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第13章
閑話 嘘。
しおりを挟むそれから、ヴァンス達は地方からの客を迎えパーティーを催した。
だがそれは、招いた貴族や隣国の客人を迎えて顔を合わせるだけのパーティーだった。
「ふん!貧乏貴族めが!もっと人を招いて大々的に催しをすれば良いで在ろうに!」
と、ぶつぶつ文句を良いながら支度をして会場に赴いた。
そして、その間私はヴァンスに仕事の手伝いと言われ兎に角私の裏の顔を隠し良い伯父を演じた。それから何の問題もなくパーティーが終わり一族で話し合い中に誤算が生じた。
息子達が、パトリシアに難癖を付けて嘘まで言い出したのだ。
馬鹿者等が!それをなんとか誤魔化したが……。
私に面倒を掛け、けしからん奴らだ。
あれでは、姪は息子達を警戒する筈だぞ不味い此方の予定が崩れてしまった。
だが息子ライアンには、常にパトリシアを見張れと言い付けてるからな。
ちゃんと動いてくれれば良いのだが。
それから数日たった頃に、ライアンを部屋に呼び話をする機会を儲けた。
「ライアン、どうだあのパトリシアという娘は?」
「父上、何故私があんな傷を持った女の監視など!しないと為らないのですか?」
「煩い!屋敷が建ってしまい、ここを移動すれば。殆んどこの城には、私以外は足を入れる事が出来ないのだぞ!早く、あの娘の弱みを掴め!」
「とは、言いますが!あの女は必ず執事を連れてますし。一人で行動する隙を狙っても、直ぐに何処かへ消えてしまう!それに、城のリビングとサロンや食堂には、殆んど顔を出さないのですよ?偶然出会う振りをして、城中を歩き回る私の、身にも為って下さいよ!全く忌々しい!」
「なら、自室を訪れよ」
「それは無理です。そもそもあの女の、自室が何処に有るのか?この広い城の何処に部屋を持って居るのか?全くわからない。色々城の中を周り探ってますがね。ルシスもそう言ってますよ」
「なに?ルシスもか?」
「ええ、掴めないとね?それにこの城は少し奇妙なのです、所々踏み入れない場所が多数ある」
「………そうか、それは変だな?何か秘密がありそうだな?」
「ええ、それは私もそう思いますが。ルシスに探らせても、全く入れないそうですね。それにあいつ、城から小物を盗んで売り、金にしたいとか抜かしてまして…殴りましたが…。全く懲りて無いようで…」
「それで?何を盗んだ?」
「いえ、取れないそうです」
「はあ?」
「小物を持って城から出ると、その物が手元から消えるそうです。そして、盗んだ場所を確認すると元に戻ってるそうです」
「……お前達なに、盗人のような真似を……。それをヴァンスにでも知られたら…」
まだ早い動くのは!弱みだけ掴んでくれればそれで良いのに…実に使えない!
「ところでライアン、クロノスはどうした?」
「兄上は、ヴァンス殿に付きっきりですよ。かなり崇拝してます。あれでは……父上の、力には為らないと思いますよ?先日のパーティーの後の話し合いの場で私と兄上は、しくじりましたからね」
「あれには私も焦ったぞ!何と言う出任せを言うんだ!お前は!」
「も、申し訳……。ですがクロノス兄上は今、ヴァンス殿に取り入るのに必死です。かくいう私も、アレク従兄上に気に入って貰える様に必死なんです!ですから、あんな傷物の女など気にしてる暇がないのです」
だが!あの女の事は気に食わない。
でも、自分の身の方が不利に為るのは避けたい。
それに父にはあの女は、気が触れてると教えられたが全くの嘘だった。
話せば、生意気に口答えをしてくる程にまともだった。
とはいえ、あの人を見下した態度と疑う目は許せない!
絶対ゆるさない!
何が許さないのか、パトリシアからすれば教えて貰いたいというだろうが……。そんなことは分かる事も無いのだろう。
だが、まだまだベルガモット家VSデルタス家の腹の探り合いはまだ少し続く。
この父親はまだ子供達に本意を話して無い。
子供達は何を考えてるのやら?
領地に来て考えが揺らぐ長男にその次男。
三男は父同様道を外れそうだが……。
そして、父親の目的ベルガモットを我手に納めると言う野望は、成功するのか?はたまた潰えるのか…それが分かるのは、もう少し時間が掛かりそうだ。
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