上 下
407 / 574
第13章

第5話 リンゴの飴をどうぞ?

しおりを挟む


 さて、話しは終わったかしら?
 後はモーリスの工房と、エンバス商会の間の話ですから……私は関係無いかな?

「さて、お話しも終わりまし……あっ!」
「な、なんだい?パトリシア未だ何が有るのか?」
「ええっと……貴族向けはの2セットですが…」
「2セットは?どうするのですか?」
「ええっと……、庶民から話が広まって貴族の耳にでも入って、どうしても購入したい貴族だけに売って下さい。決して貴族にも、商品を押し付けたら駄目です」
「……それは……どうしてか伺っても?宜しいですか?王女様……」
「アルス様と、ケビン様は…分からないのね?なら、ルース様はお分かりかしら?」
「え、私ですか?そうですねぇ……」

 あら、考え込んで仕舞ったわ。
 分からないかしら…案外簡単なのだけど?
 まぁ、この戦略?が吉と出るかは…分からないけど…時の運よね?

「あ!」

 暫く黙り混んで考えていた、ルース様から突然声を上げた。
 ………分かったの?

「な、なに…分かりまして?」
「ええ、なんとなくですが……。人は欲しい物を手に入ると、暫くは遊ぶでしょう。ですが、直ぐに飽きて仕舞うかも知れませんよね?なら本当に、このゲームの価値が分かった方に売れば、大切にしてくれる。長く遊んでくれるかも知れないと…。こんな感じですかね?」

 そうそう、それに宣伝にもなるわよ?

「リバーシってやって見ると、結構奥が深いのよ?何通りも攻略の仕方があるし、頭の体操にも成るわ。でも飽きて仕舞うと遊ばなくなるのよ」

 まぁ、チェスとか将棋の方が良いのかも知れないけど……。
 いまいち、ルールが私には分からないのよね。
 子供の頃から、苦手だったから覚える気もなかっと言うのが本音です。

 それに、やりたいと思わなかったから。
 見たことも触った事も無かったのよね。
 今思えば触れて置けば良かったと、ちょっと後悔です。

「パトリシア様、私もお借りたリバーシを兄とやりましたよ?中々戦略が難しいですね?ねえ、兄さん」
「あぁ、私はどうもこう戦略的な事が苦手なようだ。ルースには、直ぐに負けて仕舞いましたよ。ハハハ」
「まぁ、そうですのね?私はお兄様とリシュタールの王都から戻る馬車の中で遊んでましたのよ?中々の、暇潰しに成りましたわ。それにトランプや、ジェンガにと遊具を出して色々………」
「シア!それ以上言うなよ?」 
「えっ、あっ……オホホホ私ったら!失礼しました。そ、そういえば、皆さま喉が乾いてませんか?今執事にお茶を……あっ!喉がイガイカするなら、此方を舐めてみてくださいな?」

 硝子の小皿にコロンコロンと小さな飴を出して進めてみた。
 そして、自分もその飴を一粒摘まんでパクりと口に入れる。

「んふふ。甘くて美味しいわぁ~♡」

 ちょっと前に料理長にお願いして調理場を借りてリンゴのジュースで、作った飴玉です。
 中々の力作で、グレンにやエルサからの受けも良かったのよね…フフフ。
 あぁ、美味しいわ。

 飴の出来映えにホクホクして、口の中の飴を転がしながら食べる。なんとも贅沢ですわね?

「おっ、パトリシア?新作の飴かな?」
「ええ、そうですのよ?」
「シア、味は?」
「これはリンゴですわ。出来は良いと思うのですが……どうかしら?」
「どれ?……………ん…これは……中々……上手いな。甘味も酸味もあって……モゴ。これはいいな?後で私にも貰えるかな?」
「ほぅ…なら。私も……ん、これはいいね?シア私にも後で欲しいが?」
「フフフ。分かりました、後でお部屋に届けますわ」

 その会話を聞いて商人親子が固まってた……。
 あ!お客様に差し上げないで私ったら。

「パ、パトリシア様?此方の物は一体?」
「ええっと私の手作りで、飴と言いますのよ?リンゴのジュース……は、御存じ?」
「飲み物はなのは、分かりますが……飴とは?」
「飴はそのジュースに砂糖を入れて煮詰めて固めたものよ?」
「そ、そうですか……。一粒頂いても?」
「ええ、ルース様どうぞ?その為に出しましたのよ?お二人方もどうですか?子供が喜ぶような菓子ですが…」
「「「で、では、一つ」…」…」

 では、頂きますと言って三人が飴を一粒摘まむと口の中に入れた。

 フフフどうかしら?手作りとは言え美味しいと思うのよね?

しおりを挟む
感想 140

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

悪役令嬢は大好きな絵を描いていたら大変な事になった件について!

naturalsoft
ファンタジー
『※タイトル変更するかも知れません』 シオン・バーニングハート公爵令嬢は、婚約破棄され辺境へと追放される。 そして失意の中、悲壮感漂う雰囲気で馬車で向かって─ 「うふふ、計画通りですわ♪」 いなかった。 これは悪役令嬢として目覚めた転生少女が無駄に能天気で、好きな絵を描いていたら周囲がとんでもない事になっていったファンタジー(コメディ)小説である! 最初は幼少期から始まります。婚約破棄は後からの話になります。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。

真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。 親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。 そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。 (しかも私にだけ!!) 社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。 最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。 (((こんな仕打ち、あんまりよーー!!))) 旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

処理中です...