はどうするかな?
 建物を見回すと………ん?ここって丁度いいベンチって無いのね………作って良いかな?
 そう思って邪魔にならない場所にはベンチを作り座る。

「ふぅ~やっと座れた…………」

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