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第16章 

第12話 約束だったでしょ? 1 (改稿)

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 武道大会も終わり、サロンでのんびりまったり一時一いっときのお茶の時間に。
 ……来客有り。
 でも…お客と言いましても…お母様デスガネ。 
 何やら、お母様が私にお話があるらしい。

 なに…怖い。

 ちなみに、パートナーであるお父様と言えば、先日謹慎を解いたのですよ。
 ですから、今はお兄様のお仕事をサポートをしてます。
 まあ、あれでも、某失くなった国では宰相を勤めてましたからね。
 役には立つ、と言いってヴァンスお兄様が私に相談しに来たのですよ。
 お父様と一緒にね。

 ま、叔父様と画策して私を利用しようとしたのは許せませんが、もう月日も経ってますし?私も婚約が決まりましたので、ここは水に流す感じで、お父様の謹慎を解くのを了承しましたのよ。
 、お兄様たちの執事たちは絶対に許しませんけど。
 おほほほ!絶対に渡すものか、私が造った大容量のアイテム鞄。
 しかも時限停止付き!

 根に持つタイプなんです私は。

 ヴァンスお兄様もアレクお兄様も呆れてますけどね。

 そんなことを考えて、お茶をすすってると私を訪ねてきたお母様。
 なんと、サロンにお一人で入って来のにはビックリ。

 一体なんのご用意でしょうかしら?

「お母様、ごきげんよう。今日はどうしましたの?  共も付けずにわざわざ此方へいらっしゃるなんて。本当に珍しいですわね?」

 と、わざとらしく聞いてみた。
 それに、何時もならメイドか兄を連れて来るのに一人で来るなんて。
 明日は雪が降るのかしら。

「ごきげんよう、パトリシア。私も偶には一人で来るわ。それより……ねぇ、パトリシア?」
「なんですの」
「私は思うのよ!」

 近い!お母様お顔が近い。

「お母様、お顔が近いです。もう少し離れてくださいませ。それで、なにを思うとおっしゃるのですか? お母様、取り敢えず其方にお座りに為られては? あっとリナお母様にもお茶をお出して差し上げて」

 部屋に居たリナに声を掛けて、母にお茶をだす様に声をかける。
 そして、母も私に言われた通りソファーにストンと座った母。
 あら、素直に座ったけど…何だかとっても嫌な予感。

「そのねぇ……パトリシア?」

 もじもじとしてる母。

「はい?」

 うん、気持ちが悪い一体なんですか?

「あの…ねぇ…」

「あのね」と歯切れが悪い母は、リナの出したお茶を受け取りお茶を一口飲む。
 そんな母を見て私は、イラッとしながらも声を荒げずに、口調を押さえて母に声を掛ける。

「………じれったいですわ、お母様。いったいなんでしょうか」
「あ、あのね?」

 あ~イライラする。
 話があるならはっきり言って貰いたいわ。

「だから、なんでしょうか?」
「なら、言うわね。パトリシア、貴女の作る化粧品の品物だけど!」

 化粧品かい!ドキドキしたじゃない。
 
「…はあ…品物ですか?」
「そう、それよ。あれ、もう少し数を多くして売らないのかしら?」
「…………はぁ?(また唐突な事を言い出して…)数ですか?」
「そう、数よ」
「数って…化粧水なら、ルースの元の実家で売られてますわよ?」

 そう、エンバス商会で売ってるのは化粧水と石鹸とシャンプーだ。
 エンバス商会で造る量を決めてるらしいから、十分数は足りてると思うのだけれど。

「違うわよ、種類よ、種類を増やして欲しいのよ!」

 数って言ったじゃないのよ。
 初めからちゃんと種類と言って下さいな。
 なんで、私が怒られるのよ。

「ああ、そっちですか。種類……種類ですの?」

 売り物を…もとい、種類を増やす…増やすねぇ……。
 増やすなら、リンスと乳液の二種類くらいかしらね。
 後は……日焼け止めの効果がある白粉……ファンデーションですけど。
 でも売らないわよ!あれ、造るの大変だし。
 私しか今のところ造れないし。
 シャンプーだって結構大変だったのに。

 オリーブオイルを作れるから、石鹸とシャンプーはなんとか為ったけどね。
 それに、造れるかは…分からない。
 でも、オールインワン!あれは絶対造りたいわね。
 シミとシワを改竄する効果の付けたいし。
 若い内からちゃんと予防はしないと!おっと脱線したわね。

 軌道修正。

「それは…お母様、無理ですわね。ですが、なんで急にそんなことを?」

 そんな厄介な事を言い出したのか?

「い、いえね…。その、先日のお茶会でお友達に迫られてしまったのよ」 

 母が言うには、お茶会での一幕で…「マリーン様って、いつもお綺麗だわねぇ~。何か、お肌を美しくする秘訣でもあるのかしら? 良ければ、私にも教えて下さらない?」

 としつこく、ねちっこく、数人のご婦人達から迫られたらしい。
 なんて面倒な。

「お母様……化粧水でと言って、誤魔化してくださいませ」

 そこはシカトしてくださいませ。
 絶対に、化粧品の事は誰にも話さないと約束してお渡ししてる筈だから、お母様のお友達にも秘密。
 だから言えないのよ。
 だって私は、もう誰からも利用はされたくはありません!

「それはそうなのだけれどね、毎回お茶会を開く度に聞かれるのよ。その度に返事をするにも疲れるし、何処で売ってるのかとか、探られるのは飽きたのよ」

 飽きたって…この人……

「いいえ、お母様!化粧品関連は、もう売りに出せません。お母様に渡しているあれだけの品は、私が一人で造るので手が回りません。商品は、エンバス商会で扱ってるのですから、そこへ訪ねろと申してくださいませ。それに、他の物は材料がまだまだ足りない状態ですわ」

 それに、あれらを造るのならレシピを公開せねば為らないし、技術者も居るだから無理。
 トリートメントなんてどうやったら出来るのか?私の魔法でしか造れないしね。 
 と、言うことで、「無理ですわね」
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