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第12章

第19話 思い出したわ……

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「ど、どうも……お久しぶりですわ?モーリスにバッカスのおじ様達!お元気……でしたか?」
「「お、お嬢ちゃん」」
「こんなに大きくなって……儂らも歳をとるはずだ!なぁバッカス!」
「だなぁ………」
「そ、それで?嬢ちゃん今日はなにをしに来たんだ?また難しいオーダーかい?」
「いえ、今日は遅くなって仕舞ったけれど……ご挨拶よ?それと、はい!おじ様達にお土産ですわ」

 ドンとカウンターに、1ダースのウイスキーの瓶が入ったケースを置いた。

「嬢ちゃん……また、俺らの大好物を持ってきてくれたこのか?」
「ええ、お好きでしたでしょ?それに先日お世話になったでしょ?」
「世話ねぇ……ま、これでチャラだ!ありがとよ。酒は大好物だぜ嬢ちゃん。それより、隣の兄ちゃんは?誰だい」
「ええと、この方は……」
「お初にお目に掛かる。私はルヤス国から来た。名をジークフリードと言う」
「そうか、ジークフリード殿か?」
「そ、そうなのよ、城に今滞在されててね?」
「ほぅ……そうかい、なら嬢ちゃんの婚約者かい?」
「そそそそそ、そんなんじゃ………あるわね」
「ほぅ……それは、目出度い!それじゃ儂らも祝いをせねば!」
「い、いぇ、ま、まだ決まっては……」
「それでは、祝いの言葉だけを貰って置こう。未だ正式に、決まって無いからね。なぁパトリシア嬢?」
「なんだ、嬢ちゃん……ちゃんとしてやんな!男を待たせると逃げてっちまうぜぇ~。ガハハハ」

 な、なんだが私が責められてない?
 ここは、話題を変えないと!

「ええと……聞きたいことがあったの!こ、これを作ったら売れるかしら?」

 ドワーフに見せたのは、リバーシです。
 これ、売れるか聞きたかったよの!

「嬢ちゃん………これは?」

 二人がじっと見つめて、不思議がる。

「二人で遊べるゲームですわ」
「むぅ……随分とちゃっちぃな……これをかぁ?」
「なら、試しにやって見せるわ。グレン、試しにリバーシやりましょう?簡単にね?」
「承知しました」

 そして、グレンとゲームを始める。
 白黒の駒を、どちらが使うかを決めて駒を動かして升目を埋めて行く。
 その間説明しながらグレンとゲームを進める。

「はい、私の勝ちです!」
「ググ……グレン強くなった?」
「フフフ」
「んもぅ!意地悪!」

 絶対何処かで、誰かを捕まえて練習してたわね?おっと、それ何処じゃないわね?

「えっと……リモールのおじ様、これどうかしら?」
「これは………難しいぞ?」
「えっ!駄目かしら?」
「なにを言ってる?作るのに難しいんだよ!」
「ええ?そこなの?」
「この正確な駒の形に、色もだ!それにこのゲーム版だ!この升目も正確さが居る」
「えっ?そんなに」
「そんなにだ!それに………俺らが作っても、何処で売る?」
「それなのよ、贔屓の商人居ないかしら?」

 聞きたいことを話していると殿下が会話に割って来る……。
 な、何かしら未だ話しは終わってないのだけれど。

「ち、ちょっと、パトリシア嬢?」
「何かしらジーク様?」
「これは君が考えた物かい?」
「………え?」
「こんなに、面白そうな玩具を持っていたのかい?」
「そ、そうですわね……良く兄妹で遊んでましたわね?」

 ま、旅の間だけだったけど……嘘じゃないものね?

「そうか、ならこれ城に帰ってからで良い。私も試したいのだが……。それにこれは、貴族に受けるぞ!」
「そうですか?なら戻ったらお渡ししますわ」

 中々良い情報が貰えたけど……さて、どうましょうか?

「あぁ、頼む」

 話しの腰を折られたけど……。

「で、作るのは、出来ますの?」
「出来るさ!儂らに掛かれば直ぐにな!」

 あら、さっき難しいって、言ってませんでしたか?別に作れるなら文句は言わないけれど。

「そう、あとは、販売する商人だけですか……」
「それなら、儂らの元に偶に来る商人に話をしてみるか?」
「まぁ、お願い出来ますか?それに玩具は、未だあるのよ!」
「ち、ちょっと待った!嬢ちゃんまた始まった」
「えっ、な、なに?」
「フフフ、お嬢様……今回はリバーシだけのお、話しの方が宜しいかと?」
「そう?なら……そうするわ。ごめんなさいね」
「ま、嬢ちゃんラシクテ良いがよ」
「全く、嬢ちゃんは、昔と変わらんなぁ……ガハハハ」

うぅぅ……笑われて仕舞ったわ。
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