母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ

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第3章

第29話 新転地に期待を

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 錆びれた町の門を出てから暫く歩く。
 人気は無いのだが……何となく歩く。
 理由?理由は、ここのところ運動不足が否めない樹里だからだ。

 特に宛もなく、てくてくと歩く事かれこれ1時間半……。
 カイトの体力不足も気になるので歩かせる。
 そして2時間ひたすら二人で歩く。

「に、兄ちゃん……」
「ん?なんだ」
「疲れた!一休みしたい」
「お、そうか?なんか飲む?」
「うん、何でこんなに歩いてるの」

 何時もならすぐに、空へ飛んでどこかの森にキャンプとか言い出す癖に……。

「ほれ、スポドリ飲むだろ」
「うん!ありがとう。これ好きだ兄ちゃん」

 スポドリを渡すと、よっぽど喉が乾いてたのか一気に500mlを飲み干した。

「カイトごめんな、喉乾いてたんだな。なら鞄に何本か入れとくか?」
「うん、後コーラも欲しい」
「コーラね……なら一本だけな、あんまり飲むなよ?トイレ近くなるぞ」
「あ、そうだった……」
「なら、ここからは空の散歩と行くか?」
「散歩はもう良いよ、疲れた!それより、魔物の素材を売りに行こうよ」
「そうだった……忘れてた。だったら町を探さないとな」

 マップで町を探す……何処が良いかなぁ~。
 一度帝国に行ってみるか?あそこは……確か安定した国だった筈だ。帝国の王都へ向かうか。

「カイト決まったぞ、帝国に行くぞ」
「帝国?」
「そう、海を渡ってルマルス帝国の王都に行く」

 そこで魔物の素材を売って換金して、何処かの国で家を買う!それでプランは決まりだ!
 と、安易に考える樹里である。

「まぁ、任せるけどさぁ……」
「なに?」
「嫌な予感しかしない」
「何処に行っても、同じだろよ。こうも不運が続けばもう、それ込みで!覚悟して行く」
「あぁ兄ちゃんと行くと……トラブル多いよねぇ……」

 今更ながらにトラブルが多いと、しみじみと言うカイトだ。
 ……なに?その大人目線、しかもいつの間にかトラブルって言葉覚えてるし。

「お前……俺の話し言葉を覚えるのはいいけど、トラブルって言葉は誰にも言うなよ?」
「え!なんで?」
「俺以外に言っても意味が通じないぞ?」
「あ……そうだったね気を付けるよ」
「そうしてな?さて、カイトこっちにこいよ、空に上がるぞ」
「OK!」
「お前……OKも通じないからな!」
「分かってるよ!抱っこ」

 両腕を広げて俺の前に立つカイトだ。

「はいよっと!お前重くなったなぁ……ソロソロ魔法覚えるか?」
「え!良いの?」
「まぁ、浮く魔法だから少しづつな」
「やった!」
「移動して金作って、住める場所を探してからだけどな!」
「えぇ!それじゃいつ迄経てっも教えて貰えないじゃんか!」
「フフフ、カイト君。世の中は甘くないのだよ」
「…………むぅ」
「さて、巫山戯けてないでいくか」

 そして、カイトを抱え直して空に上がり目的の帝国に向かう二人だった。

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