婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

いくみ

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第14章

第15話 エンバス side 兄弟の思い違い。

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「そ、そう言うものか?」
「ええ、私は少なくともそう思いますよ?それにルースの肩身が狭いのでは?この家だとね」

 なにせ私がこの商会を占領してますしね。

「うむ……」
「父上もう少し良くお考えに為っては?ルースは貴方の息子ですよ?このエンバス商会に、不利益はもたらさないですよきっとね」
「そうか……少し考えて見ても良いのだろうな。お前が言うんだ、そうしてみよう」
「ええ、是非お考え下さい。さて、私は明日も早いですから先に休みますよ」
「……あぁ、明日な」

 ケビンと話しが終わるとアルスは一人考える。
 ……そうかカッと為り、ルースを取られる気で居たが…。
 そうだなルースももう良い年だ、いつまでも親の側に縛り付けられる者でもないか……。

 エンバス商会の支店は、其々の店にアルスが見込んだ従業員に任せてしまい。ルースには店の一つも任せてなかった事に気が付いた。

 だがそれは…決して、ルースが出来が悪い訳ではなくアルス自信が子供可愛さに、家から出すのを躊躇っていたからで…。決してルースに肩身の狭い思いをさせたくて、家から独立を差せなかった訳では無いのだが。
 ルースはルースで、また違った感情を抱くのは当たり前の事だと今に為って気づいた。

 ふぅ……これは、ルースが家を出たいと言うのも当たり前か?
 なにせこの家には、ルースの居場所は自室しか無いのだから。

 兄夫婦に子供達…と…私か。

 何時もリビングに居るのは、ケビンの家族と私だけだった。

 食事も一緒にテーブルに着く事も無くなったか。
 そうか…ルースはきっと寂しかったのだな。



*****


 ルースは仕事を終わらせると、独り何時もの如く独りキッチンにある小さなテーブルで遅い食事を取っていたその食事中に兄が顔を出して声を掛けられた。

「ルース、今夜もここで夕食かい?」
「あ、兄さん。お疲れ様です」
「兄に迄、そんな丁寧な挨拶はいらないぞ?」
「そうですが…なんか、癖で」
「父上がいないんだ、もう少し砕けてもいいのだぞ?」
「はぁ、ですが……」
「まったくお前は……、ここはお前の家でもあるんだぞ?」
「………そうなのですがね。所で、兄さんはどうしてこんな所へ?」
「……お前に話があるからだが?」
「ああ、そうですね?話しが無ければ、こんな場所には来ませんか。…ハハ」
「……お前何処まで卑屈なんだ?お前を見てると時々イライラする!」
「……そう、言われましても…。私の居場所は全て、……まあそれは良いですかね。それで?なんでしょうか?」
「………父上から聞いたぞ」
「そう……ですか。それで?」
「それでって、お前本気なのか?」
「ええ、ですが…その話し自体は。お相手の王女様が、私を受け入れてくれてからの話しでは?」
「……そうなるがな?だが、王女に断られたらお前はどうするんだ?」
「…そうですねぇ……。貯金も少しはありますから、フラりと何処か。…他国に移るのも、良いですね?その方が父上も、兄さんも精々するでしょ?フフフ」

 ……厄介者は消えますよ?

「お前そんなことを考えてたのか?」
「ええ、王女様との事は、私にとっては賭けですが…ね?」
「なら、家に戻っても仕事の助けはもうしないと?私たちの手伝いはしないのか?」
「……ええ、ここで、こんな風にひっそりと暮らすのはもうごめんですよ。私はここの家の息子なのに、父からこんな無体を受けるなら、どこに行っても良いのでは?」

 二人とも外面だけは良いですが、中を開けば私だけまるで使用人扱いだ!私が父に兄になにをしたのだと謂うのか?

「お前が、勝手に心を閉ざしてるのではないか!それを私たちの所為にするのか?」
「こんな居心地の悪い場所で、心を開け?あんたの嫁に邪魔者扱いされる、私の身にも為ってみて下さいよ!兄さんは、何も知らないでしょうがね?さて、私はまた明日も仕事があります。お先にに失礼しますね?お兄さん」

 ………なに?邪魔者扱いだと、そんな話しは聞いてないぞ?
 それに今まで見たことがないルースの顔を見た。

 一体この数年…ルースはどんな事を耐えていたのだろうか?


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