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第12章
第16話 食事が終わったら
しおりを挟む広場でそんな食事をしていると、市場に向かう道から見慣れたシルエットがボンヤリと見えて、此方に近付いて来るのが分かった。
「パトリシア嬢……この料理の数は、君が食べるのかな?(テーブル一杯にあるぞ……)」
「ええっと………(今頃戻ってきたの……)」
「おや、おかえりなさいませ?お嬢様を放って、何処かへお出掛けでしたか?」
グレンがわざとらしく殿下に声を掛ける。
止めたげて~色々面倒だから嫌味を言うのは。
「嫌、そ、それはすまん」
「フフフ、いえ、別に構わないわよ?無理に私が町へお誘いしたのです。殿下にもご用がおありなのよ?グレン、そう責める物では無いわ」
そうそう、もしかしたら無理やり時間を空けてくれたのかも知れないし?
見たい物があったのかも知れないわ。
「これは出すぎた真似を。失礼しました」
「い、嫌……君より海が見たくてね、そちらを優先させた私が悪いから良いのだが。……それよりこの料理の量は?」
「これは、ここの屋台のお店の店主様達とは、昔馴染みでして。皆様のご厚意で頂きました。ですが量が多くて、持ち帰ろうかとグレンと相談していたのですわ。それに、護衛の騎士達にも手伝って貰おうかと、思って居りましたのよ?」
「そ、そうか。で、私の分は有るのだろうか?」
「え?」
「嫌……え?」
「お食事してませんの?」
「え、あぁ……そうだが」
「だって……殿下は、私と食事をする意志が無いから私を放って、ご自分のご興味を優先なさったのでしょ?そのついでに、お食事も済ませたのかと思って居りましたが?」
「そ、そんなことはないぞ!マルナスと、先に出てしまって、君と離れたのはすまなかったが……。食事は君とするつもりだったぞ?」
「それは……聞いておりませんわよ?(そう言う事は、先に言わないのかしらね?)」
そりゃそうだ!とグレンと護衛の騎士達は心の中で思う。
「でしたら、貰い物で申し訳ありませんが……。此方の料理を、お食べに成りますか?それとも屋台からなにか、お好きな物を買って来ますか?」
「そ、そうだな……」
「殿下……私が新しく買って来ますので、殿下はパトリシア様とお話でも?(じゃないと、お嬢様に嫌われますよ?)」
「わ、分かった、なら任せる。マルナス頼む」
それから暫く待っていると、執事が殿下の食事を持ってもどって来る。
「殿下お待たせしました」
「マルナスありがとう。お前もグレド殿と一緒に食事をすると良いぞ?」
「はい、ではあちらで頂きます」
と、いうとグレンが座るテーブルにストンと座る。
な、なんと言うかマイペースで、私には目も合わせないのよね?この執事さん……まぁ良いけれど。トラブルは無いし。
「さぁ……パトリシア嬢、頂こうか?」
「えっ、ええ」
そして、食事を再開させる………。
「それで?これから何処に行くのかな?」
「そうですわね……雑貨を扱っているお店と、薬屋に行きたいのですが。殿下は何処か、ご興味があるお店は無いのですか?」
「そうだな………道具屋に行きたいかな?」
「そうですか……でしたら申し訳ありませんが……。私の用事が済んでからで宜しいですか?」
「ああ、それで構わないよ。それに君と歩くのは楽しいからね?」
「………本当に?(だったらなんで…いえやめましょう…なんだかもう…良いわ)」
「えっ?なんでだい」
「いえ、大した事では。でしたら早く、食べてしまいましょう?」
食べ切れない物は、グレンにお願いして仕舞ってもらいましょう。
「そうだね……。(不味い……一緒に買い物に来てるのに、全く興味を示して無い。昨日の追い出されたのが気に入らなくて、少し意地悪してしまったが。そんな事を、してる場合では無いな)」
「殿下……どうかしまして?御食事やはりお口にあいませんか?」
「い、嫌そんなことはないぞ!アム……うん。旨いね……食べた事が無い物だが……?」
「それは……ああ、お好み焼きですわね。フフフ」
「お、お好み……焼き?」
「ええ、小麦の粉に野菜や、肉に海産物を入れて混ぜ焼いた物にソースと言うたれと、マヨネーズを塗った物がそれですわね」
「そうか……中々複雑な味がするな。……ハグ……熱っ!ハフハフ……」
「フフフ、殿下?」
「なんだい?」
「ソースが…………付いてますわ」
持っていたハンカチで、殿下の口の端に付いたソーセージを拭った。
「そ、それは、ありがとう。ふぅーふぅ!ハム……旨いね」
「いえ…フフフ。お口に合った様で、よかったですわね」
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