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新たな町へ

162話 怒りのオーラ

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 すると直ぐにゼンバスが、手に何かを持って戻って来た。

「お待たせ致しました、デミタス様。お持ち致しました」

 と言って手に持っていたトレーを、デミタスに渡した。そしてそのトレーをデミタスが俺に差し出す。

「アキヒコ君。これは私の町からの、お礼だ!受け取ってくれ」

「はい、ありがとうございます」

 と言って受け取ったが…………お、重いぞ?一体いくらあるんだ?

「さて、これで私の仕事も終わったな!アキヒコ君は?これからどうするのだね?」

 受け取った金を、テーブルに置かせて貰い領主の問に答える。

「私ですか?」

「あぁ、君だよ?君しか居ないだろ?ハハハ」

「アハハ、そうでしたね。私はこの町を出て次の町を探しながら、冒険………ですかね?」

「ほう……冒険?」

「君は冒険者だったかな?」

「ええ、まぁそうですが………」

「あ、忘れていたよ!君はギルドマスターに脅されたんだったか?」

「まぁそうです。冒険者は出来ないぞと、言われたので…………」

「全くあいつらは、ゼンバス!」

「は!」

「ギルマスをここに、連れて来てくれ」

「畏まりました」

 え、何で………連れて……?
 バルト隊長の顔見たら、薄ら笑いしてた!!何で?!

「えっと……領主様。えっ………?私は、これで失礼したいのですが?」

「まぁまぁ、いいから座っててくれ!商業ギルドもこれから君は大腕を振って、出入りが出来る様にしたぞ!それと………」

「デミタス様、呼んで参りました」

「入れ!」

「さぁ、どうぞ。お二方、お入り下さいませ」

 と言われて入ってきたのは、先日のあの二人だった。

「御領主様、お久しぶりでございます。本日は表彰する人物に賞金をお届け致しましたが。私達を足止とは?如何いたしましたか?」

 と言って軽く頭を下げる。
 部屋に入って直ぐ領主様に挨拶をした二人は、俺がこの部屋に居るとは、思っていなかったらしい。

「あぁ、ハックバルトにハミルか。頭を上げて良いぞ?そして、お前達この部屋に居る人物を良く見ると良い」

「「は?」」

 疑問を持った二人が、妙な返事をしながら頭を上げそして部屋を見回した。
 すると、俺の顔が目に入ったのか突然大声をだした。

「あ、あぁぁぁぁ!お前は!」

 ハックバルトが声を上げた。
 思わずムッしたので、不敬だとデミタスに訴える。

「シュベルト様!私は、この人から【お前は!】等と言われる覚えはないですが?」

「全く、ハックバルト!!」

「は?はい、なんでしょう?」

「お前達はなぜ、アキヒコ君がここに居るのか、わからないのか?」

「我々は、今日。この町に貢献をしていただいた人物に、賞金を………!まさか?」

「そうだ!」

「え、でも何で………こいつが」

「ギルマス!!」

 とハミルがハックバルトを止める。
 それに気付いたハックバルトは、言葉を直ぐに変えたが…………。

「あ、えっと、この方が?」

 また、こいつとかいったか?言ったよな!!
 もう勘弁ならない!!ムカつく!!

《主、やっておしまい!!》

『ノリノリですね?ナビさん。良いの?ねぇ?良いよね!』

《はい!》なんだかナビのニッコリとした顔が頭に浮かぶよ。

「シュベルト様……………」

 ニッコリと笑い。
 怒りのオーラを、ふんだんに纏いながら笑って領主にぶん殴って良いかと、許しを得ようと領主の名を呼んだ。

「な、なんだい?アキヒコ君」

 若干領主の顔が青く成る。
 隣にいたバルト隊長も青い顔で俺を止める。

「お、おいアキヒコ君!」

「なんです……バルト隊長?」

「お前その笑いやめろ怖い!」

「そうですか?私は、普通に笑ってるつもりですが?ぶん殴りたいので、気が収まりません」

「それは、普通じゃない!先ずその負のオーラを止めろ!!寒いわ!殴るなら後にしろ」

 仕方ないとオーラを引っ込める。

「「ふう~」」とため息を二人が着いた。

「隊長、何かありましたか。大丈夫ですか?」

 わざとらしく心配をしたが怒られた。解せない。

「全く君は、ここは領主様のお宅だ!」

「あ!すみません。怒りで我を忘れました」

 チキショー!こいつら覚えてろよ!!


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