422 / 574
第13章
閑話 ジークフリードside 2
しおりを挟む「それで、殿下。今後はどう動きますか?彼方は、陛下との約束が延びて居るのを、そろそろ怪しむ頃ですよ?」
「それも、有るな。そもそも飛竜の子等渡す気もないからな。早々に誤魔化して断らないとな」
「まあ、断るくらいな私が言いくるめて話しますよ」
「そうか?なら頼むぞ!マルナス」
「お任せ下さい。それより王女の方はどうしますか?」
「それだよマルナス!少し前に城の東屋で、あの糞女と話をしたのだが…良いように交わされて痛くもない腹を探られたよ。全く何なのだあの女は。綺麗な面で人形のような置物かと思えば……」
訳の分からない話をするわ!気は強いは!
音楽の才能に、商売の才能まで持って居やがる。
胸くそ悪い!だがあの商売の才能は惜しい。
無理矢理にでも妃にしないと…。
我国は何の特産品も無いからな。
存分にあれの才能を生かして貰わないとククク。
あぁ、先が楽しみだ!あの女を妃に迎えたら、どんなことをして遊んでやろう?
鎖で繋いで引き摺り回す?
吊るして鞭を打つか?あぁ、楽しみだ!
それにあの眷属だ、あれも取り上げて売れば……さぞ高値が付くだろう。
そういえば……執事に邪魔されたが…あの女なにか俺に言い掛けたな。
一体何を言おうとしてた?
チッあの執事本当に厄介だな、どうやって引き離すか……。
「おい、マルナスそろそろ本当に決めないとな!父上も焦れてる頃だ」
「ええ、そうでしょうね。あのお怒りになった顔が、目に浮かぶと震えますね」
「だろ?ククク。父上は怖い人だからな」
本当に厄介だと思うジークフリードであった。
◆◇◆◇◆◇
一方……王子一行を見張る影達は?
ジークフリード達がこの公国へ到着と同時に、この王子達を見張る様に命令された影達は、逐一王子達の会話を録音してヴァンスに報告にをしていたのであった。
勿論パトリシアには話していない。
この、ボイスレコーダーはパトリシアが幼い頃に魔法で作り挙げた物を、ドワーフの工房にパトリシアの父ガウルが持ち込み、何とか魔石と魔法を駆使して作り挙げた魔道具だ。
これを使い、王子の使う客間の数ヶ所に仕掛けた。
そして、それをヴァンスに届ける作業と同時に天井裏に潜む影達だ。
先日迄、迎賓に滞在していた伯爵親子にも影達は見張って居たのだが、ヴァンスが早々に見切りを付け、領土から追い出したのは少し前の事だ。
そして、この王子も伯爵親子同様に到着初日から見張る影二人だが。
影の……ケイルとルドは思う。
ベルガモットの地に足を踏み入れ、何を見てきたのだろうかこの王子は?…と。
客室の天井裏で、この部屋に滞在する二人と他の護衛達を見張る影達は、王子の素の姿を見聞きし目と耳を疑うのだった。
「なぁケイルよ、……俺はお嬢さんが哀れになって来たぜ!というか、今下に下りてぶん殴りてぇぞ俺は!」
あの助平な顔…絶対なにか悪い事を考えてる顔だ!許せねぇ~。
くっそぉ~殴りてぇ!
「まあ、落ち着け俺も同じだから!慌てるな!その気になればそんな命令は、ヴァンス陛下がすぐに俺達に下すから!それにしても気の毒だよ。なんでああも、男運か悪いんだ?これで四度目だぞ。うちのお嬢様は……」
て言うか、お嬢の力を舐めてるよな?
知らぬが仏だよなぁ……。
お嬢……怒らせたら領地がぶっ飛ぶな。
「だよ!はぁ…。にしてもさぁまた、これをヴァンス様に報告するのか……」
「バカお前!今はヴァンス陛下だよ!ルド」
「そうだった……我が主は偉くなったもんだな?」
この二人は以前、パトリシアとヴァンスにアレクとリュシタールの森で、魔物の狩りに出掛けた5人の内の二人である。
護衛として付いて行ったのだが実は影でもある。
「はぁ気が重いなぁ~。これを報告するの……」
「どうして、うちのお嬢は男運が悪いんだろな?」
「だよなぁ~じいさんにしろ、前当主様に叔父君に、バカ王子二人に。バカ伯爵の息子だろ?それとこの下の王子だ!」
「全くだ……仕方ないまた報告に行くぞ!」
「お、おい!それは未だ後だ!今晩はこのままここで見張りだ!」
「うへぇ~!どうせ見張るなら俺は女が良いねぇ……。そんな仕事来ないかな?」
「バカいうなよ?そんな仕事はアレク様かヴァンス陛下の、婚約者候補がでてきてからだ!アホ」
「そうだったな………」
「「それは随分」長そうだなぁ~」
道のりは遠そうだ。
と、二人は顔を併せて苦笑いをするのだった。
そして、この会話以外の、ジークフリード王子達の会話は全て影に寄って、ボイスレコーダーに録音され王子達の会話が、ヴァンスに報告にされたのだった。
そして、このあのとは……?
「まっ、国から追放だよな?」
「ハハハ当たり前だろ!」
それだけじゃ済まさんがな!
2
お気に入りに追加
4,153
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる