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第13章

閑話 ルシス。

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 ふんふん♪︎
 鼻歌を歌いそろそろふわふわと、屋敷を抜け出して出禁に為った城にするりと入り込む。
 ヴァンスから出禁だと言われても、お構い無しに興味があれば何処へでも足を踏み入れる。
 要は子供のまま大人に為った困ったちゃんである。

 そして、人目を気にしながらそろそろと城内を探検して回る。
 ルシスが歩く場所、それはルシスが未だ足を運んだ事がない場所だ。

「ん~、今日はどこに行こうかなぁ~。前は…2階の奥まで行けたから……あっ!そうだ…フフ」

でもあそこ面白く無かったんだよねぇ~。
メイドさんとか使用人達の部屋と書庫の入口だったから…次は三階のフロアを探ろう。
書庫の入口……シリアに教えたら喜びそうだよね?
フフフそれもいいね。

でもこのお城広いし、大きいから探索するのは楽しいんだよねぇ……。
それにあのお姉さんの部屋見つけないと?
ん~父上から探せって言われてるけど、なんだか言う事聞いてるのも面白くは無いんだけどね?
でも面白いミッションだよねフフフ。
だってあのお姉さん不思議だよ?
僕も結構不思議だとか言われてるけどさっ。

フフフ僕はクロノス兄上みたいに頭は良くないけどライアンよりは馬鹿じゃないし。
さてさて2階のフロアクリア!
次は三階だよねぇ~。
さてさて何があるかなぁ?

確か一番上の階はヴァンスさんの部屋だったよね?なら問題無いよねフフフ。

三階のフロアに上がる階段を、ゆっくり登って静かに動く。
ソロソロのろのろと歩き。
階段を登り切った。

「到着!さてさてどっちから行くかな?右?それとも左?フフフ楽しい~!」

しかも三階は人がいなさそうだよ!
フフフ動き回るのも楽だねぇ~。
「よし!まずは左からかな?フフフ」

そして、ふらふらしながら歩き部屋のドアノブをガチャガチャと音を立てて動かす。

「ん!!もう!鍵が、うざい!どの部屋も入れないじゃんか!」

どの部屋も鍵が掛かり部屋に入る事が出来ないそれに苛立つルシスだ。

「もうなら反対側のフロアにいく!もう詰まんない!」

詰まらないとぶつぶつ文句を、呟き左手の廊下を出ると、次は右側の廊下に足を入れた時に壁に当たった。

「え?なに入れないよ…なに?」

 と手を伸ばしたその時に、何か硬い物が手に触れた瞬間に手の平に痛み走って手が熱を感じ『ジッ』と音がした。次に手の平に鋭い痛みと熱を感じ手に激しい痛みが走った。
 慌てて手を引き手を庇ったが、痛みに耐え切れずルシスは悲鳴を上げたのだった。

「ぃぎゃーーーーーーーー」

 その叫びと同時に城中にサイレンが鳴り響いた。

「ビービービー」
「ビービー」
「ビービービー」

「痛い、痛いいたぁぃぃぃー。痛い母様……痛い!」

 と三階の廊下で痛いと転げ回る。
 どれくらい痛いと叫んだか分からない。

 そして、バタバタと誰かが自分の側に来たのが分かった。

「痛い!痛いよ!お願い!誰か知らないけど助けてよ!」

 助けを求めたら返事が帰って来た。
 良かった助かった……。
 そしてそのまま、意識がなくなった。

「誰かと、思ったらお前かこの屑が!おい!衛兵!」
「はっ!陛下」
「こやつを、牢にぶちこ込んでおけ!」
「はっ!畏まりました!」

 そして、僕が目を覚ましたらなんか知らないけど鉄格子のある石で出来た部屋にいたんだよね。
 でも手が痛くて痛くて…よく考えられない。

 そうして暫くしたら、お父様とお母様が来てくれたんだけど……。
 鉄格子の向こう側で立ってて、お父様はスッゴク怒ってるしなんでかな?
 お母様は泣いてるのかな?僕は手が痛いんだよ!

「お父様、手が僕の手が痛いんだ……助けてよ」
「この愚か者目が!」
「ヒィ!痛いよ手が!ほら見てよ」
「貴方!怒鳴らないで!ほらルシス!これをお飲みなさいな!」
「うん!……………ま、不味い……苦い手が痛いよお母様!」
「な、治らないの?ポーションよそれ!なぜ治らないの!ねえ貴方!ルシスをここから出すように言って頂戴!可愛そうよ!それに傷も全然治ってないわ!」
「う、五月蝿い!私に恥をかかせおって!この愚か者!」

 それだけ言ってお父様はこの寒い部屋から出ていった。
 お母様もお父様のあとを追って行ってしまった……。

「痛い、痛い痛いよぉ~!誰か助けてよ」

 牢にルシスの声が響く、だが……ルシスには救いの手はなかった。

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