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第12章
第20話 初めまして。
しおりを挟むドワーフの工房を訪れてから暫く経った頃……。
ドーワフのモーリスが試作のリバーシを持ち、紹介してくれると言っていた商人を連れて城に訪ねて来た。
「お嬢様」
「なに?」
「ドワーフのモーリスが貴賓室にお越しですよ」
「はっ、何で?」
「先日のリバーシの件と商人の件ですよ。お忘れですか?」
………そうだったわ。
あの日、工房からの帰りにジーク殿下と話が盛り上がったわ。
リバーシの他にも、色々と玩具があるのかと聞かれて……。
差し障りのない物を見せて仕舞い、……それから城のリビングで遊んで仕舞ったわ。
っと……話がずれたわね。
「ええと確か商人を紹介してくれるとか?色々言ってたわね。それで来られたの?」
「そうです、お部屋でお待ちですから。早速向かいますよ!」
「ええ、わかったわ」
そして、モーリスが待つ部屋に入る。
「お待たせしました。モーリスのおじ様、ごめんなさいね?」
待たせた事を詫びながら部屋に入る、と先に部屋に入っていた二人は立ったまま私を迎える。
「嫌、突然訪ねた儂らが悪いからな」
「悪いなんて……。訪ねてくれて嬉しいわ。さあ、お座りに成ってくださいませ」
「ワハハハ。嬢ちゃんが優しくて助かるわい。でな、話が変わるがな?」
笑って座ると直ぐに答えてくれるけど。
……流石ドワーフですね?お声が大きいわ。
「ええ、なんでしょうか」
「前に預かったリバーシの試作品を作ったんじゃ!見れくれよ。それと儂の隣に居るのが、紹介したい商人だ」
試作品のリバーシをテーブルに置きながら、商人を紹介されました。
……が……取り敢えず人を優先させます。
商品は後でじっくり見せて貰います。
「初めまして。私はベルガモット領の王都に店を構える。ルース・エンバスと申します」
「エンバス様…ですか。初めまして。私は……」
「パトリシア様で、いらっしゃいますよね?」
「ええ、そうですわ。私の事を御存じでしたのね?」
「いえ!噂程度ですよ?フフフ」
う!なんともイケメンさんですわね。笑った顔が眩しいです。
少しアレクお兄様に似てるのかしら?
お年もお兄様達と近いのかしら。
「そ、それでご商売は城下で?」
「ええ、父が元々ベルンドラの町で店を開いて居りまして」
因みに……ベルンドラとは城下町の名前です。
正式名はベルンドラ城下町です。
あら、誰に説明してるのかしら…ホホホ。
「と、言う事は、昔から屋敷に出入りしてる商人って?」
「そうですね?父と兄が多分お邪魔してる筈ですね」
「そうだったのね……。で?貴方は店の手伝いですか?」
「ええ、手広くさせてもらってますよ。私は交渉の方が向いてましてね」
「そう……なら、交易とかも?」
「ええ、隣国からの商品も取り寄せてますし。ベルガモット領の品も外に出してます」
「あら、それはなにを?」
「主に、小麦や綿等ですかね。この領地から量産されて出る珍しい物等は、お役人から外に出すなと、止められてますからね」
「そうでしたのね?」
まぁ、そうよね農村地帯でも確か、他領地や国で育てない作物を作ってる筈だもの。
お米とか大豆とかだったかしら?
「ええ、ところで、モーリスのおじ様から、リバーシを見せられてどう思いまして?」
「……正直に申しても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞ」
な、なにを言われるのかしら、別にNGでも困らないから良いけど……。
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