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第10章
第5話 アレクのイラつき
しおりを挟むあ~ぁ行っちゃったよと、ルシスがぶつぶつ呟いて不貞腐れる。
「ルシス!追い掛けて行くなよ!はしたない」
「ええ~だって面白そうじゃない?あのお姉さん……フフフ」
なんだこの餓鬼はと、アレクは思う。これは……厄介な家族が来たな?この双子の片割れは俺も面識ない……なので初見なのだが……この物怖じしない態度は戴けない。
「ライアン……その弟はパトリシアに今後近付けないように、お願いしたいのだが?あと、パトリシアを睨むのはお門違いだからな?わざわざ人の屋敷に一家で乗り込で来て騒ぐなよ?」
「そ、そんなつもりはないが……?(しまった世話になるのは此方だったか……)」
「そうか、なら頼む。その内にお前達の屋敷が完成するだろ?それまでは大人しくしていてくれ。仕事に差し支える。お前達子供は邪魔だ」
問題は起こすなよと、釘を刺すが果たしてこのバカそうな餓鬼達には、通じるのか?
「そんなつもりはない!騒がないようにはするが……こいつは目を離すと何処に行くのか、分からないんだ」
「それは……此方の知らないことだ。伯父上に厳しく言って貰いたい。それにパトリシアを睨んだのは何故か、聞いても良いか?」
「そ、それは……弟を勝手に連れ出してると勘違いしたんだ。(嘘だが……何故だか、とっさに睨んでしまった)」
「は~ぁ?何処を見てそう思った?シアは、一人で先に食堂から出たろ?見なかったのか?」
「そ、そうだった。す、すまん、アレク兄上……」
「ま、今後シアは、お前達を警戒するだろうな?あれで中々警戒心が強いし、勘もいい。それに人見知りだ。俺からすれば丁度いい。今後シアにはお前達兄弟は、近付かないでくれよ」
「………なにそれ?何であんたが偉そうなんだ?」
は~ぁ?馬鹿なのかこいつは!と眉間にシワが寄る。
「お、お前また目上の人に失礼だ、わ、分かった。クロノスにも話しておくし、こいつにも良く言い聞かせる」
「そうしてくれ。ここはお前達の城では無いぞ?勝手に色々とされても困る」
「すまん(あ~窮屈だ……父上は何で、こんな場所に一つ返事で来たのだろうか?)分かってる」
(ねえねえ、ライン兄?)
(なんだ?)
(この人怖いよ?)
(当たり前だろ?王国の魔法騎士団の副隊長だった人だ!)
(ええ、そんなに偉いの?)
(あぁ、だから余り勝手な事をするなよ?)
(……えぇ~どうしょっかなぁ~!(あのお姉さん面白そうなんだよね?美人だし))
(お前……殺されたいのか!)
(え、そんなにヤバイの?)
こそこそなにを話してるんだ?イラつく!
「コホン!良いかな?」
「あ、すまない。それでは俺達は部屋に戻るよ?」
「そうか?ならメイドに案内をさせる。付いてこい。アイザック!メイドに言ってこの方達を、部屋へご案内して差し上げろ」
「畏まりました。アレク様は?」
「構わんよ?早くメイドを探してきてくれ。俺達はリビングで待つ」
「畏まりました」
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