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第3章

第6話 不審な女

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 ハングの屋敷から町中に戻って来て、今は町の広場に居る。

「兄ちゃん疲れた」
「そうだなぁ……何処か飯屋にでもはいるか?」
「………それは……良いや」
「なんで?」
「だって碌なものがない気がするし、お金勿体ない。何処かで座って兄ちゃんのご飯がいい。今までは、ハングさんが居たから食べれなかったし」
「そ、そうか?なら丁度ここは広場だしな……何処かに座る……お、あそこベンチがあるぞ」
「ならあそこで良いよ?お腹すいたよ」

 カイトと二人で見つけたベンチまで向かう。
 そして、ベンチに座るとこそこそと鞄から軽食を出す。

「ほらカイト、サンドウィッチだ。ジュースも、居るか?」
「うん!兄ちゃんありがとう。頂きます」
「おう、俺も頂きます」

 二人ベンチで昼飯を食って居ると、それが珍しかったのか?俺達をジロジロと見て通り過ぎる人がいる。実にウザイである。

「兄ちゃん、目線が痛い」

 ジュースを飲みながら、目線が痛いと言うカイトだ。俺の影響だなこれは。

「気にせず食え。別に悪いことはしてないだろ?飯食ってるだけだし」
「そうかなぁ~?」

 そんな話しをしながら、カイトとゆっくりと昼飯を食べて居ると、俺達の目の前に人が近寄り影が出来た。なんだ?

「ねぇ……ちょっと聞いていい?」

 一度目線を女に向けだが、目線を戻してカイトに話し掛ける。

「カイト旨いか?」
「うん」
「もっと食うか?」
「いらない」
「そうか、ならご馳走さまするか?」
「うん、ご馳走さまでした」

 俺とカイトは女の言葉を無視をして食事を終わらせる。
 トラブルは、面倒だからな。カイトもどうやら俺と同じ考えの様だ。

「ねぇ、ちょっと!あたし、あんた達に話し掛けてるんだけど?」

 こんな失礼な女は相手にしない!
 絶対トラブルになるし、ここは広場だ!それでなくても目立ってるのに、話し掛けて来ないでくれ。

「カイト行くぞ」

 行くぞと言って、ベンチから立ち上がり門を目指して歩き始める。

「ち、ちょっと!待ちなさいよ」
「っ!痛ってぇ……」

 いきなり、女が俺の腕を掴んで来たので、とっさに腕を振り払ったが、その拍子に女の爪が腕に当たって引っ掻かれた。
 それは大して居たくはなかったが、痛いと反射的に声が出た。その言葉に反応したカイトが俺を心配する。

「兄ちゃん大丈夫か、怪我したの?」
「大丈夫だよ」
「な、なによ!そんなに強く掴んで無いでしょ!それに、あんた達が無視するからでしょ」

 と、広場で一人騒ぐ……こっちは何にも悪くない。あ!これは………わざと騒いでるのかな?

 マップで、確認するとこの女の仲間と見られる同じ色の点がここに近づいてくる。
 ビンゴ!かぁ、これは不味いなぁ……どうすか。
 騒ぎには、したくないんだよカイトも居るから。

 カイトが俺を心配して、おれの腕を見ようと腕を引く。それを利用してカイトに小さな声で話し掛ける。

(カイト) 
(なに?)
(この女悪い奴だ、もうすぐこの女の仲間がここにくる)
(え!マジ?)
(マジ。だからな、逃げるぞ?二つ数えてたら走る)
(うん)

「いいか、いち」
「にぃ」

 といってカイトを抱えて、思いっきりダッシュしてその場を走り去る。
 すると後ろから、待てという声がして数人の男達が俺達を追いかけてくる。
 
ったく、何なんだよこの国は……駄目だこの国。場所換えよう。
 向かった先は王都の門だ、そこを目指してひたすら走るジュリ達だった。
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