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第14章
第14話 エンバス side 父アルスと、その息子たち。
しおりを挟む城での話し合いを終えて、家に戻る馬車の中で終始無言の親子が対面して乗っている。
父親のアルスは機嫌が悪くルースを見ようともしない。
「………」
「……」
これは…不味いですね父の顔をみれません。
とは謂え…父の顔をチラリと盗み見れば眉間にシワが寄っていた。
あれは相当お怒りのご様子ですね、これは家に戻ったら一騒動あるでしょうか。
小さく溜め息をつけば、そんなことを考え馬車の中から外を眺めるルースだった。
****
一方の父…アルスは城での事に大層腹を立てていた。
何が養子だ!腹立たしい、人の息子を駒のように言いおって!若造が!
長年ベルガモット家には世話に為ったが、今回は無理だ!しかもだ!この目の前に座る息子がまた厄介な事を考えていたと知り余計に腹立たしい!
何が王女を幼少の頃よりお慕いしてるだ!
ふん腹の立つ、何が養子だ!ふざけるのも大概にして欲しいものだ。
大切な息子を、養子に等くれて遣れる訳が無いではないか!それこそ同じ商売人から後ろ指をさされるではないか!
そんなのは御免被りたい。
と、考える間も馬車は進む。
そして、店の前に馬車が着けば、御者が扉を開けば直ぐ様アルスが無言で先に馬車を降りてしまった。それに続いてルースも無言で馬車を降りた。
親子は無言で店の中に入り、ルースは自分の代わりに店番を任せていた従業員と仕事を交代して仕事に戻った。
アルスと言えば、後から降りたルースには目もくれずに家の中に入ってしまった。
そして、その後この親子はなにも会話をせずにその夜は過ごした。
が……父のアルスは違った。
「ケビン少し良いか?」
夕食が終わりケビンに話しかけると嫁と孫達は自室に戻って行った。
そして、アルスとケビンはリビングに移動をするのだった。
「それで、なんですか?随分とご機嫌が悪いですね?城から帰って来てから、父上が不機嫌なのを察して子供達が怖がってますが?」
「……それは、すまんな。後で謝っておくよ。しかし怒りたくも為るぞ!まったくルースの奴め!」
「ルースがどうしたのですか?」
「……ルースの奴、陛下からの申し出を……」
「なんですか?一体陛下は!ルースになんと言って来られたのですか?」
「それは…………説明中………と、こんな事を言いおった。あいつめ!育てた恩を忘れおって!」
親不孝者目が!とアルスは怒鳴る。
父から話しを聞くケビンだが、話の最中は終始し無言で父アルスの話を聞いて居た。
暫く父の話しを聞き、そして話が終わるとケビンの口から出た言葉は…。
「それは、とても良いで話しではないですか!」
と軽い乗りで言い放った。
その言葉を聞いたアルスは、一瞬息を止め驚いくそして息を引き戻して、それは何故かとケビンに問う。
「……ケビン、それはなぜだ?お前…弟は、かわいくはないのか?」
「そんなことはないですが、父上良くお考え下さい。これは良い機会では?公爵家とパイプが繋がったと、思えば美味しい話しですよ?どうせルースは、この店を継げないのです。それに、ルースにはどの支店も、任せる気持ちは無いのでしょ?」
店を任せるつもりはと問われ、冷たい目を乳に向けるケビンだ。
「父上はルースその事を、昔からかわいがって居りましたからね。どうするのかと心配してましたが…」
「そ、そんなに、かわいがっていたつもりは無いが?」
「そうでしょうか?ルースももう22才ですよ?いつ独立させるのかと、思って見てましたが…。一向に、その気配がありませんよね?父上は、ルースを手元に置きたいのでしょうが…。ルースからすれば、ここは居ずらいのでは?私も所帯を持ちましたしね」
ルースは有能だが……、いつまでも独身で家に居られるのはやはり厄介だ。
「ま、まぁそうか。だからと言って、養子だぞ?それに婿にも出すんだぞ?お前はそれで良いのか?」
「良いのかと、聞かれればそれは…そうですねぇ…。所帯持ちの私が、こんな事を言うのもなんですが。かなり羨ましいですね」
「う、羨ましいだと!」
「ええ、考えても見てくださいよ!婿養子とはいえ、王族の一員に成れるのですよ?こんな美味しい話しに、乗らない方が馬鹿ですね。フフフ」
こんな美味しい話し等、どの国に居てもそうはないですよ?
とケビンはのほほんと言って笑う。
※※※※※※※
お詫び……。
すみません、ちょっと話が長く為りそうです。
ですので、もう少しお付き合いくださいませ。
ps.
いつもお読み頂きありがとうございます。
お気に入りにご登録して頂き心から感謝しております。
今後ともよろしくお願いいたします。 いくみ
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