349 / 574
第10章
第53話 ジークフリード王子 side
しおりを挟むパトリシア嬢が機嫌を損ねて、東屋から出ていって仕舞って困惑する……。
だが、その原因は分かっている。
「ロミノ……」
「は、はい?何でしょうか」
「お前………毒味を役を買って出たのだから、これは食べろよ?それと……、要らん口出しは二度とするなよ!折角会話が続いてて此れからって時に!者魔をして」
「ええ、そのつもりですし、邪魔等はして居りません。私は殿下の為を思って、情報を漏らさない為に口を出したのですから」
「はぁ~。私の思いがパトリシア嬢に、届いてないのはお前の所為か?」
「何の事でしょうか。私は殿下の為を思って行動した迄です」
「どうにもパトリシア嬢に、私の思いが伝わらないのが不思議だったのだ。それはロミノお前の所為だったと……?」
ここ最近やっと、彼女との距離が縮まった気はしてたのだがなぁ……。
「何を言ってますか?殿下の思いが届いてないのは、あのお嬢様が鈍いのですよ!折角殿下が親切に……」
こいつ……何を勘違いしてるのだ?
私が押し掛けて無理を言ってるのに。………はぁ、こいつも長年使えてはくれてるのだが。今一私の気持ちが伝わらないというか、空回りが多いと言うか一言多いと言うか。
こいつ、年々使えなくなってるな。
それに比べてあのグレンと言う執事……あの者は実に出来ている。
つくづくパトリシア嬢が羨ましい。
使用人にも恵まれて居るようだ。
「で、どうするのだ?パトリシア嬢が結界を張って仕舞ったぞ?」
パトリシアの、姿が見えなくなった場所を指を、指してロミノに問う。
「あれでは、こちらから声も掛けられない。お前の所為だぞ!たかだか、属性魔法を聞かれたぐらいで、何を目ぐしらを立てる事がある?そんな事で、騒いでどうするのだ?私が彼女に魔法を教えてくれと、頼んだのは聞いていなかったのか?」
「聞いて居りましたが。殿下の属性等言える訳も!機密事項ですよ!」
「お前……私の縁談をぶち壊すのが目的で、ここに付いてきたのか。やはりお前は、連れてこなくても良かったな。第一執事のマルナスを、供にすれば良かった……はぁ~」
「そ、そんな。私は殿下の為を思って」
「為ねぇ~。お前がどうしても言うから、この旅に動向させたが……失敗だったよ。全く私の足を引っ張り何をしたいのだ?教えてくれ」
「そんな!私は足等……、ただあのご令嬢は……。傷物ですよ?そんな娘等殿下には」
「黙れよ?何をいまその口で言ったか?ロミノ」
ロミノに威圧を掛て睨み付ける。
「ひっ!も、申し訳ございません殿下。ですが私は殿下の為を思って……」
「ほぅ……。お前、明日この領地から自国に戻れ!代わりに、マルナスを寄越すように手配をする。お前の感情など、私には関係無いんだ。父上に了解を得て、ここまで来たのだぞ。それが分からないなら、お前など要らん何処へでも行け!役立たず」
「そ、そんな………私は!」
「黙れ!ほら毒味するんだろ?早くしてくれよ?私は腹が減ってるんだ。折角パトリシア嬢と一緒に食事をしたかったのに。ぶち壊しやがって!」
彼女がこの東屋に戻って来るかも分からないなこれは……。
はぁ~また一からやり直しだ、くそ!
何としても私は彼女と一緒に成りたいのに。
皆で俺の邪魔をしやがって!何年待ったと思うのだ!やっと父上から許可を貰ってここまで来て、王位継承権も捨てて、ここに移住するつもり出来てるのに。絶対に彼女と一緒に成りたくて来てるのに………。
「殿下………食事に毒は無いようです」
「………馬鹿目が!当たり前の事を偉そうに言うな!」
そして、出された食事に手を付ける。
「……旨い………はぁ。一緒に食事取りたかった」
パトリシアが食べる筈の食事を、恨めしそうに見るジークフリード殿下であった。
3
お気に入りに追加
4,153
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる