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新たな町へ
156話 最後の助言 2
しおりを挟むパトリックが俺が出した料理をマジマジと見る。
「ア、アキ君。これは?」
「これは、コロッケという。イモモを吹かして潰して、オニンと肉も細かく切って、炒めて塩コショウして、イモモと混ぜて丸めて、衣を付けて揚げた物だ」
「……まだ、そんな、料理が作れたのか?」
「い、いや、まだと言われると……」
「す、すまん。で、これを。どうするんだ?」
違うってば、考えてくれよ!
「いや、これをじゃなくてな?こういう、特別な料理を作って、一週間だけ出すんだ。そうすると、特別な感じが増すだろ?それを同じ物でも違う物でもいいから、月に一週間だけだす。少し値段を安くして出すんだよ。他のメニューも出るだろうし?」
「月に一度、一週間……特別メニュー」
「そう、コロッケの、中の味を替えても特別メニューになるし。ここは、港町だろ魚が旨いんだし。だったら、魚をメニューにしても良いと思うぞ?」
「だ、だがレシピが思い付かない……」
「パトリックさん、料理を考えるなら。色んな料理を作って、研究しないと……。失敗したって良いじゃないか?」
「研究?」
「そう、自分の料理をしないと駄目だよ?」
「自分の?」
「そう、食材を色々使って。まずは作る。これは失敗は……多いと思うが。例えば①の食材に②の調味料を足すと、どんな味に成るんだろうか?と考るだろ?すると旨く成るか?不味く成るか?その答えは直ぐに出るだろ?」
「あぁ、そうだな?」
「なら、出来るじゃないか?」
「……」
「思い付かないなら俺が教えた物を、パトリックさんなりの味に、作り替えて見るといい。まぁ、カレーあれはあまり、替えない方が良いかな?あの、カレーだってパンを使ってみたら?とか、考えつかないか?パン生地の中に入れて揚げればカレーパンだぞ?」
「カレーパン?だが、あんな水っぽい物を?」
「あぁ、思い付かないか?なら、一つほら、カレーパンだ」
と言って、見本用のパンを二つだす。
「こ、これがカレーパンか?」
「そうだ、これを二つに割るとほら……カレーが入ってるだろ」
「ほ、本当だ!これ食っていいか?」
「どうぞ、食べてくれ」
するとパトリックがパンを二つに割って食べ始める。
「ムグ。……う、旨い、このカレーは、始めて、アキ君に食べさせて貰った時の味だ!」
「そう?こんな味だったか?」
前のは市販のルーだけど、こっちの中身はオリジナルだろうし。似てないと思うけど?
「まぁ、こんな具合にだよ?これはルーが固めに作ってあるのは、わかるだろ?」
「あぁ、俺にできるかな?」
「出来るもなにも、従業員増えたんだ。雇い入れたなら責任持って食べさせてやる、くらいに成れよ?」
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