上 下
220 / 761
新たな町へ

172話 そっちでしたか。

しおりを挟む


 だが、金を受け取ったおっちゃんは、ボゥーっとして動かなくなった。おい動けよ!

「おっちゃん、早く!」

 と言うと、声が聞こえたのか反応があった。

「お、おい、兄ちゃん!か、金」

「だから金払ったろ?それとも売ってくれないのか?なら金返してよ他に行くから」

「……だ………」

「ああ、駄目ね?なら金返してよ?いらんわ。じゃ!」

 他を当たると言って、金を手の平から取ろうとしたら金が握られたまま手が開かない。

「おっちゃん?売りたくないんでしょ?金返してよ?」

「う、売らない、訳がねえだろぉ~!兄ちゃん!買ってくれるのか?ならほいよ!これに入れるのか?」

 そう言って頼んだ品を次々と籠に入れていくれた。

「はいよ!これで全部だ!しっかし兄ちゃん気前が良いなぁ~で?こんなに買って店でも開くのかい?」

「いや、店なんて開かんよ。おっちゃん、聞いて良いか?」

「なんだ?」

「ここの市場に乾物屋と、香辛料を扱う店って有るかな?」

「ふむ………乾物、香辛料ねぇ……ちょっと待ってろ、いま母ちゃんに聞いてくらぁ!」

「………」

『行っちゃったよ!腹へったなぁ』

《主?また何仕出かさないで、下さいね?》

『ん?何もしないって!』

 そんな事を話していたら、さっきのおっちゃんと綺麗なお兄さん?が出てきたぞ。謎?

「おい!母ちゃん!この兄ちゃんが俺の店の品を、買ってくれたんだよ!でな、香辛料と乾物屋を探してるって言うんだよ」

「あら?変わったお店を探してるのね?」

「え?ええ、そうですが?(やっぱそっち側の、人だったかぁ~)」

「まぁ~そうなの?ずいぶんと小綺麗なお兄さんね?うちの魚買ってくれたって?なにして食べるのかしら?」

 ねえ教えてくれないかしら?とぐいぐい来られる。やめて下さい、旦那様に睨まれてるから。

「え、えっと………」

 ………本当に勘弁して下さい。

「母ちゃん!兄ちゃんが困ってるぞ?」

「あ、あら?ご免なさいね?でも、毎日献立考えるの大変なのよ?あなた♡」

 えっと何これ?人のラブラブ見せられても困るよ?

「あ、あの、店の場所分からないならそれで………俺探しに行くんで、じゃあ」

 行きますねと言って店を離れた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい
ファンタジー
ひょんなことから異世界へと転生した少女、江西奏は、全く知らない場所で目が覚めた。 目の前には小さなお家と、周囲には森が広がっている。 家の中には一通の手紙。そこにはこの世界を救ってほしいということが書かれていた。 この世界は十人の魔女によって支配されていて、奏は最後に召喚されたのだが、宛先に奏の名前ではなく、別の人の名前が書かれていて……。 「人違いじゃないかー!」 ……奏の叫びももう神には届かない。 家の外、柵の向こう側では聞いたこともないような獣の叫ぶ声も響く世界。 戻る手だてもないまま、奏はこの家の中で使えそうなものを探していく。 植物に愛された奏の異世界新生活が、始まろうとしていた。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

加護とスキルでチートな異世界生活

どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!? 目を覚ますと真っ白い世界にいた! そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する! そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる 初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです ノベルバ様にも公開しております。 ※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

チート転生~チートって本当にあるものですね~

水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!! そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。 亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

処理中です...