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第6章
第48話 愚か者の最後 1
しおりを挟む反対方向に向かって行った、クレマンド王子率いる側近の三人と、おまけが引き摺られ地を走る。そのご一行に何故かアレクが動向する。
走り続けて、どれくらい進んだろうか?辺り一面草原なので距離感が掴めないが、概ね進んだ所でクレマンドが止まれと合図をする。
「止まれ!この辺で良いだろう」
「承知しました!」
「そうですね、殿下この辺が、妥当でしょうか?」
辺りをキョロキョロと、見渡してベンドが馬を止める。
「まぁ~そうだろ?一面草原だから分からないですがね?」
草原を眺めながらトリマンも同意する。
「さて、こいつをどうしますか?」
トリマンが、へたばるケレスをロープで引っ張り転がす。
「ハァハァ、で、ハァハァ、でん、殿下。昨日から……随分な、ご、ご無体を。ハァハァ。い、一体私が、な、何をしたと?」
長い距離を走らされ、昨晩はアレクに殴る蹴るをされて、あちこちに痣が出来ている顔を晒して。自分の主に、何故こんな目合うのかと息も切れ切れに問うケレスだが……。
「何故だと思う?ケレス」
「……私には分かりません」
「分からないか……。パトリシア嬢が昨晩言っていたが、魔物寄せの粉。あの粉を馬車に仕込んで、私を殺そうとしたろ?」
「そ、それはあの女が出鱈目を言ってる、だけです。そこの男と一緒になって、私を嵌めたのです」
ケレスがアレクを見ながら、自分は潔白だと訴えるが……。あり得ない話を良くも作った物だと、怒りを通り越して呆れる、アレクである。
「良くもぬけぬけと、出鱈目をその口で言えるものだ?我ながら感心するよ?」
とクレマンドがボソリと呟く。
すると、トリマンが呆れた顔をしてケレスに愚か者といい放つ。
「お前……、馬鹿も休み休み言えよ?あの魔物の襲撃を、アレク殿達が謀ったと言うのか。私達を知らぬのにか、出鱈目が過ぎるだろ。偶々あの場で我々の魔物との交戦を知って、駆けつけて助けに入ってくれた人達に。何故自分の罪を擦り付けよう等と、愚かな考えが浮かぶんだ?」
「だが、私は関係ない。知らないんだ!」
その言葉を無視して、クレマンドがケレスに誰に頼まれたかと聞く。
「そもそも、誰に頼まれた?義弟に命令されたか?」
「………」
「言わないと、言う事は。認めるんだな?義弟に頼まれ、私達を殺そうとした事を」
「…………………」
「はぁ~また。黙りか……まぁ良い」
あいつ、ケレスと言ったか?ここまで来てまだ黙りか。何だかあいつを見ていると、あの屑王子に見えてくるのは偶然だろうか?
アレクは、クレマンド王子達とのやり取りを見ていてそう思う。
だが、そう呑気に見ている訳にも行かないので口を挟む事にする。
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