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新たな町へ
172話 そっちでしたか。
しおりを挟むだが、金を受け取ったおっちゃんは、ボゥーっとして動かなくなった。おい動けよ!
「おっちゃん、早く!」
と言うと、声が聞こえたのか反応があった。
「お、おい、兄ちゃん!か、金」
「だから金払ったろ?それとも売ってくれないのか?なら金返してよ他に行くから」
「……だ………」
「ああ、駄目ね?なら金返してよ?いらんわ。じゃ!」
他を当たると言って、金を手の平から取ろうとしたら金が握られたまま手が開かない。
「おっちゃん?売りたくないんでしょ?金返してよ?」
「う、売らない、訳がねえだろぉ~!兄ちゃん!買ってくれるのか?ならほいよ!これに入れるのか?」
そう言って頼んだ品を次々と籠に入れていくれた。
「はいよ!これで全部だ!しっかし兄ちゃん気前が良いなぁ~で?こんなに買って店でも開くのかい?」
「いや、店なんて開かんよ。おっちゃん、聞いて良いか?」
「なんだ?」
「ここの市場に乾物屋と、香辛料を扱う店って有るかな?」
「ふむ………乾物、香辛料ねぇ……ちょっと待ってろ、いま母ちゃんに聞いてくらぁ!」
「………」
『行っちゃったよ!腹へったなぁ』
《主?また何仕出かさないで、下さいね?》
『ん?何もしないって!』
そんな事を話していたら、さっきのおっちゃんと綺麗なお兄さん?が出てきたぞ。謎?
「おい!母ちゃん!この兄ちゃんが俺の店の品を、買ってくれたんだよ!でな、香辛料と乾物屋を探してるって言うんだよ」
「あら?変わったお店を探してるのね?」
「え?ええ、そうですが?(やっぱそっち側の、人だったかぁ~)」
「まぁ~そうなの?ずいぶんと小綺麗なお兄さんね?うちの魚買ってくれたって?なにして食べるのかしら?」
ねえ教えてくれないかしら?とぐいぐい来られる。やめて下さい、旦那様に睨まれてるから。
「え、えっと………」
………本当に勘弁して下さい。
「母ちゃん!兄ちゃんが困ってるぞ?」
「あ、あら?ご免なさいね?でも、毎日献立考えるの大変なのよ?あなた♡」
えっと何これ?人のラブラブ見せられても困るよ?
「あ、あの、店の場所分からないならそれで………俺探しに行くんで、じゃあ」
行きますねと言って店を離れた。
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