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第6章

第71話 領地へ・・・足留め

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 外に出て周りを見渡すとちょっと前より人がいるわね?
 人溜まりをマップで探すと……あった!
 あそこに料理長がいるわね!見つけたら向かって行くわよ。

「料理長~」

 これ毎回やってるわね?

「あぁ、おはようございます。お嬢様……」
「どうしたの?料理長?」
「いえ、今朝は雨が降りそうで。やる気が……」

 なんだか疲れてるわね?
 旅疲れかしら?

「………料理長!これあげるから飲みなさい!」
「何ですか?この瓶は?」
「いいから文句言わないで飲む!ほら!」
「え?は、はい。頂きます!」

 瓶の蓋を開けて一気に飲み干す。

「………ん?なんだが疲れが取れましたよ……。何ですかこれは?」 

 小瓶を振って私に聞いてくる。

「それは、回復薬よ!飲みやすいでしょ?」
「ええ!そんな、貴重な物だったのですか!(ヤベェ飲んじまった)」

 私の答えに顔を青くする料理長、フフフ驚いた?

「フフフ。大丈夫よ、そんなに気にしないで。疲れていたら美味しいご飯が作れないものね?さぁ料理長元気が出たなら、朝ご飯を待ってる人が居るわよ!大急ぎで作りましょう」

 そんなことをワチャワチャしていたら後ろから声が掛かる。

「おはよう。パトリシア嬢?今朝も元気がいいねぇ?私は少しこの空と同じで、どんよりだよ」
「あら?殿下どうしましたか?何処か具合が悪いのですか?」
「ん~。何処がどう?と言う訳では無いのだがね……頭が重いような気も……」

 あら?此方もでしょうか、皆様お疲れが出ている様ですね?

「なら殿下も、これをお飲みになると良いですわよ?」

 はい!どうぞと小瓶を渡す。

「これは?」
「はい!聞かずに飲みましょう。ほらぐいっと!」
「え?ああ。なら………頂くよ?(近衛が側に付いて無くて良かったよ)」

 殿下も瓶の蓋を開けて一気に飲み干す。
 すると殿下の体が……光ってるわぁ~。効いてるのかしら?

「ん?なんだが疲れが取れた様な気が……?」
「フフフ。なら良かったですわ?ほら、殿下あちらでお座りになって、お待ちになっていらしたら如何ですか?」
「いや!まだ何を飲ませて貰ったのか、聞いてないよ?」
「え?言ってませんでたか?フフフ。それは、回復薬ですわよ?飲みやすくしてありますが」
「か、回復薬………」

 飲んでしまった…………しかもこの聞き具合!初級とかじゃないな?と、落ち込むクレマドである。

「は!もしかして!パトリシア嬢!これは高級回復薬か!」
「あら?気付きまして?流石に殿下には分かって仕舞いますのねぇ~?でも、安心してくださいませ?私の手作りです」
「……………プッ!ハハハ。(これ程優秀な、ご令嬢は見た事も、出会った事も無いぞ………一体何者なのか?)」

 ………あら?失礼ねぇ笑われたわ!

「い、嫌、すまぬな!フフフ。パトリシア嬢貴方は、かわいい人ですね?フフフ」
「あ、あら!ほ、誉めても何も出ませんわ」

 顔が赤くなるのが分かるから止めて!
 しかも料理長とか居るし。はずか死ぬから止めて!

「ほ、ほら料理長、今朝のメニューは?何にするのかしら?」
「え!まだ。思い付きませんが……ククク。お嬢様?」
「な、なにかしら?」
「ククク。お嬢様は、クレマンド王子樣とあちらでお話でもされていては?私は、いま貰った薬で楽になったので。此方は私に任せてほら、あちらで座って下さい。メイドに飲み物を持たせますから?お気遣い、ありがとう御座います」

 料理長に、追い立てられてテーブル席に二人で向かう。

(うぅぅ……。こ、こんな所アレクお兄様に見られたら……後が怖い!)

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