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第12章
閑話 リシュタール王国の崩壊 3 終焉
しおりを挟む国王の失態で、急遽父の代わりに国王に祭り立てられてしまった。
第一王子のハインツは、玉座に座り頭を抱えるのだった。
隣に立つ宰相に就任した弟も、眉間の皺が取れない毎日を送って居る。
「陛下……」
「なんだ?」
「どうするおつもりですか?」
「それをどうにも出来ないから、お前と悩んでるのだろう?」
前国王の失態。
ベルガモット家の令嬢、パトリシア嬢を第三王子が裏切り婚約破棄をした事からすべて始まった気がする。
と、ハインツとクレールは思って居るが今更な事なので触れずにいる。
そして、ベルガモット家の離反という事も何かしらこの事態を引き起こす、引き金に成っている筈だ!とも思って居るが、ベルガモット家からの誓約書が邪魔をして、ベルガモット家とは接触出来ず仕舞いである。
「チッ!あんな、誓約書等交わさなければ今頃は……」
と、今更悔やむハインツである。
そして、何故かクレメント領にある迷宮からの魔物の氾濫、父の愚かな対応の所為でクレメント領地は壊滅。
この事態で家臣達から反感を買い、王座から引き摺り下ろされるという事態になる父。
第一王子の、ハンスが国王に担ぎ出されたが……。
事の顛末は全て、父親の選択の間違いの所為だ。
その尻拭いをさせられても…と、言う気持ちが拭えない。
こうなったのも全て父の………前国王の失態。
愚かさ故に引き起こったのだと、家臣達の口から次々に出る。
ハインツから、してみればそんな物は知った事ではな無いと突っぱねたいのだが……。
国王の無能さを助ける事もせずに、見てみぬ振りをしたのも自分のなので、家臣達からの責めの言葉には言い返せないのだった。
そして自分を助ける家臣が、次々と領地に逃げ帰って行き。
今ではこのリシュタール王国、王都に残る貴族は極僅かになってしまった。
それでも、領地持ち貴族達からの魔物の被害や自然災害の被害の報告は後を絶たないのだった。
そして、今更だがベルガモット家に属する。
若しくは、懇意にしていた貴族達は既に国から出て行き。
自領地に引っ込んでいったきりで、王都には戻ってくる気配はない。
そして不思議な事に、この引っ込んで行った貴族達の領地からは何の被害も、出たとの報告は無い。若しくはしてこない。
そして、この平和な領地を通る者には、通行税が上げられてるのだと聞く。
これは農作物の運搬にも、響く額が要求される。
この所為で、王都に届く食物全ての流通が止まってしまった。
それでも、王族に加担した者達の領地の作物は災害に寄って壊滅的状況。
産業も魔物の出現で立ち行かない状況にある。
これでどう、国を安定させれば良いのだろう?
隣国にも助けを求めたが。
……父の代まで周辺諸国とは、絶縁体常態。
若しくは、いつ戦争が始まってもおかしくないくらいの冷戦常態だと、国王に担ぎ出された時に知らされた。
この事態に、頭を抱えない人が居るのだろうか?
ハンスは逃げ出したい思いで気が狂いそうだ。
と、発狂寸前だ。
弟のクレールも兄のハンスと分からぬ気持ちだろう。
「兄上……いっそのこと」
「いっそのこと…なんだ?」
「売国しては?」
「……………そうしたい……」
そうして………リシュタール王国は失くなった。
国は分断されて周辺諸国が介入し、リシュタール王国と言う名は消えたのだった。
だがこの事は、パトリシアの耳に入るのにはもう少し先になるのだった。
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