162 / 574
第6章
第62話 領地へ 世間知らず
しおりを挟むクレマンド殿下達のリクエストに応えて、水やら他の物を差し入れに来た。
パトリシアは、殿下達が乗る馬車の前に立ち扉をノックする。
『トントン』
「クレマンド殿下。いらっしゃいますか?」
声を掛けると中から鍵の開ける音がして扉が開く。
すると目の前に側近のトリマンが居た。
「失礼しますわ、トリマン様?先程仰っていたお水と、他の物をお持ち致しましたわ」
「これはこれは、わざわざお嬢様自ら、頼んだ物を……?お嬢様自らお持ち頂けるなんて……申し訳ありません」
「いえ、頼まれたのは私ですから」
「では、せっかく来て頂いたのです。出発までまだ時間があるようでしたら、中にお入りになりませんか?」
「……え?」
出発時間に余裕が有るかしら?
まぁ、中に入って色々お出ししてから戻ってもそう時間は掛からないわね?
「でしたら、少しお邪魔致しますね?」
「えぇ、どうぞ」
そう言われて中に入って殿下に声を掛ける。
「お邪魔致しますわ殿下?馬車の中はどうですか?先程も聞かれたのかも、知れませんが?」
中に入ると、クレマンド殿下が座って微笑み私を見る。
「これは、パトリシア嬢。わざわざ、ご自身で来て頂けたのですか?ありがとうございます」
「いえ、たいした事では無いですわ?さ!お水です。このテーブルに、お出ししますわね?」
アイテム鞄からポンポンと、空のピッチャー、レモン、蜂蜜と塩を出す。
そして、ピッチャーに魔法で水を入れ氷を入れる。
そこに絞ったレモンの果汁と蜂蜜、塩を少し入れマドラーでかき混ぜる。
更に鞄から、ワインを赤と白を数本それに摘みに、クラッカー、チーズ、ナッツ類、チョコレート、ポテチ、リンゴの籠盛りを置いた。
「一通りお出ししたので、また何か御座いましたらメイドにお申し付け下さいませ?」
「「「「す、凄い」……」」」
鞄から色んな物が出てくる光景を見て、クレマンド殿下と、側近達が関心したのか?興奮気味にきいてくる。
「いやぁ、凄いですね?その鞄からこれだけの物が出てくるなんて」
「い、いえ。大したことは無いですわ?私の家ではごく普通の事ですわ。では、私はこれで失礼致しますわ?あ!そうだわ?殿下、馬車の中では退屈でしょう?」
ふと思ったので聞いてみる。
「ええ、外の景色を見るだけですからね、暇ですね?私も外に出て馬で走りたいですよ。ハハハ」
「まぁ、そうですわね?私もそうですもの。でも外に出ると怒られますから……」
「ハハハ。お互い運動不足になりそうですね?あ!これは……ご令嬢に失礼を」
「いえ、気にしないで下さいませ?私も、身体を動かしたいですもの」フフフ。
殿下と二人で笑い合う。
「それは良かった。どうも私はご令嬢やご夫婦に、一言多いらしく、嫌われてしまうので……」
「まぁ、そうですの?今の一言ぐらいで、お怒りになる方なんて、居るのかしら?あら、ごめんなさい。私余り、社交の場に出たことがなくて。世間知らずなのですね?ごめんなさい。殿下」
「いえ、そんなことで、気分を害すること等ないですよ?お気になさらず」
「フフフ。それは良かったですわ?」
「殿下。パトリシアお嬢様?お二人とも、謝ってばかりですね?」
「え?ああ。そうだね?フフフ」
「まぁ、そうでしたか?」ニコリと笑う。
《主?何か可笑しいの?》
(フフフ、何でもないわよ?)
《ふうぅ~ん》
肩に乗るルトが不思議がる。
14
お気に入りに追加
4,153
あなたにおすすめの小説

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

チートな親から生まれたのは「規格外」でした
真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て…
これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです…
+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-
2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます
時々さかのぼって部分修正することがあります
誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)
感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

スキルが覚醒してパーティーに貢献していたつもりだったが、追放されてしまいました ~今度から新たに出来た仲間と頑張ります~
黒色の猫
ファンタジー
孤児院出身の僕は10歳になり、教会でスキル授与の儀式を受けた。
僕が授かったスキルは『眠る』という、意味不明なスキルただ1つだけだった。
そんな僕でも、仲間にいれてくれた、幼馴染みたちとパーティーを組み僕たちは、冒険者になった。
それから、5年近くがたった。
5年の間に、覚醒したスキルを使ってパーティーに、貢献したつもりだったのだが、そんな僕に、仲間たちから言い渡されたのは、パーティーからの追放宣言だった。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
婚約破棄されたので、論破して旅に出させて頂きます!
桜アリス
ファンタジー
婚約破棄された公爵令嬢。
令嬢の名はローザリン・ダリア・フォールトア。
婚約破棄をした男は、この国の第一王子である、アレクサンドル・ピアニー・サラティア。
なんでも好きな人ができ、その人を私がいじめたのだという。
はぁ?何をふざけたことをおっしゃられますの?
たたき潰してさしあげますわ!
そして、その後は冒険者になっていろんな国へ旅に出させて頂きます!
※恋愛要素、ざまぁ?、冒険要素あります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
文章力が、無いのでくどくて、おかしいところが多いかもしれません( ̄▽ ̄;)
ご注意ください。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる