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第13章

閑話 ジークフリードside 2

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「それで、殿下。今後はどう動きますか?彼方は、陛下との約束が延びて居るのを、そろそろ怪しむ頃ですよ?」
「それも、有るな。そもそも飛竜の子等渡す気もないからな。早々に誤魔化して断らないとな」
「まあ、断るくらいな私が言いくるめて話しますよ」
「そうか?なら頼むぞ!マルナス」 
「お任せ下さい。それより王女の方はどうしますか?」
「それだよマルナス!少し前に城の東屋で、あの糞女と話をしたのだが…良いように交わされて痛くもない腹を探られたよ。全く何なのだあの女は。綺麗な面で人形のような置物かと思えば……」

 訳の分からない話をするわ!気は強いは!
 音楽の才能に、商売の才能まで持って居やがる。
 胸くそ悪い!だがあの商売の才能は惜しい。
 無理矢理にでも妃にしないと…。
 我国は何の特産品も無いからな。
 存分にあれの才能を生かして貰わないとククク。
 あぁ、先が楽しみだ!あの女を妃に迎えたら、どんなことをして遊んでやろう?
 鎖で繋いで引き摺り回す?
 吊るして鞭を打つか?あぁ、楽しみだ!
 それにあの眷属だ、あれも取り上げて売れば……さぞ高値が付くだろう。

 そういえば……執事に邪魔されたが…あの女なにか俺に言い掛けたな。
 一体何を言おうとしてた?

 チッあの執事本当に厄介だな、どうやって引き離すか……。

「おい、マルナスそろそろ本当に決めないとな!父上も焦れてる頃だ」
「ええ、そうでしょうね。あのお怒りになった顔が、目に浮かぶと震えますね」
「だろ?ククク。父上は怖い人だからな」

 本当に厄介だと思うジークフリードであった。

◆◇◆◇◆◇

 一方……王子一行を見張る影達は?

 ジークフリード達がこの公国へ到着と同時に、この王子達を見張る様に命令された影達は、逐一王子達の会話を録音してヴァンスに報告にをしていたのであった。
 勿論パトリシアには話していない。

 この、ボイスレコーダーはパトリシアが幼い頃に魔法で作り挙げた物を、ドワーフの工房にパトリシアの父ガウルが持ち込み、何とか魔石と魔法を駆使して作り挙げた魔道具だ。
 これを使い、王子の使う客間の数ヶ所に仕掛けた。
 そして、それをヴァンスに届ける作業と同時に天井裏に潜む影達だ。
 先日迄、迎賓に滞在していた伯爵親子にも影達は見張って居たのだが、ヴァンスが早々に見切りを付け、領土から追い出したのは少し前の事だ。

 そして、この王子も伯爵親子同様に到着初日から見張る影二人だが。
 影の……ケイルとルドは思う。
 ベルガモットの地に足を踏み入れ、何を見てきたのだろうかこの王子は?…と。
 客室の天井裏で、この部屋に滞在する二人と他の護衛達を見張る影達は、王子の素の姿を見聞きし目と耳を疑うのだった。

「なぁケイルよ、……俺はお嬢さんが哀れになって来たぜ!というか、今下に下りてぶん殴りてぇぞ俺は!」

 あの助平な顔…絶対なにか悪い事を考えてる顔だ!許せねぇ~。
 くっそぉ~殴りてぇ!

「まあ、落ち着け俺も同じだから!慌てるな!その気になればそんな命令は、ヴァンス陛下がすぐに俺達に下すから!それにしても気の毒だよ。なんでああも、男運か悪いんだ?これで四度目だぞ。うちのお嬢様は……」

 て言うか、お嬢の力を舐めてるよな?
 知らぬが仏だよなぁ……。
 お嬢……怒らせたら領地がぶっ飛ぶな。

「だよ!はぁ…。にしてもさぁまた、これをヴァンス様に報告するのか……」
「バカお前!今はヴァンス陛下だよ!ルド」
「そうだった……我が主は偉くなったもんだな?」

 この二人は以前、パトリシアとヴァンスにアレクとリュシタールの森で、魔物の狩りに出掛けた5人の内の二人である。
 護衛として付いて行ったのだが実は影でもある。

「はぁ気が重いなぁ~。これを報告するの……」
「どうして、うちのお嬢は男運が悪いんだろな?」
「だよなぁ~じいさんにしろ、前当主様に叔父君に、バカ王子二人に。バカ伯爵の息子だろ?それとこの下の王子だ!」
「全くだ……仕方ないまた報告に行くぞ!」
「お、おい!それは未だ後だ!今晩はこのままここで見張りだ!」 
「うへぇ~!どうせ見張るなら俺は女が良いねぇ……。そんな仕事来ないかな?」
「バカいうなよ?そんな仕事はアレク様かヴァンス陛下の、婚約者候補がでてきてからだ!アホ」
「そうだったな………」
「「それは随分」長そうだなぁ~」

 道のりは遠そうだ。
 と、二人は顔を併せて苦笑いをするのだった。

 そして、この会話以外の、ジークフリード王子達の会話は全て影に寄って、ボイスレコーダーに録音され王子達の会話が、ヴァンスに報告にされたのだった。

 そして、このあのとは……?

「まっ、国から追放だよな?」
「ハハハ当たり前だろ!」

 それだけじゃ済まさんがな!





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