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第8章
第42話 クレマンド殿下の決断
しおりを挟む「やぁ殿下。何か、私に話しがあると聞いたのだが?」
「ええ、少しお話しがありましてね」
「まぁ、立ったままだと、話しがしづらいね?どうぞ、そちらへ座ってくれ」
「では、失礼します」
ストンとソファーに座ると、早速と言って話しを切り出す。
「では、さっそくですが………」
「なんだね?」
「先ずは、お詫びが先ですね。私の執事……マルセルと、いいますが……。ベルガモット家の使用人達に、多大な迷惑を掛けたそうで……マルセルに変わってお詫びをします。申し訳ない」
「それで、後は?殿下の使用人の事情は、パトリシアの執事から聞いてますよ」
「申し訳ありません。きつくは言ったのですが」
「まぁ、二度となければこちらも、もう言いませんがね?お話はそれだけですか?」
「いや、それもですが……こちらが一番したい話しでして。私は一旦この地を離れる事にしました」
「それは……パトリシアを諦めてくれるのですかな?」
「はい。昨日パトリシア嬢と、話をしましたが………。どうやら私では、パトリシア嬢のお力には、なれなさそうでしたのでね?潔く諦めて国に帰ります。そこで……御相談なのですが」
「なんだね?」
「帰りの路銀が、少々心許ないので少し狩りをさせて貰いたいのだが……?」
「それくらいなら、構いませんが。後どれくらい滞在されるのか?」
「そうですね……3日だけお世話に成りたい。後は冒険者ギルドの仲介も、あつかましいお願いですが頼みたい」
「まぁ、それくらいなら構いませんよ」
「狩り場の地図を、お渡ししますからそれを持って行かれると良い。それと、ギルドにも話しが通るように手紙を書こう」
「ありがとうございます。すみません手間を掛せさせますが。パトリシア嬢、君もありがとう」
「いえ、構いませんわよ。狩りを為さるならお気をつけて」
「ハハハ、ありがとう」
それだけ言うと、あっさりとサロンを出ていった。
なんだか……拍子抜けしましたが……。
まぁ、殿下のご判断は、正しいと思いますわ。
「父上、なんだったのですかね今のは?」
「アレク、なんだったのだろうな。まったく」
「なんだか呆気ない幕引きでしたね。不思議な男です。後、使用人がどうのと言って謝っていたが……それは?」
「いや、なんでもないよ。アイザックからの話がなかったのだろ?」
「はぁ………?無いですが……」
「まぁ、万事解決ですわね!はぁ~」
なんだか、呆気なかったから……実感がないわね?でも、帰ってくれるなら……良かったわ!
それから、約束の日数を掛けて狩りをして魔物も無事売れて路銀の足しにできたらしく。
殿下達は、自分の所有する馬車と馬達で自国に向かって、帰って行ったと後から聞いて驚いた。
殿下の見送りは、お父様とお母様がしたそうです。
本当にあれだけ粘って、あっさりと手を引いたのはなんだったのかしらね?不思議でしたわ。
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