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第10章

第28話 今それを言うの?

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「は、宜しいので?」

 と、料理長が驚いた顔をする。

「ええ、お兄様宜しいわよね?」

 アレクお兄様が呆れた顔をして私を見る。

「シア………お前は、甘いねぇ。……母上は兎も角……父は、お前を利用しょうとしたんだぞ」
「お兄様……そうは、言っても。お母様はお父様を止めて、引いてくれましたわよ?いくらお父様が私を利用しようと、お考えになって居たとしてもね?」
「全く……仕方ないな」
「フフフ。お兄様、ありがとう。料理長お願いね?さあ、御食事しましょうか?」

 そう告げて、兄の手元をチラリと見た。

「お兄様、お皿…………の……」

 もう一度アレクお兄様の手元を見ると、既にお皿に料理が盛られてあり。
 このお皿に乗る料理の……量………た、食べれるの?

「ん?なんだ。これは二皿目だぞ!」
「え、二皿……」

 テーブルを見ると、同じような山盛りの皿がテーブルに置いてある。
 お料理……た、足りるのかしら………。お兄様の大食いを考慮して多めには作ったけれど……。

「そ、そうですか?なら御食事しましょうか」
「おう、食べてる間にワインも、届くだろうしな?」
「じゃ、料理長。手配お願いね」
「畏まりました」

 そうして私も料理を適当に取りテーブルに戻ります。
 そして、御食事を始めるとヴァンスお兄様がやはり大盛りの料理を、お皿に盛りテーブルに戻って来ます。

「お、パトリシアもう食べてるのかい?」
「ええ、お兄様お先に……い、頂いておりますわ」
「そうか」
「ええ、お兄様一緒に食べましょう」
ヴァンスが席に座り兄妹三人で、食事をする。
「パトリシア……これ旨いな?また、私達が知らない料理を作ったのかい」
「ええ、そうですのよ?今日はハーブを使ったのですわ。普段は、お茶や、お化粧品に使うのですが……今日は、お料理に使いましたわ」
「そ、そうか?け、化粧品に使うのと、一緒?」
「あ、あら、種類が違いますから平気ですわよ。美味しいでしょ?」

 そう言って、コカトリスのハーブ焼を口に運ぶ。

「ん~美味しいわ。お兄様達もお食べになって」
「お、おう。なら頂こうか………ん?旨いな。パトリシア旨いぞこれ」
「そうでしょう。フフフ」

 すると私達が座るテーブルに、お兄様リクエストのワインが運ばれて来た。

「お待たせしました。こちらワインになります」
「ありがとう。悪いわね?えっと……」
「カヤと、申します。パトリシア様」
「ああ、カヤ?ありがとう」
「いえ、それでは失礼致します」
「さぁお兄様……ワインが来ましたよ?」
「待ってたんだよ!」

 グラスを渡すとお二人とも、手酌でワインを飲み始める。……あらら、はしたない。

「お兄様達……手酌なんて、はしたないわ?」
「良いんだよ!ここは私達兄妹しか居ないのだからね?無礼講だ!」
「そ、そうですが……」
「ああ、それと話しは変わるがな?パトリシア。お前に婚約を申し込んで来た貴族が、もう一人。明日の午後にその貴族と会って欲しい」

 は、い?…………今それを言うの?お兄様。
 く、空気を読んで欲しいわ……。


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