母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!（泣きついて来ても、助けてやらない）

第１0章

第10話 決めるか。

「ギルマス！」
「ひっ！なんだ、バランか」
「バランか！じゃないですよ」
「驚いたんだから仕方有るまい？」
「おどろいたとか言ってる場合ではないですよ！ほら、ジュリ様の冒険者カードを持って戻りますよ」
「ええ、まだ私が顔を出さないと成らんのか？」
「成らないですよ！貴方はここの（ギルドの）責任者です」
「まあ、そうなのだが、今回は行きたくない！」

　この人はまた始まった。
　なんでこう、この人は自分んより強い人には弱気に成るのか。
　それに、自分より下と見ると確認もせずに人を見下す癖を治して欲しい。

「行きたくないじゃありません。それに、ジュリ様のカードは何処ですか？」
「ここに有る。バランこれを彼に渡して帰って貰ってくれ。物件は適当に渡してやれ」
「適当にって、それは？」
「あの、それって」
「いいから、ほら後は任せた」

　そんなことを早口で言い、バランにカードを押し付け部屋から追い出すようにして、バランを部屋から追い出した。ギルマスである。
　追い出された方のバランは、部屋の扉が閉まる音を背中越しで訊くと、振り返って扉を叩きギルマスに抗議したが、ギルマスは部屋の中から鍵を掛けたのか、「カチャリ」と鍵が閉まる音がして中から「早く行け！」と、バランに怒鳴ったのだった。

　部屋から追い出され、バランは執務室の扉を叩いて怒鳴ったが、ギルマスは部屋から出てこない。

「はぁ～なんだ、これは？　責任を全部私に擦り付けるとか。あり得ない！」

　これはギルド支部に報告するしかないですね！と心に強く誓って廊下を歩き、ジュリ達が待つ部屋までと足を向けた。

「あ、残りの三件分の資料を持って戻りますか。それと支部にも報告でをしないと成らないですね」

　そう呟くとバランは、先ずは事務室に向かって歩き事務室の中に入り、先にギルド支部に連絡をし、事細かくギルドで起きたこれまでの経緯を報告し、そしてジュリ達に紹介する物件の書類を見繕い、ジュリ達の待つ部屋へと今度はちゃんと戻るのだった。

「はぁ時間が、掛かってしまいました。ジュリ様達、痺れを切らせてないと良いのですが……不安だ」


　一方のジュリ達は。
　待ちくたびれたカイトがごねる。

「兄ちゃん、未だなのかな？いつまで待つのかなぁ～」
「お前、幾つに成っても堪えられないのな？」
「だってさぁ～、待たせ過ぎじゃん？」
「それは、分かってる。分かってるが、ここでキレたら、もうこの町には住めないぞ？」
「なに、兄ちゃんここに定住するのか？」　
「まあなぁ～、余りクルクルそこらを回ってても、住む場所見つからんしな。（人の持ち物の山に隠されて住み着いても、トラブルに成るし。実際成ったし）ま、ここいらで落ち着こうぜ？」
「兄ちゃんが良いならそれで良いけどさ、だけど……」　
「カイト待て、誰か来る」

　カイト話を途中で止遮った。やっとバランさんが戻って来たか。