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新たな町へ
159話 差し入れは受けがよかったらしい。
しおりを挟むさてさて、警護隊の詰め所に到着すると門の前に立っていたのはアルムだった。
「アルムさん、お疲れ様です。今日は宜しくお願いします」
「あぁ、アキヒコ君。時間通りだな?今隊長を呼んでくるから、待っててくれな」
「ええ、宜しくお願いします」
しばらく待つと、アルムがバルト隊長を連れて戻ってきた。
「おはようございます。バルト隊長、今日は宜しくお願いします」
とバルト隊長に頭を下げる。
「おはよう、アキヒコ君。こちらこそ宜しく頼むよ。いま馬車を用意させてるから、もうしばらく待ってくれないか?」
「分かりました。あ!これ差し入れです。皆さんでどうぞ?」
そう言って、クッキーの詰め合わせの箱を渡す。
「いつも済まんな?アキヒコ君。君から貰う差し入れは隊員全員が、楽しみにしているのだ。まぁ、各言う私もだがな。ハハハ。おい、アルムこれをアキヒコ君からだ。皆に分けろよ?」
「は!ありがとうございます。アキヒコ君、ごちそうさま。皆喜ぶよ」
「いえ、皆さんで食べて下さい」
まぁ差し入れも今日が最後だ、大分奮発してるから今回は贅沢だぞ!
隊長と立ち話をしていると、馬車が目の前で止まった。
「ああ、来たな。さぁアキヒコ君。乗ってくれ」
「はい!失礼します」
先に隊長が乗り、俺は後から乗り込む。
「では、出発します」
御者さんが出発の合図を出すと、馬車が動き出した。
「バルト隊長?」
「なんだね?アキヒコ君」
「えっと、これからお会いする。ご領主様のお名前は?」
「あぁ、伝えてなかったかね?それは、すまぬな」
「いえ、私は、旅人ですからね。この町にも始めて来たので、全くわからないです」
「そうだったな。ご領主様の名前はデミタス・シュベルド様と言う覚えてくれ」
「デミタス・シュベルド様、ですね?分かりました。教えて頂き、ありがとうございます。バルト隊長」
「いや、そんなに畏まらなくてもいいが?なんだ?緊張してるのかい?」
「え!それはそうですよ?領主様に合うなんて機会は、無いですからね?それにバルト隊長にだってそう簡単に、合える方では無いのに。全く……この町に訪れてからは、偉い人に合い過ぎですよ!」
「ハハハ。それは、気の毒としか言えないな。だがそれだけ君がこの町に、貢献してくれたのだよ。此ばかりは諦めてくれ!
《主、諦めが肝心です》
『うるさいやい!』
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